Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【再掲】挿入, 同格のof,【ボキャビル】for the first time, too, none of ~, according to ~(暖冬のヨーロッパとアイスワイン)

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このエントリは、2020年3月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、この冬の気温の高さが、ある小規模な産業に及ぼしている壊滅的な影響について、230語程度の短い記事から。

短いだけでなく記述も平易で内容もわかりやすいので(センター試験の長文問題が読めるくらいの力があれば、この記事も読めるだろう)、突然学校の授業がなくなってしまって英語に接する機会が失われて困っている学生さんに読んでもらいたい記事だ。

今回の記事は特に予備知識なく読めるように書かれているが、念のために少し説明を入れておこう。 このニュース記事のトピックは「アイス・ワイン ice wine」というお酒で、詳細は下記に詳しい説明がある。(未成年は「世界にはこういう飲み物がある」ということを知識として仕入れるにとどめるように。)このワインの生産には、冬季にブドウが凍ることが必要である。

www.enoteca.co.jp

私もこのワインのことを知ったのは、かなり最近だ。どういう味なのかは実際に飲む機会がないので想像するよりない。ブドウが栽培できるくらい夏が温暖な気候で、冬は厳寒となるような場所は、北半球の中でもたぶんあまりない。だから、そういう土地で作られている「アイス・ワイン」は、何もなくても生産量が少なく、希少価値が高い。私が普通に買い物に行くようなお店には置いていない。

その、規模としては小規模な産業を襲ったのが、この冬の気温の高さだった。記事はこちら: 

www.bbc.com

BBCはこのニュースを「気候変動」関連ニュースと位置づけ、見出しでもそのように扱っている。

 

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2020年3月1日, BBC News

記事の最初のパラグラフ: 

Germany's harvest of ice wine - a dessert wine produced from grapes that have frozen while still on the vine - has failed for the first time because the winter has been too warm.

太字で示した部分は、ハイフンで挟んだ《挿入》だ。ここでは直前の "ice wine" とはどのようなものかを具体的に説明するフレーズが挿入されている。「ドイツのアイスワイン、つまりまだつるになっている間に凍結したブドウから作られるデザートワインの(原料となるブドウの)収穫」という意味だ。

下線部の前置詞 "from" も注目だ。よく、「be made from 原料」、「be made of 材料」と習うが(「原料」は、完成したものを見てもわからないもの、「材料」は完成品を見ればわかるもの、と区別される。例えば「石油とプラスチック」は前者、「木と机」は後者である)、動詞がmakeでなくproduceでも同じである。

青字で示した《for the first time》は「初めて」という意味の熟語。高校2年生~大学受験生の英作文の答案を見ていると、意外とこれがちゃんと使えてないので、しっかり押さえておこう。「初めて」は「最初は」や「最初に」とは意味が違う。

  In 2000, I visited London for the first time

  (2000年に、私はロンドンを初めて訪れた)

  There I first went to the British Museum. 

  (そこでは最初にまず私は大英博物館に行った)※「他のことをする前に」の意

  At first I thought the museum was as big as Tokyo's national museum. 

  (最初は、私は大英博物館は東京の国立博物館と同じくらいの規模だろうと思っていた)

  I was wrong. It was a huge museum. 

  (私は間違っていた。大英博物館は巨大だった)

 

この文の最後のbecauseの節では、副詞のtooが使われている。これは「あまりにも~だ」の意味。これも自由英作文で自分が使いたいときにすっと使えるように準備しておくべき表現である。

  I got sick because I ate too much. 

  (食べ過ぎたので、具合が悪くなった)

  Don't talk too loud. 

  (あまり大声で話をしないでください)

というわけで、この文は「冬があまりにも暖かすぎたため、ドイツのアイスワインの(原料となるブドウの)収穫が、初めて、失敗した」という意味である。

 

次の文: 

None of Germany's 13 wine-growing regions had the necessary temperatures of -7C to produce the wine in 2019.

《none》は全否定の代名詞で「ひとつも~ない」の意味。《none of ~》の形でよく用いられる。

  None of us called the police

  (私たちの中のだれも、警察に電話をしていなかった)

  I knew none of the team members. 

  (私は、チームのメンバーの誰一人として知らなかった)

下線で示した "of" は《同格のof》で、ここでは「必須の温度であるマイナス7度」の意味。

この文は「2019年は、ドイツでワイン(のブドウ)を育てている13の地方のうち、どれ一つとして、ワイン生産に必要なマイナス7度の気温を持たなかった」と直訳される。

 

その次の文: 

2019 was the second-warmest year on record globally, according to the US National Oceans and Air Administration.

 「2番目に暖かい(気温の高い)」をここではこのようにハイフンを使って、"the second-warmest" と表している。「全地球的に、2019年は観測記録市場2番目に気温が高かった」という意味だ。

"according to ~" は「~によれば」。このように、統計的な数値を紹介するときに、どこの統計数値なのかを示す際によく用いられる。

 

この記事は、このように平易な記述で淡々と、ドイツでのアイスワインの生産が今年は見込めないということを伝えている。最後まで読んでみてほしい。

今年は日本でも雪がとても少なかったが、この冬の暖かさは北半球全体で起きていることだ。産業などへの影響はまだこれからも出てくるかもしれない。

 

参考書:  

英文法解説

英文法解説

 
ロイヤル英文法―徹底例解
 

 

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