Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

動物を先行詞とする関係代名詞(主格)として、whoが使われる場合【再掲】

↑↑↑ここ↑↑↑に表示されているハッシュタグ状の項目(カテゴリー名)をクリック/タップすると、その文法項目についての過去記事が一覧できます。

この記事は、2月にアップしたものの再掲である。英語は「ことば(言語)」であり、気持ちを表したりメッセージを伝えたりするためのもので、規則(文法)はそんなにガチガチでもない、という例なので、受験には役立たないかもしれないが、読み物として読んでいただければと思う。

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今回の実例は、北アイルランドベルファストの動物園で、チンパンジーが折れた枝を使って脱走に成功した、というニュースから。

北アイルランドはこの前日、木の大きな枝が折れるほどの冬の嵐に見舞われた。チンパンジーたちは、コンクリートの高い塀に囲まれた自分たちのスペースの中の木が折れそうなほど弱くなっていたのに目をつけて大枝をもぎ取り、それをハシゴ代わりにして、塀の上に飛び乗ることに成功したようだ。塀の上に飛び乗ったチンパンジーたちは、さらにそこから園内に出て、通路を歩いていた。その脱走の様子や園内をうろつき回るチンパンジーの姿を、動物園に遊びに来ていた人が撮影していて、その映像がバイラルした(おおいに話題になった)だけでなく、報道記事にもなった。

www.theguardian.com

 英語の実例に行く前に、下記が「脱走」の映像: 

 

では、実例。ガーディアンの記事もやや「おもしろおかしい」トーンで書かれているようだ。

f:id:nofrills:20190211072118j:plain

2019年2月10日、the Guardian

The latest bid for freedom was made by chimps who used a branch as a makeshift ladder and scaled high walls surrounding their pen on Saturday.

 チンパンジーは「動物」なので、関係代名詞はwhichやthatを使うのが原則だが、ここではwho, つまり人間扱いだ。道具を使って目的を達しているのだから、人間扱いしたくもなる。

このように、「動物だけど、人間扱いしたくなる」場合は、関係代名詞はwhoを使うし、代名詞はitではなくheやsheを用いることがある。つまり、漠然と犬や猫を言う代名詞はitだが、誰かがかわいがっているペットのように人間とつながりがあって、人格を認められるような動物の場合、それを受ける代名詞はheかsheになることが多い。保護猫の譲渡先を探す活動をしている団体などでもhe/sheを用いるのが普通だ。

例えばロンドンのバタシーにある動物保護施設の飼い主募集コーナーから、レオという猫の紹介文: 

Leo is a happy, good-natured friendly boy who loves his human friends and is always keen to soak up as much attention as he can get.

Leonardo | Battersea Dogs & Cats Home

 

というわけで、日記やメールのような文書で、自分の家の犬や猫、鳥などペットを英語で説明するときは、who, he, sheなど人間扱いする語を用いて構わない。ただし、入試など四角四面に規則どおりにしたほうがよい場では、which, thatやitを使ったほうが無難だろう。

 

なお、同じガーディアンの記事内に、チンパンジーを人間扱いせず、itで受けている記述もある。子供を連れて動物園を訪れていたが、脱走したチンパンジーを目撃して身のすくむ思いをしたという女性のコメントだ。

“I was petrified, obviously, having the kids, and I tried not to show fear but inside I was a bit like: what happens if it attacks us or tries to take the kids or runs over?” she told the BBC.

“But we just had to stay calm. It may have been a different story if it had been aggressive but it absolutely wasn’t. It made us feel at ease. We just walked past it and it was absolutely grand.”

 チンパンジーを指しているわけではないit(《状況》のit)もあって少々読みづらいが、女性の発言は、「子供を連れていたので、固まってしまいました。怖がっていることを表に出さないようにしていましたが、心の中では、もしあれが私たちに襲い掛かってきたらどうなるんだろう、子供たちを連れ去ろうとしたり、こっちに走ってきたらどうなるんだろう、っていう感じでした。でも私たちは冷静さを失わないことが必要でした。あれ(=チンパンジー)が攻撃的だったら、別な話になっていたかもしれませんが、実際には全然そんなことなくて、それで私たちも安心しました。私たちはただそれ(=チンパンジー)の横を歩いて通り過ぎました。あちら(=チンパンジー)もそれで全然OKでした」という意味になる。

 なお、"It may have been a different story if it had been aggressive" の部分は、仮定法過去完了である(が、主節の助動詞がmayと、助動詞の過去形でない形になっているのは、やや変則的である)。

 

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英文法解説

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