Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

by the time ..., 過去完了, to不定詞の意味上の主語, spend ~ -ing, 分詞構文, 「~につき」のa, など(新型コロナウイルス封じ込めに成功した韓国)

↑↑↑ここ↑↑↑に表示されているハッシュタグ状の項目(カテゴリー名)をクリック/タップすると、その文法項目についての過去記事が一覧できます。

【おことわり】当ブログはAmazon.co.jpのアソシエイト・プログラムに参加しています。筆者が参照している参考書・辞書を例示する際、また記事の関連書籍などをご紹介する際、Amazon.co.jpのリンクを利用しています。

今回の実例は、報道記事から。ジャーナリストも現地に直接出向くことができない状態で取材し裏取りをしなければならないので大変だと思うが、この記事は日本にいるジャーナリストが韓国について書いたものである。

広く知られている通り、韓国は今回のパンデミックに際し、感染拡大を抑制した成功例として世界各国から注目されている。2週間くらい前までは「まだはっきり成功したと言えるわけではない」という慎重な見方が多く出されていたが、4月15日の総選挙*1を経て、今でははっきりと「成功例」として参照されている。現在、多くの国々で意識が向けられているのは「第二波 (a second wave)」なのだが、韓国の第一波での対応策は第二波を控えた各国から注目されている。日本語圏ではこの基本的な事実でさえまともに認識されているかどうか極めて怪しいと思うので、以上、非常にざっくりと説明を加えたが、私も特に韓国に注目しているわけではないし、そもそも韓国語は読めないので、この説明では雑過ぎるとかいうこともあるかもしれないという点はご了解いただければと思う。

前置きはこのくらいにして、記事はこちら: 

www.theguardian.com

 実例として見るのは、このかなり長い記事の最初のセクション(前置き)の次、感染件数の推移を示すグラフを挟んだ少し下のところから: 

f:id:nofrills:20200424081422p:plain

2020年4月23日, the Guardian

キャプチャ画像の2番目のパラグラフ: 

By the time the World Health Organization issued its plea in mid-March for countries to “test, test, test”, South Korea had spent weeks doing just that, quickly developing the capability to test an average of 12,000 people – and sometimes as many as 20,000 – a day at hundreds of drive-through and walk-in testing centres.

やや長い文だが、最初に見たときに、太字で示した部分がセットになって浮き上がってるように見えるようにしておくことは、英語をさくさくと読みたいのなら最小限必要なことである。というか、ある程度読みなれている人なら、"by the time" という語句を見たときに「このあとの主節では完了系が来るな」と予想するはずだし、その "by the time" の節の中が過去形なら、主節は過去完了と予想するはずだ。このbyは「~までに」という意味の前置詞である。

"By the time the World Health Organization issued its plea in mid-March for countries to 'test, test, test'" の節には、ここに青字で示したように、《to不定詞の意味上の主語》が入っている。「世界保健機関が3月半ばに、各国は『検査し、検査し、検査する』ようにという要請を出したころには」の意味。

主節の方、"South Korea had spent weeks doing just that," の "do that" は "test" を受けている。この "just" は訳しづらいかもしれないが、仮にこれが下線部和訳で出題されていたら、あえて無理に日本語にしようとしなくてもよいだろう。「韓国は既に、それ(=検査)を行って、何週間も過ごしていた」。《spend + 〈時間〉 + -ing》は「~して〈時間〉を過ごす」の意味。

 

その後の部分: 

..., quickly developing the capability to test an average of 12,000 people – and sometimes as many as 20,000 – a day at hundreds of drive-through and walk-in testing centres.

下線で示した "developing" は現在分詞で、ここは《分詞構文》。

capabilityは漠然とした「能力」というより、より具体的な設備や人員、体制などを含めたものを言っている。

その後ろ、"– and sometimes as many as 20,000 –" の部分は、ダッシュ(ダーシ)を用いた《挿入》で、補足の情報だ。《as many as ~》は数が多いことを強調する表現で「~もの」という意味。

太字で示した "a" は、《不定冠詞のa》だが、「~につき」という意味を持った不定冠詞である。

  I take this medicine three times a day. 

  (1日に3度、この薬を飲んでいる)

  He run in the park five days a week. 

  (彼は1週間に5日、公園を走る)

 

というわけでこの部分は、「1日につき、平均で12,000人――時には20,000人も――を検査する能力」となる。

 

その後の "at hundreds of drive-through and walk-in testing centres" は、《場所》を示す前置詞のatであることに気づけば読めてしまうだろう。「何百か所もあるドライブスルー方式およびウォークイン方式の検査センターで」の意味だ。

 

その次の文: 

The mobile centres conducted the tests free of charge within 10 minutes, with the results were[sic] sent to people’s phones within 24 hours. 

 朱字で示したwereは不要なはずで、おそらく下書きの文をこの原稿に落とし込んだときに取り忘れたのだろう。こういう推敲ミス・校正ミスは、英語圏の新聞記事には時々ある。こないだはBBC Newsでknownと過去分詞になっていないとおかしいところでknowと原形になっていた例があったが、そういう「見ればわかる」レベルのものは修正されずに放置されることもよくある。ガーディアン記事のこのwereの取り忘れも、たぶん修正はされないだろう(大したミスではないとみなされる類なので)。

ともあれ、このwithはおなじみ、《付帯状況のwith》で、「検査の結果は、24時間以内に、人々の携帯電話に送られるという状態で」の意味。文全体では、「それら移動可能な検査センターは、10分以内に無料で検査を実施し、検査の結果は、24時間以内に人々の携帯電話に送られる」という意味になる。

 

最後の文: 

By mid-March more than 270,000 people had been tested.

この "by" も、今回最初に見た "by the time ..." のbyと同じで「~までに」の意味。下線部の《more than ~》は「~より多くの、~以上の」で、文意は「3月中旬までには、27万人以上が検査を受けていた」。

 

参考書: 

英文法解説

英文法解説

 
ロイヤル英文法―徹底例解
 

 

*1:日本語圏の報道やインターネット一般では「反日の文大統領は危機に立たされている」みたいな内向きのバイアスが強すぎて、まともな情報が入らないので注意。

当ブログはAmazon.co.jpのアソシエイト・プログラムに参加しています。筆者が参照している参考書・辞書を例示する際、また記事の関連書籍などをご紹介する際、Amazon.co.jpのリンクを利用しています。