このエントリは、今年4月にアップロードしたものの再掲である。英語の関係代名詞whatは、日本語母語話者にとってけっこうわかりづらいのだが、実際には非常に頻繁に用いられている。こういった実例にたくさん接して慣れていくことが必要だ。
----------------------
今回の実例は、今年のゴルフの「マスターズ」で、タイガー・ウッズ選手が優勝を飾り、見事な復活劇と報じられている記事より。
タイガー・ウッズは黒人の父とタイ人の母を持ち、1990年代、「主に白人のスポーツ」だったゴルフに新風を吹き込んだ。日本でもコーヒーのCMなどで毎日テレビの画面で目にするような存在で、ゴルフなんかまったく縁もなければ関心もないという人でも、タイガー・ウッズの顔と名前が一致しない人はほとんどいなかっただろう。
しかし2009年にスキャンダルと交通事故がきっかけで表舞台から遠ざかり、競技に復帰後も浮き沈みが激しく、ときおりゴシップ記事で名前を見かけるだけになっていた。ブレイクしたときは「若き天才」だった彼も40代。2018年に競技に本格復帰し、順調に活躍を重ねてはいたものの、ゴルフ界には次々と若い選手が登場してきている。果たして……という局面でのマスターズ優勝だった。
記事はこちら:
実例として今回注目するのは、記事の書き出しの部分。
In what is being billed as one of the finest comeback stories in sporting history, Tiger Woods won the Masters on Sunday in Augusta, Georgia.
下線で示した部分は、《関係代名詞のwhat》を使った表現で、報道記事では「ちょっと気取った感じのこなれた表現」としてけっこうよく見かけるのだが、英語を外国語として学んでいる私たちにとっては無駄にややこしいだけに見えるかもしれない。
上記の下線部は、意味としては、"In one of the finest comeback stories in sporting history" と書いてもさほど変わらない。「スポーツ史上最も見事な復活劇において」ということだ。
これに "what is being billed as" が入ることで、「人々はこれを~として賞賛している」的な文脈をすっきりと説明することができる。
こういう書き方は、日本語での報道記事の書き方とはかなり違っているので、なかなか慣れないかもしれないが、いちいち日本語に訳さずに英語で書かれた報道記事をがんがん読めるようにしていくためには、その「なんか違う感じ」を「英語で書かれた記事の特徴」として、あまりこだわりすぎずに流していくことが必要になるだろう。
[CD&電子書籍版付き]CNNニュース・リスニング2018[秋冬]
- 作者: CNN English Express編
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2018/10/06
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る