今回の実例は、報道記事から。
英国のエリザベス2世が亡くなり、それまでのチャールズ王太子(皇太子)が国王チャールズ3世となり、ウィリアム王子(ケンブリッジ公)が王太子となった。
英国では「王太子」は "Prince of Wales" (ウェールズ大公)と称する。その妻は "Princess of Wales" である。なぜウェールズなのかは話せば長くなるのでここでは扱わない(残念ながら、その時間がない)。
英国で現役の国王(エリザベス2世)の死去に伴い、王室が代替わりをするのを見るのは私は今回が始めてなのだが(私に限らず、今この世にある人の圧倒的多数がそうだろう。なにしろ70年の長きにわたって在位した方の死後だ)、英国のイングランド以外のネイションそれぞれで新国王は就任というか承認の儀式的な手続きが取られ、国王に続いて王太子も各ネイションを回る。
新国王は、ウェールズには9月16日に、スコットランドでは〇日に赴き、服喪期間があけたあとの〇日にスコットランドで最初の公務を行った。
並行して新王太子の各地訪問も行われたようで、私は王室にはほぼ無関心だからウィリアム王子夫妻がいつどこにお運びになったのかは把握していないが、北アイルランドだけは北アイルランドをウォッチしている都合上、ほっといても情報が入ってくる。
というわけで、王太子ご夫妻は6日に北アイルランドを訪問された。そこでちょっと面白い(興味深い)ことが起きたというのがニュースになっている。今回はその記事から英文法を見てみよう。記事はこちら:
ご夫妻は日帰りの日程の中で、北ベルファストにある施設に立ち寄り、そこで地元の人々の歓迎を受けた……のだが、知ってる人は知ってる通り、「北ベルファスト」といえば、長くナショナリストとユニオニストで分断されている地域で、近年ナショナリストの勢力が強くなってきていて、ここを選挙区として選出される英国会議員も、いまやDUPのナイジェル・ドッズではなくシン・フェインのジョン・フィヌケン(ロイヤリストに殺害されたパット・フィヌケン弁護士の息子)である、という地域である。
そしてご夫妻を歓迎してケイトさん(キャサリン妃)と握手をする群衆のひとりから、その言葉は発せられた。
“Nice to meet you but it would be better if it was when you were in your own country,” she said.
黒太字部分、見事に美しい《仮定法過去》である。
ちょっとやかましい人は「"if it was" ではなく "if it were" と言うべき」と言うかもしれないが、現代英語ではそこはどっちでもいい(どっちも使われる)。
青字の部分はその仮定法の中に入っている《副詞節》で、仮定法の中にあるから動詞が過去形のwereになっている。
歓迎の女性の発言の文意は「お会いできてうれしいです。しかし、あなたがあなた自身の国にいらっしゃるときのこと(にお会いできていた)ならば、もっとよかったでしょう」。
【書きかけ】
Kate brushed it off with a smile and continued to speak to others who had waited to meet her during the impromptu walkabout.
However, the lady dressed in green had more to say adding “Ireland belongs to the Irish” while videoing the exchange on her mobile phone.