今回の実例は、Twitterから。
任期切れ間際の米大統領によるの恩赦が、ここ数日間行われている。犯行当時に18歳だった殺人事件で有罪となり死刑を言い渡されていた人の死刑が執行される一方で、ドナルド・トランプが恩赦しているのは、ロシアとの関係などで有罪となった自分の身内や、数年前にやっとのことで起訴・有罪判決が実現したイラク戦争時の戦争犯罪人(市民が普通に暮らしている市街地での銃乱射で17人の市民を殺した傭兵たち)である。特に日本時間で今朝入ってきたのは、ロジャー・ストーンやポール・マナフォート、娘イヴァンカの夫の父親であるクシュナーといった面々を恩赦するというニュースで、私が見ていたTwitterの画面では、あまりにひどすぎて誰もが言葉を失う(ニュースフィードだけがひたすらリツイートされてくる)という状態になっていた。
そういう中で何とか書かれた言葉のひとつを、今回は実例として参照しよう。こちら:
In pardoning Stone and Manafort, Trump is holding up his end of agreements to obstruct justice and completing a crime. If the Mueller Report had stated that conclusion clearly, we might be in a different world today.
— Susan Hennessey (@Susan_Hennessey) 2020年12月24日
ツイートの2番目の文。
If the Mueller Report had stated that conclusion clearly, we might be in a different world today.
《if + 過去完了, S + 助動詞の過去形 + 原形》の形、つまりif節が仮定法過去完了、主節が仮定法過去の文だ。これは「もしもあのときに~であったならば、今は…だろう」ということを述べるときに使う形である。文意は「モラー報告書がその結論をはっきりと述べていたならば、今ごろ私たちは別の世界にいたかもしれない」。
この形は、自分の体験や誰かの体験で例文を考えてみると、納得しやすい。例えば「昨晩、もっと早く寝ていたら、今眠くないだろうに」とか、「中学時代にもっと一生懸命に数学を勉強していたら、今こんなに苦労していないかもしれない」とか、「小学校の時に『動物のお医者さん』を読んでいなかったら、自分は今、獣医にはなっていないだろう」とかいったように。
仮定法は、大体常に、「過去のことは過去完了で表し、現在のことは過去で表す」と考えておいてよいのだが、仮定法過去完了と仮定法過去が同居したこの形の文が自由に書けることは、仮定法についての基本の知識が定着していることを意味する。
今日はとても短いがここまで。いつもこのくらいの長さにするといいんだけどね。
※1200字
参考書: