今回の実例は、「ハリー&メーガン」ことサセックス公夫妻の突然の "引退" 宣言についての、わりと早い段階での報道記事から。
前回、王族主要メンバーによる直接会合(というかおばあちゃんとパパと息子たちの家族会議)を受けてのエリザベス女王のステートメントを取り上げたが、実はこのエントリをアップするつもりで準備してあった。ステートメントが出て、その文面が素材としてよかったので順番が逆になってしまったが、今回の記事は、サセックス公夫妻の突然の宣言についての衝撃のさなかで、まだ詳細がわかっていなかった(語られていなかった)ころの報道記事である。
記事はこちら:
実例として見るのはこの記事の4パラグラフ目から:
最初の文:
Royal aides have been directed to work with the Sussexes and government representatives “at pace”, according to sources.
基礎的な文法知識があれば、わからない単語・熟語は辞書を引いて調べれば余裕で読める文だろう。
太字で示した部分は《現在完了の受動態》だ。受動態の《be +過去分詞》のbeのところが現在完了になって、《have been +過去分詞》という形になっている。
下線で示した引用符つきの "at pace" の部分だが、引用符が使われているということは、以前説明した通り、誰かの発言をそのまま(一字一句たがえずに)引用して示している、ということを表す。その発言主が、"according to ~" (「~によると」)の形で示されている。sourcesはマスコミ用語で、これは日本語のマスコミの用語を使えば「関係筋によると」となる。引用符でくくられている "at pace" は口語的なくだけた表現で、「それなりのペースで」、もっとストレートに言えば「スピーディーに」といった意味を表す。
次の文:
There is said to be a willingness to make this work, though Buckingham Palace has acknowledged there are “complicated issues to work through”.
太字にした "there is said to be ~" は、There is ~ のisの部分が、be (=is) said to be になった形。これだけではわかりづらいかもしれないが、下記のように考えるとスッキリするだろう。
It is said that there is a willingness to make this work
= There is said to be a willingness to make this work
つまり「~があると言われている」という意味だ。
willingnessは「意志、やる気」といった抽象名詞だが、ここでは「具体的な意志、意図」といった意味で、不定冠詞のaを伴っている。
"make this work" の部分は、《make + O + 動詞の原形》の形。「Oを~させる」の使役動詞の構文だ。
workはここでは「うまくいく、うまいこと作用する」の意味。
下線で示したthoughは《譲歩》を表す接続詞。「~だけれども…」の意味。
Though our team lost, we enjoyed the match.
(うちのチームは負けたけれども、うちらはその試合を楽しんだ)
It's very cold though it's sunny.
(晴天だが、とても寒い)
というわけで文意は、「バッキンガム宮殿は『対処すべき複雑な問題』があると認識しているが、これをうまくいかせたいという意志があるといわれている」。
参考書: