Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

some ~, others ...の構文(ウェールズで初の独立要求デモ)【再掲】

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このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲である。英語の構造を作るうえでの基本形のひとつの具体例として見ておくとよいだろう。

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今回の実例は、ウェールズで初めて行われた独立要求デモについての報道記事から。

ウェールズブリテン島の南西部にあり、13世紀以降隣国イングランドの支配を受け、16世紀には(客観的に見ればかなり曖昧という印象を受けるようなやり方で)イングランドと合同した。

元々の言語であるウェールズ語イングランド支配下で弾圧され、使用や教育を禁止され、強制されたイングランドの言語、すなわち英語がウェールズの日常の言語になっているが、20世紀以降の言語保存運動によって、近年はウェールズ語話者もウェールズ語が用いられる機会も増えている。ウェールズでは公用語ウェールズ語と英語と定められているため、道路標識などはこの2言語が併記されている。

その標識をめぐって、10年ほど前にとんでもないことが生じたことが世界的に話題になったことがある。今でもBBCのサイトで普通に記事が読めるので、よければ読んでみていただきたい。めちゃくちゃ笑えるので。

news.bbc.co.uk

 

さて、そのような歴史的背景を持つウェールズでは、常に「イングランドからの独立」を目指すナショナリズム(こういうnationalismを「国家主義」とか「国粋主義」と訳すのは間違いである)の流れがあったが、それは「大きなうねり」と呼べるようなものでは必ずしもなかった。かつて、アイルランドナショナリスト武装集団IRA(その当時は、のちの北アイルランド紛争の時代に比べるとIRAはメンバーも支持者も少ない弱小集団だった)が武装活動をやめようかという話になったときに、持っていた武器弾薬をウェールズのナショナリスト武装集団に譲り渡した、などという説がもっともらしく囁かれていたが(私も英語で書かれた本でそう読んだ)、仮にその武器の譲渡が事実であり、それなりに強力な闘争になる可能性があったのだとしても、最終的には、ウェールズの武力闘争はさほどの規模にはならなかったようだ。

武装集団とは別に、政党としては、ナショナリスト政党Plaid Cymru(ウェールズ語の名称で、「プライド・カムリ」と読む)が1925年に結党されている。ただし、この党が初めて英国会に議席を獲得したのはずっと後、1966年のことだった……などという背景解説を書いていると、いつまでたっても書き終わりそうにないので、そろそろ先に行こう。

というところで今回の記事はこちら: 

www.theguardian.com

 

f:id:nofrills:20190521044226j:plain

2019年5月11日、the Guardian

これは記事の書き出しのほうで、最初のパラグラフ(キャプチャ画像には途中から入っている)では「ウェールズで初めて、独立要求デモが行われた」ということが述べられている。

 

実例として見るのはその次のパラグラフ: 

Some protesters said they had been lifelong supporters of independence, while others said they were converted by Brexit and austerity. 

《some ~, (while) others ...》は、高校の教科書などでもよく出てくる表現だ(whileはなくてもいい)。「~な人もいれば、…な人もいる」といった《対比》や《多様性》を表す定型表現で、「~」と「…」の合計が必ずしも100%にならなくてもかまわない。この構文は、大学で使うアカデミックな英語でも、社会人としてビジネスで使う英語でも、使いたいときに使えるようにしておきたい構文のトップ20くらいには入っているのではなかろうか。この構文のスッキリ感というかスマートさは、どうしてもだらだらしてしまう文面をかなり引き締めてくれるし、話し手の立場としても、これを使うことで、雑然としがちな論理構造がはっきりして、話を続けやすくなったりするというお役立ち構文だ。

  Some people like dogs, (while) others prefer cats. 

  (犬が好きな人もいれば、猫のほうが好きな人もいる)

  Some countries are rich in fossil fuel, others have large fresh water resources. 

  (化石燃料が豊富な国もあれば、水資源をたっぷり有する国もある)

  Some movie theaters are equipped with special speakers, while others have luxurious seats. 

  (特別なスピーカーを備え付けた映画館もあれば、豪華な椅子を設置した映画館もある) 

 

上の2つの例文ではsomeは形容詞、otherは代名詞だが(英語では同じ語の繰り返しを避けるため、後者は「形容詞+名詞 other protesters」ではなく「代名詞 other」になる)、両方が代名詞という場合もある。

  We have about 200 students at this school. Some live within walking distance, others use trains to commute. 

  (この学校には200人ほどの生徒がいます。徒歩圏内に住んでいる者もいますが、電車通学の者もいます)

 

今回の実例の文: 

Some protesters said they had been lifelong supporters of independence, while others said they were converted by Brexit and austerity. 

意味は「ずっと独立を支持してきたというデモ参加者もいれば、Brexitや緊縮財政策によって宗旨替えしたという人々もいる」。

 

convertはこのように「主義・主張を変える、考えを改める」という場合にも用いられるが、昨今の情勢下、ニュースでよく目にするのは「改宗する」という意味での用法だ。

  Nicolas converted from Catholicism to Islam when he was 21. 

  (ニコラスは21歳のときにカトリックからイスラム教に改宗した)

また、電気の直流と交流を変換する「コンバーター」は、「convertするもの」の意味で、converterと書く。カメラで撮影した映像をMPEGからMP4などに変換するソフトウェアもconverterである。

 

 

なお、英国では1997年の労働党政権成立で地方分権の流れができ、ウェールズ自治議会が設立されていて、人々の生活に直接関係するような法律はこの自治議会でつくられている(国防、外交などはウエストミンスターの英議会。また、ウェールズ自治議会はスコットランド自治議会と異なり、課税権がない)。今回のデモを組織したプライド・カムリはこの自治議会でもずっと少数派で、現在の議会(2016年の選挙)での獲得議席数は、全60議席中12議席である(その後議席数に変動があったようで、現在では10議席)。ちなみに自治議会での最大政党は29議席労働党、2番目は11議席の保守党。このあたり、ナショナリスト政党SNPがぶいぶい言わせているスコットランドナショナリズムを見るようなつもりで先入観を持ってみてしまうと、もろもろ見誤るかもしれない。「独立」への気持ちの大きさといったこととは別に、ニュース記事を読む際は、ウェールズでは政治勢力としてはナショナリストは大きな勢力とは言えない、ということを前提としておくのがよいだろう。

 

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