Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

検索にAIが組み込まれるようになって、翻訳現場はちょっとだけ楽になったかも(人名の読み方、著名人の場合)

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17日にnoteのほうで、下記のエントリをアップした。

note.com

アメリカ合衆国には仕事で必要な範囲の最小限の関心しか持っておらず、食というものにも特に関心がない*1ので知らなかったのだが、アメリカには、食に関するJames Beard Awardという権威ある賞があるのだそうだ。1985年に亡くなったJames Beardさんという専門家(日本でいうところの「料理研究家」)を顕彰するために作られた財団が運営している賞で、毎年、「最優秀シェフ賞」など食の現場に立つ人やお店を表彰しているほか、「メディア部門」もあるといい、そのメディア部門で、今年はパレスチナ人が3人、一度に選ばれた、ということがあった。

テント暮らしの人々にかなりちゃんとした食事やおしゃれなデザートを大鍋で作る炊き出しの様子を、TikTok形式のテンポのよいビデオにまとめて世界中に発信しているハマダ*2さん、ジェノサイドが始まったあとにガザを後にするという苦渋の選択をし、現在は米国を拠点としている詩人でジャーナリストのムスアブ・アブートーハさん、在外パレスチナ人として、親から自分に伝えられてきたパレスチナの料理のレシピを書き残し出版するなどの活動をしてきたライラ・エル=ハダッドさんの3人である。

詳細はnoteに書いたエントリを参照していただくとして、こちらに書いているのは、この賞、James Beard AwardのBeardは何と読むのか(どうカタカナにすればよいのか)ということについての調べもののことを書いておきたかったからである。つまり、「ビアード」なのか「ベアード」なのか、だ。

 

翻訳という作業をしたことがない人にはイマイチわかってもらえない気がするんだけど、アルファベットで書かれたものを日本語に訳しているときに、文中に出てくる人名や地名などの固有名詞を「訳す」、つまり「カタカナにする」*3作業は、なるべくやりたくない。これはクリエイティヴィティのかけらもない、事務的な作業で、基本的に、無味乾燥で非常に退屈なものだ。書物の最初または最後にまとめて記載されている「献辞」など、日本語で印刷されているのを見るだけで涙が出てくるほど、苦痛に満ちた作業である。

そういうものはAIがやってくれたりすればいいのだが、たぶん、よほどの有名人で言及数が多い人でなければAIには扱えないだろう。日本でも固有名詞の読み方はケース・バイ・ケースであるが――例えば「中田」さんは「なかた」さんなのか「なかだ」さんなのか、「裕子」さんは「ゆうこ」さんなのか「ひろこ」さんなのか「やすこ」さんなのか――、英語でもそうだ。

例えばStephenという男性のファーストネーム。英語では「スティーヴン」だが、フランス語では「ステファン」。なので、イングランドのStephenさんは「スティーヴン」さんだろうが、カナダのケベックのStephenさんは「ステファン」さんだろう。だが、カナダのケベック出身で米国のニューヨークに住んでいるStephenさんはどうか。移住したのが大人になってからなら「ステファン」で通しているだろうが、子供のころに引っ越したのなら英語化した「スティーヴン」を使っているかもしれない。本人や周りの人に確認しないとわからない。アルファベットのままにしておけるなら調べる必要などないことだが、カタカナにしなければならないとなると「ステファン」なのか「スティーヴン」なのかを確定しなければならず、調べる必要がでてくる。

あと、女性名のMeganもカタカナにするにはいちいち確認しなければならない名前として悪名が高く、英国のハリー王子と結婚したMeganさんは「メガン」だし(日本語圏では「メーガン」と表記される)、米国で性犯罪者情報公開法整備のきっかけとなった悲惨な事件の被害者のMeganさんは「ミーガン」である。

人名は「本人が言う通りにする」というのがあって、それによる変更があったこともある。有名どころでは、俳優のWarren Beattyが長く「ウォーレン・ビーティー」と表記されてきたのが、本人の申し入れもあって「ウォーレン・ベイティ」に訂正されたことがあるし(どうせならWarrenも「ウォレン」に……)、米国の第40代大統領であるRonald Reaganは自身が姓の読みを途中で「リーガン」から「レイガン」に変更するということがあり、それが日本語の表記基準で [ei] の二重母音は「エー」と長音で表すというルールも適用された結果「レーガン」になった。

 

と、「人名ってケース・バイ・ケースで大変なんですよ」という話になってしまったが、それでも、著名人なら名前の読み方は広く知られている(例えば音楽プロデューサーの「中田ヤスタカ」さんは「なかだ」ではなく「なかた」だし、物理学者のStephen Hawkingさんは「スティーヴン」さんだ)。そういう場合は、現在検索に組み込まれているAIでもかなりの精度でやってくれるだろう。いちいち個別に人名辞典の類を参照すると5分では終わらないかもしれない無味乾燥な作業が、AIに投げれば1秒だ。

 

というわけで、途中で話の幅がめっちゃ広くなってしまったが、James Beard AwardのBeardは何と読むのか(どうカタカナにすればよいのか)、つまり、「ビアード」なのか「ベアード」なのか、というのは、本当にググっただけですぐに確認できた。私が夢に見ていた「面倒な作業は機械がやってくれる日々」はもう到来している。

ググった結果: 

https://www.google.com/search?q=james+beard+pronunciation

私の環境では、下記のように、Britishの発音が最初に表示されるのだが: 

https://www.google.com/search?q=james+beard+pronunciation

ここはドロップダウン・メニューでAmericanに切り替え可能である。

https://www.google.com/search?q=james+beard+pronunciation

Googleの検索結果には音声もついているので、目で(文字で)見て判断するだけでなく、耳で聞いて判断することもできる。

Google検索の場合は、さらにこの下の方にあるYouTubeでJames Beard氏について、またJames Beard Awardについての映像類で名前を確認することもできる。これまではいちいち個別にYouTubeにアクセスして検索していたことが、ここだけで済むようになっている。

 

便利になったものだ。これで表音文字での人名の読み方を調べるのは、かなり楽になるだろう。

 

ただし、AIなのでとんちきなことを言い出すこともある。さっき「ステファン」という人名に言及したが、これをGoogleに投げると、今のところ、順当にめちゃくちゃだ。

https://www.google.com/search?q=%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3

どっから出てきた、「エティエンヌ」。

 

さらに: 

https://www.google.com/search?q=%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3

「人名」は「名」のことだろうと流すとして、「人名だけでなく、姓としても使われることがあります」という説明で列挙されている6個もの実例のうち、どれひとつとして「姓」ではないのは、さすがに「ハルシネーション(幻覚)」とかいう美しい名称で扱ってやらず「デタラメ」とか「適当ぶっこき」と扱ってやらなければいけないんじゃないかと。

 

 

 

 

*1:私にあるのは「関心」ではなく「好き嫌い」である。肉を食わないのは肉が嫌いだからだし、肉を食わないと、圧倒的品数がぎゅうぎゅうに詰め込まれているカルディに行っても買うものがない(あの店のものは、人々が目をキラキラさせて語る調味料やレトルト、瓶詰はほぼ全部「肉エキス」「鶏ガラスープ」の類が入っている)。よってカルディにも関心がない。スパイスと豆は安くてありがたい。

*2:モハンメドの愛称である。

*3:例外は中国語と韓国語・朝鮮語の人名で、それらはアルファベットから調べるのではなく日本語での人名表記を調べることになる。Xi Jinpingは「シー・ジンピン」ではなく「習近平」だし、Lee Jae-myungは「李在明」もしくは「イ・ジェミョン」である。

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