Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

日付の書き方(英国式と米国式)、be + to不定詞, 近未来を表す現在進行形, recommendに続くthat節内の動詞の原形(「緊急」のスピード)

↑↑↑ここ↑↑↑に表示されているハッシュタグ状の項目(カテゴリー名)をクリック/タップすると、その文法項目についての過去記事が一覧できます。

※昨日はPC不調のため休載となりすみませんでした。今日もまた大幅に投稿時刻が遅れましてごめんなさい※

今回の実例はニュース速報のフィードの文面から。

昨日1月5日、日本で「緊急事態宣言」が出されることになったというニュースがあったが、実際の中身は、「『緊急事態宣言』を7日に決定するという方針が(5日に)決まった」というニュースだった。

f:id:nofrills:20210106180528p:plain

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210105/k10012797331000.html

その「緊急事態宣言」の中身(「宣言」をして実際に何をするのか)も問題だが、それ以前に、2日も空けたものの何が「緊急」なのかという、言葉の定義というか言葉の意味をまったく無視したことを堂々とやっていることのほうがさらに大きな問題だ。こういう「言葉の破壊」について、ジョージ・オーウェルの『1984年』を参照しながら「ディストピア」であると述べると、「大げさな」とか「中国共産党政権下の中国やカダフィ政権下のリビアのようなものをディストピアと呼ぶのである」とか「小説と事実の区別がついていない」とかいった反応が出てくるのだが、それは単に「ディストピア」であるということが受け入れられない人たちの防御的な反応にすぎない。「ディストピアじゃないもん!」みたいな感情的な反発をするエネルギーを使って、実際に『1984年』のそのくだりを読んでみればいい。オーウェルは「100%のフィクション」を書いたのではなく、いわゆる「風刺」を意図して架空の物語を築き上げたという認識のもとに。 

Nineteen Eighty Four (Penguin Essentials)

Nineteen Eighty Four (Penguin Essentials)

  • 作者:Orwell, George
  • 発売日: 2008/07/29
  • メディア: マスマーケット
 

 

というわけで、2日も空けたものの何が「緊急」なのかという点だが、日本での(菅内閣が)「緊急事態宣言」(と呼ぶ夜間の外食産業営業自粛要請)の現実的可能性についてのニュースがあった日の前日の夜から当日の早朝にかけて、英国で、カギカッコなしで緊急事態宣言と呼んでもよいが、実際には英国政府はそういう大げさな言葉は使おうとしていないものについてのニュースがあった。話がややこしくなるのでここでは英国のその動きも「緊急事態」と位置付けて進めたいが、ともあれその「緊急」のスピード感(というか「感」なしの「スピード」)について、スマホに飛んでくるように設定してあるニュース速報のフィードを見ることで、知っていただければと思う。英国だけでなく、世界的には「緊急」といえばこのくらいのスピード(感)が当たり前。のらりくらりやってるのは政治が機能していないところくらいだ(北アイルランドとかレバノンとか)。

普段は私は英国はBBC, アイルランドアイリッシュ・タイムズの速報を受け取るようにしているのだが、12月31日のBrexitがあったので、今はガーディアンも速報を受信するように設定してある(ガーディアンは速報の本数がちょっと多すぎるので、特別大きなニュースがあるときだけ受信するようにしている)。1月4日夜から5日早朝にかけて、この速報受信画面が、次のようになっていた。これらのタイムスタンプは、最初に「ジョンソン首相がテレビ演説を行う」という告知が流れたのが00:00で、その5時間後には演説が行われていた、ということを意味する。

f:id:nofrills:20210106182420j:plain

今回は、これらのフィードをひとつひとつ展開して、その英文を読んでみよう。

目次: 

 

日付の書き方

キャプチャ画像一番下の "04/01/2021" は「2021年1月4日」。英国式の日付の書き方は、《dd/mm/yyyy》と、日付が一番前にくる。米国式だと《mm/dd/yyyy》で月が最初だ。だから、"04/01/2021" は英国式では「2021年1月4日」のことで、米国式だと「2021年4月1日」のことになる。実にややこしいが、実際に混乱を引き起こすこともあるので、機械ではなく人が読むことが前提の場合で、なおかつスペース上の問題がない場合などは、全部数字で書くのではなく、月の名前だけは単語で綴ることが多い(省略形を用いることもよくある)。したがって、よく見る形では、「2021年1月4日」は次のようになる: 

  英国式: 04 January 2021 (04 Jan 2021)

  米国式: January 04, 2021 (Jan 04 2021) 

報道機関のサイトでは各記事に日付が記されているが、英国のBBCと米国のAPではそれぞれ次のようになっている。

英・BBC: "5 January 2021" ※ちなみに写真がかわいい猫ちゃんになっているのは、ドナルド・トランプの写真を猫ちゃんに差し替える拡張で、ボリス・ジョンソンも猫ちゃんにするよう設定してあるからである。よりによってこんなにかわいい猫ちゃんにならなくてもいいのだが。

f:id:nofrills:20210106200130p:plain

https://www.bbc.com/news/live/world-55542393

米・AP: "December 29, 2020" 

f:id:nofrills:20210106201359p:plain

https://apnews.com/article/us-news-anthony-fauci-infectious-diseases-coronavirus-pandemic-6839fde8261b404ef995c682017b5a84

00:00 - Boris Johnson to make TV address to the nation at 8pm and is recalling the parliament for Wednesday

f:id:nofrills:20210106222245p:plain

さて、英文。連続した速報の中で一番最初のもので、00:00*1のタイムスタンプがついている文面。速報だから半分報道記事の見出しみたいになっていて一部省略が行われているが、それを青字で補うと: 

Boris Johnson is to make TV address to the nation at 8pm and is recalling the parliament for Wednesday

朱字で示した《等位接続詞のand》のところで一回区切って考えればよい。ちなみにこの "and" は直後が "is" になっているが、そのisは先行の(だが省略されている)isとつながっている。つまりこの文は、"Boris Johnson is ... and is ..." という構造である。

太字で示した部分は、その前に青字で補ったbe動詞も含めて《be + to不定詞》の形。報道の見出しや速報で見かけるこれはほぼすべて、《予定》を表す用法で「~することになっている」の意味。見出し文体ではなく普通の文で書くときは、助動詞のwillを用いる。「ボリス・ジョンソンが、午後8時に、全国(国民)に向けて、テレビ演説を行う(ことになっている)」の意味。

後半、下線で示した《現在進行形》は、近い未来の確定している予定を言うときに用いられるもので、意味的には上の《be + to不定詞》とあまり違いはない。「水曜日に国会を召集する(ことになっている)」。

法律無視上等のあのボリス・ジョンソンでさえ、重大なことについて、国会を閉めた状態でこそこそ閣議決定したりしないわけです。

 

02:08 - Chief medical officers recommend the UK move to the highest coronavirus alert

f:id:nofrills:20210106223826p:plain

Chief medical officers recommend (that) the UK move to the highest coronavirus alert

太字で示した部分、recommendという動詞に続くthat節(上記ではそのthatをカッコに入れて補った)の中で動詞の原形が出てきている例。当ブログでは「orderなどに続くthat節内に現れる動詞の原形」というカテゴリにまとめてあるので、そちらをご参照いただきたい。

文頭の "Chief medical officer" は英国の制度で、官職というか公務員で、特に公衆衛生上の問題について対応する科学者集団のトップ。"CMO" と略される(頭字語)。医師の資格がある人が務めることになっている。この速報で、 "officer" に複数形のsがついているのは、英国ではイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つの地域それぞれにCMOが置かれているからで、英国では保健行政は基本的にこの4つの地域(イングランドを除いてはそれぞれ自治議会・自治政府を持つ。イングランドウエストミンスターの英国会とそこで選出されている英国政府が担当する)ごとに別々に行うことになっているが、今回のこの感染拡大という事態に際しては4地域のCMO全員が同じこと(警戒レベルを最も高くすること)を勧告しているわけだ。

ちなみにウェールズ北アイルランドはこの勧告の前、例の変異株が出てきたことで、12月のうちにロックダウンに入っている。スコットランドボリス・ジョンソンがTV演説をする予定を発表するまえに、自治政府トップのニコラ・スタージョン首席大臣(首相)がロックダウンを宣言していた。

ここで当ブログ上限の4000字を超えたので、続きはまた次回に。

 

参考書:  

英文法解説

英文法解説

 

 

*1:ちなみに、こういうときに「時間」と「分」の区切りとしてコロン (:) を使うのはアメリカ式で、イギリス式はピリオド、というかフルストップ (.) を用いるのが基本。ただし報道機関などではここ20年の間にグローバル化が進展して、イギリスの報道機関でもコロンを使うのが普通になってきている。たぶんコンピューターの処理の都合という事情もある。