今回は、予定を変更して休載します。
昼間、TBSラジオの荻上チキさん(はてな古参には「トラカレさん」のほうがなじみ深いだろう)の番組を聞いていて、これはやっとかないとなと思ったウィキペディアの翻訳をやっているので、ブログを書いてる時間がなくなりました。
経緯は下記の通り。番組はRadikoで明日10日の15時台まで追っかけ再生可能です:
【告知】きょうです! 8/9(火)特集「旧統一教会と政治」
— 荻上チキ・Session (@Session_1530) 2022年8月9日
出演:塚田穂高(宗教社会学者)、鈴木エイト(ジャーナリスト)
荻上チキ・Session | TBSラジオ | 2022/08/09/火 15:30-17:50 https://t.co/s01dgVF9T5 #radiko #ss954 pic.twitter.com/lxlJl1oONJ
有権者が「知らないのに判断させられてた」というポイントは重要ですよね。番組パーソナリティーはAmazon Primeで見られるカルト教団のドキュメンタリー・シリーズをご覧になっているとか。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
塚田さん、鈴木さんのパートは4時半ごろから。
長崎原爆投下についてのパートで、ジャーナリストで研究者の方のお話し、「被爆者がいなくなる時代というか時期はすぐそこ。政府はもっともっとスピード感を持つ必要」のところで、これらの人々が日常語とする「スピード感」はsense of urgencyなんだなということがよくわかった。政治用語・報道用語
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
荻上チキ・Session │ TBSラジオ | https://t.co/2npL0UoGpT #radiko #荻上チキ #南部広美 #ss954
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
塚田さん、鈴木さんのパートが始まったところです。宗教と政治、特に旧統一教会について。
「今始まったところ」「これまでの知見の蓄積の共有」という前提、いいね。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
一部の政治家の「何が問題なのかわからない」という態度について、「今まで問題にならなかったでしょ。みんなそのつてを使ってたでしょ」ということならとても正直だという指摘。しかしその下に何があるのか……というくだりを聞いて、「そういえば最近『構造』って言わなくなったな」と思った。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
日本で自民党が「構造」という表現を「構造改革」という四字熟語に落とし込んで喧伝したのが90年代のこと。橋本龍太郎が連呼し、メディアが見出しでガンガン煽り立て、そして2000年代に入って小泉純一郎の時代。その間、「構造」として「改革」されたのがメガバンクや金融グループ(旧財閥)、政府省庁
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
そのころ、この「構造」を英語にするにはどうするかというのが勉強会の課題でしたな。structureじゃないのよ、みたいな。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
https://t.co/SPahbYz8r0 荻上チキさんは←2006年のこの拙ブログのエントリで参照しているブログのエントリの主。今、「性教育バッシングと共産主義叩きが一体化していること」についてのお話がありましたが。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
「霊感商法」を切り離して別個に取り上げているのがよい。「統一教会イコール霊感商法」(=「統一教会の問題イコール霊感商法の問題」)というナラティブには徹底的に抵抗していかないと。実際、近年は「もう壺は売らない(=霊感商法はやっていない)から大丈夫」ということで勧誘してるそうですから
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
「反共産主義」のことになると塚田さんも歯切れが悪いな。気に入らないものは何でもかんでも「共産主義」とレッテルを貼って、そのレッテルに合うように物語を構築することが悪いんですよ、簡単に言えば。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
「反共産主義」は、「文化マルクス主義」という珍妙な概念の生みの主にして温床です。これは90年代から、米国のような異様な文化状況(マッカーシズムという経験/トラウマゆえの状況)が顕著には見られなかった英国でも議論があったはず。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
「文化マルクス主義」云々で重要なのは、あと、カトリック保守派ですね。欧州大陸の。それこそスペインのフランコ政権支持者から、ポーランドの反ソ活動家まで。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
もっと詳しくはこっち: https://t.co/aQUQLHuEwv 日本語版ないんですね。文面の翻訳だけだったらすぐにでも着手できるけど、ウィキペディアは文面の翻訳だけじゃすまないからなあ(ウィキ内リンクがひたすら手間がかかるばかりで面倒で、翻訳作業に集中できない)……
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
https://t.co/aQUQLHuEwv 翻訳しようと思うと、いきなりMichael Minnicinoというカタカナ表記がわからない(-cinoはイタリア語系の人名だけど「チノ」か「シノ」か、人によって違う)人名が出てくるわけですよ。まともな翻訳作業を知る者は、この時点でやる気なくす。ジミー・ウェールズが知らない世界
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
まあいいや、私は英語のまま読めばわかるから。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
分量は大したことないんだよね。固有名詞など面倒なところは基準ゆるくして、やっとくか……荻上さんもまだ番組で扱い続けるとおっしゃっているし、日本語で参照できるものをウィキペディアのような場所に用意しておくことは悪いことではない。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
番組終了。あとでもう一度聞きます。明日8月10日の15:51までは聴取可能。URLは本スレッドの少し上の方にあります。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
というわけで、英語版の「文化的マルクス主義」*1についてのウィキペディアのエントリを日本語化しています。実況しながら。
ライヴ・ツイート: 英語版ウィキペディア記事https://t.co/aQUQLHMNKD を日本語に翻訳するよ。途中で投げ出すかもしれないよ。 1
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
2 まず、日本語版ウィキペディアの「ヘルプ」から「記事を翻訳する」に進んで、 https://t.co/iCFuzStsWi ……
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
3 そこから「翻訳依頼」を見てhttps://t.co/kBtoFT0OUS 「文化的マルクス主義」の翻訳依頼が出ていないかどうかを確認するよ。「文化的マルクス主義」の文言ではページ内検索ヒットしないかもしれないのでそこは工夫するよ(例えば「マルクス主義」は「マルキシズム」とも書くので)。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
4 ウィキペ翻訳依頼は出ていなかったよ。次は「文化的マルクス主義」という用語が妥当かどうかを確認するよ。これは普通にウェブ検索で、念のため複数の検索エンジンで確認するよ。これは翻訳の一般的なプロセスにおける用語・訳語確認の手順と同じだよ。ちなみにのGoogleJPは黒田清輝生誕156年だよ。 pic.twitter.com/Dh9kYfysfN
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
5 このプロセスでの検索は、ただの用語の確認だから、ここではすぐに検索エンジンのウィンドウは閉じるよ。ここではまってたら先に行けないからね。
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ここまで下作業して休憩するよ。ウィキペディア内をもっと掘れば古い翻訳依頼なども出てくるかもしれないけど、そこまでの手間はかけられないよ。
TrendsにDeep stateっていう文言が出てきてたので見に行ったら案の定「おっ、やってるね」だった。 pic.twitter.com/59oX7xQO26
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https://t.co/XdD2nSVOIE 藤原さんが参照しておられる前田さんのご指摘もあわせて、重要。陰謀論に対抗する側も、基本的な知識は固めておきましょう。
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6 原典(英語版ウィキペディア)はPart of a series on
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Antisemitismということだけど、日本語版の「反ユダヤ主義」 https://t.co/IMxFsqCRg5 のところにはそれに該当するものがないようなので、翻訳作業を開始する前のバックグラウンドチェックはこの辺にして、作業そのものに入るよ。
7 作業そのものに入る段階での最初の作業は「翻訳のガイドライン」をチェックすることだよ: https://t.co/xTAFOONeao ここには、ウィキペディアという場での約束事がまとめられているから、何を翻訳するかとか翻訳の能力の高さということとはかかわりなく、確認が必須だよ。でも長いしくどいんだよね。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
8 重要なのは、原典となる他言語版記事は何か(どの版に基づいた翻訳か)をどう表記するかという書誌情報的なことと、翻訳中途でいったんアップするときにどう記載するかといったことで、翻訳すべき記事がすでに手元にある人は、精神論的なところは飛ばしてもいいよ。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
(そもそも「何か翻訳したいんだけど何を翻訳したらいいかわからない」という人は、ウィキペディアのような公共の場でやらずに、チラシの裏に書いとけ、な。昔、「善意」で英日翻訳されたウィキペディア記事は、品質云々と言える以前のひどいものが少なくなかった。そのことはブログでも書いてるけど)
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
9 続いて、すでに「文化的マルクス主義」というページがウィキペディア内にないかどうかを確認するよ。これは単に検索するだけ。 pic.twitter.com/t0FQam1NEz
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10 「文化的マルクス主義」というページが日本語ウィキペディアにないと確認できたので、それで立項することにしたよ。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
次は翻訳された記事の形式etcの見本になるものをちょっと見てみることにするよ。その場合、「Category:翻訳直後」 https://t.co/aRSmkiFbxz から何か適当に表示させてみるといいよ
11 ここでは「ジャマル・カショギ」を見てみるよ。 https://t.co/gL85IS7vJZ 上部に「翻訳されたばかりの記事」のテンプレートが貼ってあるよ。そこを見ると「修正、加筆に協力し、現在の表現をより自然な表現に」云々とあって、翻訳者としては心底悶々とするよ。「自然な表現」ワロスワロス pic.twitter.com/eoBuOXzLEK
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
重要なのは「自然な表現」かどうかではなく、「原文の言ってることを言っている訳文かどうか」、「原文の言っていないことを言っている訳文になっていないかどうか」であり、もし原文の言っていないことを言っている訳文になっている場合はそれに妥当な理由があるかどうかであるというのに、(続
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
……運営はそれを全然わかっていない。ウィキペディアのような場では、日本語版では必要のない細かい情報が英語版にはあるといった場合は割愛するのが妥当だし、逆に、翻訳しただけでは必要な情報が伝わらないときには適宜補うことも妥当どころか必要。「訳文が自然かどうか」は正直どうでもいい。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
12 こういうところでいちいちイラつきながら、「ジャマル・カショギ」の項のソースを確認して、書式的に使える部分はそのまま使わせていただくことにするよ。カショギさんの項だと人名だからテンプレートが違うな、ということに今更気づくよ。頭が悪いね。 pic.twitter.com/lTWy6zANTh
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
13 気を取り直して、「文化的マルクス主義」と同じテンプレになりそうな分野の項を探してみるよ……「スラックティビズム」 https://t.co/WSflTVxV6C なんてどうかなあ。ああ、よさそうだからこれを使おう。出典も英語のままでガンガン載ってるし。 pic.twitter.com/Ylw12FdaPg
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
14 ここでようやく作業開始だよ。ここまでで小一時間かかっているよ。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
9のところでウィキペディア内検索してみた「文化的マルクス主義」の赤い文字のリンクをクリックすると、新規ページの作成ができるよ。 pic.twitter.com/SzyOfhttEm
15 原典のソース https://t.co/kgxRgAfhIm を開いて、表示された文面を全部コピーして、14で開いたページに貼りつけ、13で得た日本語版に翻訳された記事のテンプレート等書式を貼り合わせて、作業開始だよ。しばらくTwitterからは離れるよ。 pic.twitter.com/mFLLHG6s2Q
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
そうそう、ウィキペディア日本語版ではいくつかの機械翻訳は使っていいということになってるけど(See https://t.co/eyITHxGSNA ただしDeepLもみらい翻訳もライセンスの関係で使えない)、私は機械翻訳は使わないよ。機械の書いた文は基本的に読むに堪えないものになるので、使うと逆に時間かかるから
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
「機械の書いた文」がどういうものかは、https://t.co/5fSp0VnQin の自動記述エンジンを試すとわかると思うよ。機械翻訳はこのプロセスに英語と日本語のやり取りを経たものを組み込んだもの。そこで書かれている言葉は何も理解されずに連ねられた文字列に過ぎなくて、意味を成しているのは偶然なんだよ
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
16 翻訳の作業に入る前のウィキペディア独特の下準備、まだもう1段階あった。さっき「スラックティビズム」の項から貼り付けたテンプレートを、今からやる項に適するものに書き換えるという作業。原典の「履歴 revision history」を参照して必要な情報を得てコピペ。これは「概要」欄でも使う。 pic.twitter.com/RIZDATuCJJ
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
「概要」欄記載の方法などは https://t.co/I2WjHdv7J6 で見た「翻訳のガイドライン」を参照。こうやって、ウィキペディア内であっちこっちを見ないと記事翻訳はできないんだよ。めんどくさいし、負荷が高すぎるよね。誰もやってないのはこういう背景があるからだよ。当人は英語で読めばわかるのだし。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
17 翻訳の作業に入ったら、1行目からいきなり訳語がわからないよ。英語ではわかるし具体的なのも知ってるんだ、Western Marxismって、グラムシとかでしょ。でも日本語で……? ってなるので、リンク先に飛ぶんだけど、そこにも日本語の訳語はない。 pic.twitter.com/1JdvAkMiLB
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
ここで徹底して調べるなどしていたら1行進むのに1時間では足らなくなるので(これが社会科学系の翻訳という作業の基礎です。自分が使いたい用語を使うのではなく、誰かが使っている用語を正確に他の原語で表す。「何となく」は禁物)、今回はここは英語のままにして先に行きます。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
ウィキペディアでは、英語記事を翻訳する場合などの英語版のリンクをそのままにするにも表記ルールがあります。 https://t.co/36D8GoXZlY を参照。めちゃくちゃ作業負荷が高いということがおわかりいただけるかと。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
しかし、Western Marxismなんて用語、このテンプレートの中のどれを使ったらいいのかすら見当もつかない。ていうか、今の作業的には心底どうでもいい……。ウィキペディアの翻訳は、こういうふうに、「リンク」ということに関して異様に負荷が高くて、作業に集中できないんです。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
今つっかえているところが、組織名や人名などの固有名詞であれば、例えば「スラックティビズム」の項 https://t.co/WSflTVxV6C にあるUK Uncutのように処理するのが妥当です。でもWestern Marxismって固有名詞じゃないよね……そしてこんなの、本題から見れば、果てしなくどうでもいいことなんです。 pic.twitter.com/vtajomWmvv
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
こんなことでぐったり消耗して、作業自体がどうでもよくなってしまいました。社会科学分野のウィキペディアの翻訳はこれとの闘い。英語圏で使われている何気ない用語がこの言語圏にはない、ということが多いので。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
こうやって、リンクのある用語はいちいちクリックして、日本語版があればそれに合わせる、なければ自分で訳語を探す(そしてさっきのWestern Marxismのようにドツボにはまる)というのが作業工程に入るわけですが、日本語話者の感覚ではいくら何でもそこはリンク不要でしょってのがあるんですよね。 pic.twitter.com/ReDh60i7Vx
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
Subversionなんて一般名詞じゃないっすか、と思ったら、政治用語としてはいろいろあるみたい。 https://t.co/gIl0msx338 英語は日本語とは違って、分野によって用語や漢字が違うということがないので、まあ、わからんでもない。でも日本語話者から見れば邪魔。こういうところは「翻訳」であれカット。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
18 こうして、作業に着手してから1時間以上、下準備を始めてから2時間以上かけて、ようやく書き出しのパラグラフが日本語になったよ。clumsyな日本語で見るに堪えないかもしれないけれど、気にしないよ。「翻訳」でなければもっと「自然」に書けるのかもしれないね。 pic.twitter.com/liyT7VGZSb
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
19 そして息をつく間もなく次の難関。Cultural Bolshevism =「文化ボルシェヴィズム」っていう用語を私は知っているんだけど、それがウィキペディア内で通用する用語なのか、リンク先に飛んで日本語の用語を確認という事務的作業を淡々としようとしたら、これ。何この転送とびっくりしたらこの図の通り pic.twitter.com/rIposcRM1y
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
これは日本語版では、アンカーへのリンクがはれないから、「『退廃芸術』内を参照」という脚注を加えておくしかないか。面倒だな……個別に立項してほしい(極論)
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
20 さらにこの箇所を見ていて、英語版でリンク忘れてるじゃないのっていうことに気づいてリンクを追加してくるなど。作業が全然進まないよ。ウィキペディアの翻訳って一事が万事この調子なので、翻訳作業に不可欠な「スピードに乗る」ということができないんです。 pic.twitter.com/LAkONNLX9r
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
21 ようやく、記事冒頭の概要部分の日本語化が完了(まだ推敲のプロセスがこの後に入る)。英文を読んで内容を把握するだけなら1分程度のところ、ウィキペディアの翻訳だと3時間近くかかっているよ。(この連ツイの最初が17:47で、現在21:00。途中お茶入れるなどしているけど食事はしていない) pic.twitter.com/GAfIGrZJGh
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
で、ここまで普通にやっておいて何なんだけど、現在ウィキペディアで提供されている「翻訳」の機能を利用すると、英語の記事を自動でGoogle翻訳に投げて得られた結果を表示してくれるので、それをポストエディットするだけでいいという形にはなってるんだよ。でも私は機械翻訳の文は、そこに何が…… pic.twitter.com/Vg7ylcE7Oq
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
……書かれているのかを個人個人が把握するためには利用できても、「普通の文章」として他人に読ませることができるクオリティではなく、その推敲作業とされるもの(ポストエディット)をすると自分の頭がおかしくなるということは自分でよく知っているので、この機能は使わないんだよ。ただ、……
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
……ただ、ウィキペディア内リンクは機械的に処理するものなので、この機能を使うと簡便ではあるよね。そこらへん、併用していくようにすれば作業時間の短縮をはかれると思うよ。でも、翻訳作業に集中してスピードに乗るということは、ウィキペディアでは無理。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
で、翻訳をやっている人ならば、こうやって人間が原文を読んで理解したうえでアウトプットしている訳文と、機械がアルゴリズムでなんかそれらしいものをくっつけて出力してくる文字列の違いはわかると思うんだけど、一般の人たちはそんなこと気にしないよ。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
人間の訳文のぎこちなさと、機械出力のめちゃくちゃさの区別なんて、つく人はほとんどいないんだよ。「そんなに時間がかかるんだったら、機械でちゃちゃっとやって、必要に応じて手直しすればいいじゃん」って言われるだけだよ。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
余談: ウィキペディア内リンクが多いところを機械に処理させてるんだけど、この箇所、Google翻訳は英語の中にいきなりフランス語の bêtes noires という単語が出てきたのでわけがわからなくなって、勝手に処理を中断している。bêtes noiresなんて英語にとっては普通に「外来語」でしょうに。 pic.twitter.com/kzNvJTH1ZN
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
22 「翻訳」というか「日本語圏になじみやすいものにするという作業(ローカライゼーション)」的な分野のこと。添付画像の2番目の小見出しのセクションに出てくる固有名詞はこのままカタカナ化してもしょうがない(全体の意味が取れなくなるばかり)なので工夫する必要がある。また…… pic.twitter.com/BIkGMO5cVQ
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
……最初の小見出しのセクションとその次のセクションの間に、日本語では何かつなぎになるクッションみたいなのがないと、話がぶつぎれで何をいいたいのかよくわからない文面になる。こういう対応は機械翻訳ではできない。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
(こういうところは「翻訳」、つまり他人の言葉を他言語に移し替えるという神経を使う作業ではなく、自分でちゃちゃっと書いてしまえばいいから楽。知ってることならなおさら楽だけど、百科事典の無味乾燥な文でも、少々調べものをしなければならないことであっても自分で書けるところは楽)
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
プロセス22としては、マーカー箇所を補って、日本語にしてもあまり意味をなさない固有名詞については簡略化するようにしてみた。 pic.twitter.com/7zKQ0k3HuJ
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2022年8月9日
「文化的マルクス主義」って中身は陰謀論だから滅茶苦茶疲れるんだよね。