Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【再掲】副詞節のif節と名詞節のif節, 過去分詞の分詞構文など (「イングランドの方針」が英国全体のものとして扱われるということについて)

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このエントリは、2021年7月にアップしたものの再掲である。

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今回も、前回に引き続き変則的に。前回は、英国のボリス・ジョンソン首相が公にする方針の中には、英国全体ではなくイングランドにしか関わらないものもあり、保健行政もそのひとつであるということを説明したが、イングランドウェールズスコットランド北アイルランドは別々であるなどということは、英国を一歩出れば「で?」だろう。英国(というか連合王国)がひとつのまとまりとして外交に当たり、ウェールズ人もスコットランド人もイングランド人も*1同じ連合王国のパスポートを持って世界を飛び回るのだから、当たり前といえば当たり前だ。例えばニュージーランド政府が、英ジョンソン首相の発言を受けて示した反応は、「イングランドの方針はスコットランド等には適用されない」ということにではなく「英国式のウィズコロナ政策」に注目したものだが、ウイルスが入ってくることを防がねばならないという立場では当然の反応だろう。

www.theguardian.com

Director-general of health, Ashley Bloomfield, said on Wednesday that New Zealand would be “watching closely” and could place the UK on a no-fly list if cases grew out of control.

“If they do get an increase in cases, we will be keeping a close eye on what that means for the risk of people traveling from the UK and that will inform our decisions here,” he said.

Asked if that could result in suspending flights, as New Zealand did with India in April, he said: “We actually review the risk status of all countries each week, so clearly if there is an increase in the number of cases that’s one of the things we’ll be watching very closely.”

(引用部分、《条件》 を表す副詞節のif節(直説法であって仮定法ではない)と、《名詞節のif節》に注意されたい。引用部分の最後のパラグラフの書き出しは《過去分詞の分詞構文》だ。)

だが、イングランドの方針が、イングランド以外の地域の方針とは異なるときに、外国ではイングランドの方針が英国全体の方針とみなされること*2は、イングランド以外の地域で、控えめに言って「反発を引き起こす」ことになる。そういうのがどこに行きつき得るかは、このブログで扱える範囲を超えているのだが、なんというか、こういうときに明らかになる「イングランド中心主義」みたいなのは日本語圏にも横溢していて、「英国」を扱った報道や新書のような一般的な著作では「英国といえばイングランドのこと」というのがデフォである。20年くらい前までなら「まあそんなもんじゃない?」と言えたかもしれないが、スコットランドウェールズの「自治議会」が創設されてからもう20年以上経過しているのに、基礎的な認識がいまだに20年以上前のままアップデートされていないのだとしたら、そろそろアップデートしておきましょうよというよりなかろう。

今回は、「イングランドスコットランドetcの方針は別ということだが、ではどうすればそれが確認できるのか」ということを書きたかったのだが、あまりに蒸し暑くて体調が最悪なのでここまで。中途半端ですみません。

 

 

*1:北アイルランドは、アイルランドのパスポートを持つという選択もありうるのでこれまた別。ややこしいでしょ。

*2:同様の「実は関係ないのにひとからげ」でイングランド等のあおりを食うということは、BSE発生時にも起きた。「英国」でくくったから、別の島にあってBSEが発生していなかったころの北アイルランドも牛肉などが輸出できなくなった。

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