このエントリは、2019年9月にアップしたものの再掲である。日常的でこなれた表現の例を知るためには、Twitterの英語圏スポーツ関連の公式アカウントをフォローしておくのは、とてもよいと思う。(ファンのアカウントとなると、悪口雑言罵倒の類も多いのだが、公式アカウントならそういう心配もない。)
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今回の実例は、ラグビーのアイルランド代表のTwitterアカウントから。
ラグビーのワールドカップ、9月28日(土)に静岡で行われた日本対アイルランドの試合は、格上のアイルランドが当然勝つだろうという見込みをさくっと裏切って、日本が19対12で勝利をおさめた。私はラグビーのルールは全然わからないし、こういうときだけ日本日本とはしゃぐタイプでもないのだが、ラグビーのアイルランド代表*1にはそれなりの思いもあるので(私個人の、というより、私がTwitterでフォローしている北アイルランドの人々を見ていての思いであるが)、代表のTwitterアカウント @IrishRugby は見ている。試合そのものは私は見られる環境になく、都内の住宅街を歩いているときに家々から雄たけびやら叫び声やら拍手やらが聞こえてきたので、「ひょっとして日本勝ったんか」と思い、スマホでチェックして試合結果を知った。
さて、今日の実例はその試合後の @IrishRugby のツイートから。
#RWC2019
— Irish Rugby (@IrishRugby) September 28, 2019
Not our day in Shizuoka. Full credit to Japan for their performance and win. Take a look at the highlights from #JPNvIRE#TeamOfUs #ShoulderToShoulder pic.twitter.com/o39JIuoBzS
このツイートには、使いまわせる口語表現が2つ入っている。まず最初の文:
Not our day in Shizuoka.
"Not our day" は "It's not our day" の省略形。これはよく使う慣用表現で、「今日は残念だった」という意味を表す。ourだけでなくmyで語ることもあるが、要は「ついてない日だった」、「運が向かなかった」、「本来あるべき結果が出なかった/出せなかった」(というより「結果がついてこなかった」というニュアンスかも)と言いたいときに使えるフレーズである。
"It's not our[my] day" は、「くよくよしないで次に行こう」という気持ちを自分の中で確認し、ことばにしてみるというときに使う。逆に、例えば「審判の判定に問題があったためにこちらに不利になった。審判の技能を何とかすべきだ」といったことを主張したいような場合には、このフレーズは用いない。
次の文:
Full credit to Japan for their performance and win.
creditは多義語で解釈に迷うことが多い語だが、"give credit to ~" で「功績を~に与える」、「~の手柄である」という意味の熟語となっている。今回のこの実例ではgiveが消えているが、この形(Credit to ~. という文)は口語で頻出である。
続いて前置詞のforだが、こういう用法のforは、 Thank you for your help. のforを思い起こすとよいだろう。
というわけでこの文、直訳は非常にしづらいのだが、文意は「日本はすばらしいプレイをし勝利した。それはひとえに日本の栄誉である」ということになる。
相手の戦いっぷりがよければ相手を公然と褒める、というカルチャーは、ラグビーに特徴的なカルチャーだ。すがすがしくフェアプレイ。試合後の両者の讃え合いの光景も印象的である。下記はスタジアムで観戦していた方の映像より。

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