Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

-ing形の区別, 等位接続詞, 接続詞的に用いられるalso, 長い主語(8月19日、世界人道デーにあたり)

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今回の実例は、国連の専門機関が一般向けに出している文章から。

8月19日は「世界人道デー World Humanitarian Day」である。「世界人道デー」の由来は、2003年8月19日、イラク戦争サダム・フセイン政権が崩壊した後のイラクの首都、バグダードで、国連の事務所にボム攻撃が行われ、デメロ特別代表を含め22人もの国連スタッフが亡くなったことにある。この攻撃で国連はイラクから撤収することになった。

国連を無視する形で英米とそれに追随する各国によって強行されたイラク戦争後の秩序などなくなったイラクで、国連の仕事を任されていたデメロ特別代表は当時55歳。中東、カンボジアバルカン半島東ティモールなどで平和/和平を実現するために尽力し、功績をあげてきた人で、当時「ゆくゆくは国連事務総長になる」と目されていた。現在では彼の伝記映画が制作されて、Netflixで見られるようになっている。下記ブログにレビューなどがある。

blockbuster01.com

国連事務所を攻撃対象とし、デメロ氏ら22人を一度に殺すなどという常軌を逸したことをした連中は、当時イラクで広範に起きていた米英の侵略に反対するレジスタンス運動とは一線を画していた(当時はそれがよくわからなかったのだが)。当時、誰も聞いたことのないような組織名で犯行声明が出たのだが、実際にこの攻撃を計画し実行したのはアブ・ムサブ・アル=ザルカウィだった。国連事務所爆破攻撃の翌年、2004年に「イラクアルカイダ」を名乗るようになったザルカウィ武装組織は、ザルカウィ本人が2006年に米軍の攻撃で殺害されたあとも続き、2011年にシリアの反アサド政権抗議行動が軍事化したあとに活動域をシリアにも広げ、アルカイダとの関係も絶ち、「イラクとレヴァントのイスラム国」、つまり日本語圏ネットスラングで言う「イスイス団」となった。

こいつらは、「イスイス団」になる前も、大勢の人道支援者やジャーナリストを含む外国人を標的として殺したが、ただ殺すだけでなく、その殺害をスペクタクル・ショーとして映像に記録し世界中にばらまくということをやってきた。2004年10月にイラクで誘拐された日本人青年の殺害の瞬間は、当時、ネットで誰でも閲覧できるような場にあって、日本語圏のネット掲示板でも「これが戦争の現実だ」「残酷だが日本人は見なければならない」などという日本語の惹句を添えて、拡散されていた(私は見なかった。見るべきものではなかったので)。あれを日本語圏で拡散していたのは、いったいどういう動機を持ったどこの誰だったのか、私は今も知らない。つまり、あの連中は、ハンディカムとインターネットを最大限に活用して世界中に「恐怖」を拡散しようとしたのだ。もっとも、その「恐怖」がリアルなものとして受け取られたのは、「建国宣言」がなされ、西洋から非常に多くの青年男女がそこに加わり、その思想に共鳴した人々による西洋諸国での無差別攻撃が続発するようになった後だったが。

 

そのような流れの、おそらく私たち外部の者が認識できる最初の一点となった国連爆破事件は、その後、「テロを非難する日」ではなく(←ここ重要)、「人道のために働く人々を顕彰する日」となった。

バグダードでの爆破)から5年後の2008年、世界中で頻発する紛争や災害などにより避難や困難な生活を強いられている人々と、危険と隣り合わせになりながらも、少しでもこうした人々の手助けができればと願い行動する「エイド・ワーカー」の双方に思いを寄せることを目的として、国連総会によって8月19日が世界人道デーとして定められました。以降毎年この日に、世界人道デーにちなんだグローバルなキャンペーンが展開され、世界各地で関連イベントも開催されています。日本でのイベントは2013年に始まり、毎年のように神戸で開催されています。 

https://www.unocha.org/japan/%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%BA%BA%E9%81%93%E3%83%87%E3%83%BC-whd

 

今年、2020年の世界人道デーで、国連OCHA(UN Office for the Coordination of Humanitarian Affairs: 国連人道問題調整事務所)は #RealLifeHeroes というハッシュタグを立てて、新型コロナウイルス禍の中で必要な医療を受けることが困難な人々を生き続けさせるために献身的に活動している人々を特集した。世界各地で医療や緊急・救急の分野で活動する11人が取り上げられている。記事はこちら: 

unocha.exposure.co

今回の実例はこの中から、インドネシアで救急医療活動にあたる医師、デブリナ・デウィ・ルマナウさん(カタカナの読み方は、アルファベットをそのまま読んだだけなので、微妙に間違っているかもしれない)についての記述を見てみよう。

 

f:id:nofrills:20200822145903j:plain

https://unocha.exposure.co/meet-reallifeheroes

キャプチャ画像で大きな文字で示されている部分: 

Seeing with my own eyes what happens during a disaster, being able to help those in need with all my power, also failing to do so, has taught me so much about life.

書き出しの "Seeing" を見た瞬間に、「これは《分詞構文》だろうか、あるいは《動名詞》が主語になっているのだろうか」と考える。Seeingという単語は分詞構文で用いられることが多いから、仮に「分詞構文かな」と想定して読み進めてみよう(私がこの文を見たとき、実際にそうしたのだが)。

すると、そのあとにもうひとつ -ing形が出てくる。それは接続詞も何もなく並べられているが: 

Seeing with my own eyes what happens during a disaster, being able to help those in need with all my power, also failing to do so, has taught me so much about life.

そういうのに出くわしたら、「これは、《A, B and C》のような等位接続詞の構造で、このあとに接続詞が出てくるんじゃないか」と予期しながら読むことになる。そして実際ここでは: 

Seeing with my own eyes what happens during a disaster, being able to help those in need with all my power, also failing to do so, has taught me so much about life.

というように、"also" という語が出てきて、さらにもうひとつ、-ing形が続けられている。つまり、《A, B, also C》の形だ。

alsoという語は基本的に副詞なのだが、ときどき接続詞のように用いられることがある。これは and also のandが欠落したような形で「その上に」という意味だ。ライティングでこれを使ったら直されることもよくあるのだが、少なくとも日常的な言葉遣いではよく見る。

というわけで、この文、ここまでは「災害のときに何が起きるかを自分の目で見て、支援が必要な人を全力で支援することができ、またそれができない」という列挙の構造になっていることは把握できた。

ではこの3つの-ing形は《分詞構文》の《現在分詞》なのか《動名詞》なのか? ……というところで、次の構造が見えるはずである。

Seeing with my own eyes what happens during a disaster, being able to help those in need with all my power, also failing to do so, has taught me so much about life.

青字にした "has taught" はどっからどう見ても動詞。したがって、その前にある部分は主語であるはずで、したがって、この-ing形の羅列は、とても長くなっているが、文の主語であり、-ing形は動名詞である。

正直、主語がここまで長いということはかなり珍しいので、私も "has taught" に到達するまでの1秒か2秒の間は、「分詞構文かな」と予期しながら読んでいたのだが、ここでそれが一気に覆されて「~することは、私に教えてくれた」という無生物主語の構文だということがわかる。

こういうのが正確に読めるかどうかということ、何となくイメージだけで読めた気になっていないかどうかということは、自分で英文を読みながらチェックしていくようにしたい。

 

※3730字

 

参考書:  

英文法解説

英文法解説