Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

so ~ that ... 構文, やや長い文, to不定詞の副詞的用法, 疑問詞節(英最高裁判決後の保守党中道派の動き)【再掲】

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このエントリは、2019年9月にアップしたものの再掲である。文法とは関係なく内容として、英国の保守党の政治はここで述べたような路線が既定路線になってしまい、それ以前とは完全に変質していると思う。米国の共和党、日本の自民党に起きたことと同じようなことが、英国の保守党にも起きた、というだけの話かもしれないが。

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今回の実例は、英国会で起きたことについての報道から。

起きたことがあまりにひどすぎて信じがたくて心が折れたので、今回は背景解説なし。記事はこちら: 

www.theguardian.com

 

「解説なし」とは書いたけど、見出しにある固有名詞程度は少し説明しておく必要があるだろう。

One-nation (ハイフンを使わない表記も一般的) とは、この場合、英保守党内の中道派(政治全体でいえば中道右派)を指す用語である。英国以外では別の意味を持つことがあるので要注意だ(例えばオーストラリアでは極右政党がOne Nationという党名を使っている)。ウィキペディア英語版によい解説があるが、詳細すぎてわかりづらいかもしれない。ざっくりと「保守党内の穏健派(リベラル派)」くらいに思っておいてよい(「何がどう『穏健』なのか」と突き詰めて考えたい人は、英国政治沼においでください。歓迎しますよ)。

en.wikipedia.org

 実例として見るのは記事の中ほど。

f:id:nofrills:20190926115546j:plain

2019年9月25日、the Guardian

MPs in the One Nation group, which is led by Damian Green, the former de facto deputy prime minister, said they were so worried about No 10’s lack of efforts to build such a cross-party consensus that they were opening up their own channels with Labour MPs representing leave areas to see where the potential lies for a majority for a possible deal.

薄いグレーの文字で示した関係代名詞節の挿入などがあり、やや長い文となっているが、まずは上で下線で示したsaidを見つけて、そのあとの部分はsaidの目的語のthat節(のthatが省略されたもの)という構造を見て取って、that節内が太字で示したように《so ~ that ...》の構文になっていることがわかれば、読むのは難しくはないだろう(訳すのは大変かも。名詞構文だから)。

《so ~ that ...》の構文は、これまで何度も当ブログで取り上げているし、学校でもしつこいほど習うはずだし、大学受験でも頻出だから知らない人はいないくらいの有名構文で、「たいへんに~なので…だ」という意味を表すが、今回の例では本当にびっくりするようなことが起きているということを表すのに用いられている。

「本当にびっくりするようなこと」というのは、保守党の議員たちが労働党の議員たちに接触している、ということだ。それほど、保守党で起きていることがひどいということで、党内だけで対処しようとしても先日議場で造反したことで21人の議員(その中には重鎮や有力者、将来の党のホープも含まれていた)が党籍を剥奪された形になったことを考えれば、むべなるかな……と思わずにはいられない。

saidの目的語のthat節:

they were so worried about No 10’s lack of efforts to build such a cross-party consensus that they were opening up their own channels with Labour MPs representing leave areas...

この意味は、直訳すれば*1「ダウニング・ストリート10番地(首相官邸)で、そのような党派横断的なコンセンサスの構築に向けた取り組みが行われていないことについて、彼らはたいへんに心配しているので、彼らは、離脱票が上回った地域を代表している労働党議員らと彼ら自身のチャンネルを開いているほどだ」。

 

上記直訳では外したが、最後にある "to see where the potential lies for a majority for a possible deal" は《目的》を表す《to不定詞の副詞的用法》と、whereの《間接疑問》というか《疑問詞節》が入っており、「どこに可能性があるかを見つけるために」というのが文の骨格の意味である。そのあと、"for a majority for a possible deal" は、教材に使うにはあまりに日本語にしづらいので(翻訳自体は難しくないのだが)、ここでは割愛することとしたいが、意味はわかるだろう。これら、労働党議員と独自に接触している保守党議員たちは、合意を得るために必要な過半数を取れる可能性はどこにあるのかを見極めるためにそうしている(下院での過半数を取ろうと根回しをしている)ということである。

 

 トム・ネアン読んどかないとね……

The Break-Up of Britain: Crisis and Neo-Nationalism

The Break-Up of Britain: Crisis and Neo-Nationalism

 

 

参考書:  

徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

 
英文法解説

英文法解説

 

 

*1:逆に直訳はやりづらい文なので奇妙な日本語かもしれないが、教材としては直訳を示すのが一番なので、読みづらいなどの文句はご遠慮願えればと思う。

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