今回の実例は、英語で言いたいときに言えそうで意外と言えないかもしれないフレーズをTwitterで見かけたのでそれを。
ちょっと長くなるが、順を追って話をさせてほしい。
昨晩、というより今朝(2020年8月5日)未明なのだが、寝床で図書館で借りてきた本をだいたい読み終わって、そろそろ寝ますかねと明かりを消したところで、スマホにいくつかの報道アプリから「速報」が着信していたことに気が付いた。
そのときの着信はすぐに消してしまっていたのだが、その後に入ってきていた「速報」はこんな感じ:
「速報」の頻度が多すぎる報道機関のものは私は通知を切ってあるのだが、もしそれらも通知をONにしてあったら、きっと、目にする画面がそのニュースのことで覆いつくされていただろう。
ともあれ、「速報」に気が付いてすぐにチェックしたときのツイートがこちら:
BBC News - Beirut blast: Explosion rocks city ahead of Hariri verdict https://t.co/JnNjdJGSFV Reports say the explosion was in the port area of the city, with unconfirmed reports of a second blast. The authorities fear many casualties.'
— n o f r i l l s /共訳書『アメリカ侵略全史』作品社 (@nofrills) 2020年8月4日
BBC Newsはこの時点では、この爆発は、7日に予定されているラフィク・アル・ハリリ元首相爆殺事件(2005年2月)の国連特別法廷の判決と関連する(つまり「国際テロ」と関連する)と示唆していたが、ほどなく、そういうことは関係なく、当局が日ごろから危険物をあまりに雑に扱ってきたことが原因に違いないということが言われ出した。
Lebanese president blames 2,750 tonnes of ammonium nitrate left in warehouse unchecked for six years for devastating Beirut blast
— BBC Breaking News (@BBCBreaking) 2020年8月4日
Latest: https://t.co/9YUPmiVIkI pic.twitter.com/NUwTGPIxf3
当初は「花火の倉庫」と言われていたが、大爆発を起こした倉庫にあったのは花火ではなく、2750トンもの硝酸アンモニウムだったという。硝酸アンモニウムは肥料に含まれる成分で、テロリストが肥料からそれを抽出して爆発物(ボム、爆弾)、いわゆる「肥料爆弾」を作る。 北アイルランド紛争期にIRAが使って甚大な被害を引き起こしていたのがこれだ。
まさかレバノンのような場所(内戦とテロで、硝酸アンモニウムを使った爆弾が盛んに使われ、多大な被害を経験した場所) で、硝酸アンモニウムのようなものがあんなに大量に雑に保管されていたとは、現地のことによほど詳しい人でもなければ全く知らないだろう。私も正直「なんじゃそりゃ」という気分である。だが事実、港湾の倉庫に、硝酸アンモニウムがぎゅうぎゅう詰めの状態で6年以上も放置されていたのだ。
This photo is making the rounds this evening on Telegram. Appears to show numerous parcels of bagged Ammonium Nitrate.
— The Intel Crab (@IntelCrab) 2020年8月4日
Was going to write this off as horse shit, but those are the exact same warehouse windows.🤔 pic.twitter.com/RLEe3XWawA
が、ネット、特にTwitterなど個人が言いたいことをそのまま発言して世界に発信できる場では、初期段階の、あまり情報が明らかになっていなかった段階で、強烈な爆発の写真などを根拠として「攻撃だ」だの「核爆発だ(核兵器が使われた)」だのといったことが盛んに言われていたという。
The Beirut explosion was not a nuclear bomb. https://t.co/GCoNVd82ED
— VICE (@VICE) 2020年8月4日
そしてその、根拠などカケラもない「攻撃だ」説は、日本語圏にも堂々と入ってきている。ほかならぬ米国大統領がそう言ったからだ。*1
私は爆発があって1時間以上後にログインしたんだけど、「トンデモ」に対する防御力が非常に高い私のフィルターバブルの中でもTwitterでどういう「トンデモ」が出回ってるかはわかった。代表的なのが「キノコ雲だから核爆発」というトンデモ。「何かあったらまずTwttr」ってのはやめた方がいいと思った https://t.co/6YMeYVlo8O
— n o f r i l l s /共訳書『アメリカ侵略全史』作品社 (@nofrills) 2020年8月5日
そして2020年、ネット上の「トンデモ」の親分は某超大国大統領の座にある人物で、その人物は今回もこのように、無根拠発言をぶちかますなどデマゴーグとしてぶっ飛ばしていて: pic.twitter.com/wPSVLklix2
— n o f r i l l s /共訳書『アメリカ侵略全史』作品社 (@nofrills) 2020年8月5日
……日本語圏では、それを無検証で見出しにするおマスコミ様がいらして、それをまたご丁寧なことに、最も多くの人に閲覧されていると思われるおニュースおポータル様がでかでかとトップページに掲げている。キャプチャはちょっと前(30分か40分くらい前)に私が見た画面。卒倒しそうになった。 pic.twitter.com/fRiUyyLeOD
— n o f r i l l s /共訳書『アメリカ侵略全史』作品社 (@nofrills) 2020年8月5日
今回の実例は、この一連の流れのなかで見かけた表現。「思い付きを口にしているだけ」、「思いついたことは何でもとりあえず言ってみてるだけ」ということを言う英語の表現だ。暗記しておけば、そのまま使える例文になるだろう。
He is so reckless. He just says whatever comes to mind in that moment.
— Clubdino (@Clubdino3) 2020年8月5日
There he goes again, he just says whatever comes to his mind. What a disgrace.
— zacklow (@zacklowet) 2020年8月4日
ざっと検索してみると、 "mind"の前に "his" があったりなかったりはしているが、"his" を入れても入れなくても言いたいことは伝わるだろう。
暗記しておこう。
He just says whatever comes to (his) mind.
(あの人は、思いついたことを何でも、口にしているだけだ)
《whatever》は、関係代名詞のwhatに-everがついたもので、文法用語では《複合関係代名詞》という。文法書などを調べるときはその用語で調べる。
You can buy whatever you need.
(必要なものは何でも買っていただいていいですよ)
Whatever you say, you'd have to do it in the end.
(どんなことを言おうと、最終的にはそれをしなくちゃならないだろう)
複合関係代名詞はwhichだけでなく、who, whichのこともある。これらはすべて先行詞をその中に含む(先行詞がない関係代名詞)。
Whoever leaves last locks the door.
(だれであれ、最後に出る人がドアに施錠します)
Whichever way you take, it'll be about 30 minutes on foot.
(どちらの道を行っても、徒歩で30分くらいですね)
※3730字
参考書:
*1:私の見る画面では、これと、大阪の知事が、「うがい薬が効く」的なことをのたまったとかいうのが錯綜していて、頭がおかしくなりそうである。