Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

It was not until ~ that S+V, 知覚動詞+O+過去分詞(「フランスはベーコンなり」という謎の名言)【再掲】

↑↑↑ここ↑↑↑に表示されているハッシュタグ状の項目(カテゴリー名)をクリック/タップすると、その文法項目についての過去記事が一覧できます。

【おことわり】当ブログはAmazon.co.jpのアソシエイト・プログラムに参加しています。筆者が参照している参考書・辞書を例示する際、また記事の関連書籍などをご紹介する際、Amazon.co.jpのリンクを利用しています。

このエントリは、今年4月にアップロードしたものの再掲である。じわじわと笑えるよい話である。

--------------------------------------------

今回の実例は笑い話。

笑い話だから、何が笑えるのか、前提を共有するところから始めなければならない。

「フランシス・ベーコン」という人名は、高校の世界史で習っていると思う。16~17世紀のイギリス(イングランド)の哲学者で、イギリスの「経験論」、「帰納法」といえばこの人、という歴史上の偉人である。

ja.wikipedia.org

 

随筆集 (中公クラシックス)

随筆集 (中公クラシックス)

 
ノヴム・オルガヌム―新機関 (岩波文庫 青 617-2)

ノヴム・オルガヌム―新機関 (岩波文庫 青 617-2)

 

 

※20世紀に活躍した同姓同名の画家もいるが、世界史の教科書に出てくるのは哲学者のフランシス・ベーコンだ。

フランシス・ベーコン BACON

フランシス・ベーコン BACON

 

哲学者フランシス・ベーコンの言葉として最も有名なものは、「知(知識)は力なり」というものだろう。これはベーコンが書いた言葉そのものではなく、主張を言い表した言葉だそうだが、本人の書いた文章に "Ipsa scientia potestas est” (ラテン語)という一節があり、また別の著作に別の言い方で同様の考えを表した一節があり、その内容を英語で表すと "Knowledge is power" となる。これを日本語にしたのが、教科書にも出てくる「知(知識)は力なり」だ。

ここまでが笑い話の前提である。

 

というところで今回の実例: 

 Twitterの埋め込みでは画像が半分しか表示されないので、改めて: 

f:id:nofrills:20190414224653j:plain

末尾に記されているように、これはReddit英語圏ネット掲示板)でLard_Baronというハンドルの人が投稿した文章。下記URLで確認できる。

https://www.reddit.com/r/AskReddit/comments/dxosj/what_word_or_phrase_did_you_totally_misunderstand/c13pbyc/

 

今回取り上げる文法事項が入っているのは最後の一文だが、これは「笑い話」だからまずはそこに至るまでの部分を読んでいただきたい。「フランシス・ベーコン」という人名と「知(知識)は力なり」という名言を踏まえていれば、読解に苦労するようなポイントは何もないだろう。子供のころに「フランシス・ベーコン」と聞いて人名だと理解する前に「フランス・イズ・ベーコン」と空耳してしまったことで、この人名を「謎の名言」にしてしまった、という逸話だ。大人に質問してみても、口頭でのコミュニケーションではLard_Baron氏が「知は力なり。フランスはベーコンなり」と解釈しているということも伝わらず、「知は力なり」というありがたい名言の意味をたっぷり解説されて終わりになってしまう。

そしてそのオチが:  

 It wasn't until years later I saw it written down that the penny dropped.

太字で示したのは、 《It was not until ~ that S+V》の構文(「~まで、…しなかった」、つまり「~してようやく…した」)である。文末の "the penny dropped" はイギリス英語の成句で「合点がいった、腑に落ちた」の意味。

また、下線部で示したのは、《知覚動詞+O+過去分詞》で「Oが~される(されている)のをVする」。write ~ downは「~を書き留める」という意味で用いられることが多いが、ここでは「~を文字で(紙などに)書く」という意味だということが文脈から判断できる。

だから、この文は「何年も後に、そのフレーズが文字で書かれているのを見るまで、合点がいかなかった」、つまり「何年も後に、そのフレーズが文字で書かれているのを見てようやく、そういうことかと腑に落ちた」という意味になる。

 

英語圏でのこのような「空耳」事案はほかにも数多くある。音楽の歌詞だけだが、「ジミ・ヘンドリクスのPurple Hazeの歌詞で "Excuse me, while I kiss the sky" という一節を "Excuse me, while I kiss this guy" と空耳する」というのに心当たりがある人が多い(らしい)ことから、KissThisGuy.comと名付けられている投稿サイトにたくさんアップされている。英語学習者・外国語としての英語話者にとって、「なぜそのように空耳されるのか」を考えることは、英語の音声を知るうえでなかなかあなどれないので、時間があるときにでも見てみるとおもしろいだろう。ただし中には「明らかなネタ投稿」(絶対にそんなふうに聞こえているはずがないのに、ウケを狙って変なふうに聞き取れるとしている投稿)もあるので、あまりまじめに見ない方がよいかもしれない。

www.kissthisguy.com

 

 

 

言いまつがい (新潮文庫)

言いまつがい (新潮文庫)

 
空耳の科学~だまされる耳、聞き分ける脳~

空耳の科学~だまされる耳、聞き分ける脳~

 
カラー改訂版 CD付 世界一わかりやすい英語の発音の授業

カラー改訂版 CD付 世界一わかりやすい英語の発音の授業

 
英語発音エクササイズ (アルク)

英語発音エクササイズ (アルク)

 
徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

 
英文法解説

英文法解説

 

 

 

 

当ブログはAmazon.co.jpのアソシエイト・プログラムに参加しています。筆者が参照している参考書・辞書を例示する際、また記事の関連書籍などをご紹介する際、Amazon.co.jpのリンクを利用しています。