Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

英語版ウィキペディアで調べものをしてみる(グラスゴー・セルティックの対戦相手の名前)

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今回の実例は、ちょっと趣向を変えて、調べものの記録。

当ブログでは、ときどき、英語版ウィキペディアを使った調べものについて取り扱っているが、今回もその趣旨でやってみよう。本当に必要とされる実用的な英語力ってのは、某試験の問題文のように現実にはあり得ないような「似非リアル」的なシチュエーションで、大量の情報から必要な情報を拾い出す*1とかいうものではなく、「英語版ウィキペディアで調べものをする」とかそういう場合に使える英語力だと思うので。

今、サッカーのニュースを何となくチェックしていると、Daily Recordなどスコットランドの媒体をソースとする記事に行き当たることが多くなった。英国(ブリテン)のスコットランドのサッカー・プレミアシップの強豪セルティックに、日本人プレイヤーが4人も所属している(古橋亨梧、前田大然、旗手玲央、井手口陽介の各選手)からだ。この勢いでは、英国政治などの研究者よりサッカーファンの方がスコットランドのメディアに詳しくなってしまいそうなくらい、スコットランドのニュースでFuruhashi, Maeda, Hatate, Ideguchiの名前が出てくる。彼らの活躍を英語で追おうとしている人たちは、必ずスコットランドの媒体の記事を見るだろうし(英国の全国紙は事実上イングランドのメディアなので、スコティッシュ・プレミアシップのニュースは少ない)。

さて、そのスコットランドには、普段のリーグ戦とは別に「スコティッシュ・カップ」というカップ戦がある。これはイングランドの「FAカップ」、日本の「天皇杯」に相当するもので、アマチュアセミプロからプロまで、いろんなチームが出場する。だから、このカップ戦に関するニュースでは、普段のプレミアシップのニュースには出てこない、アマチュアセミプロのチーム名が出てくることがある。

en.wikipedia.org

週末、ニュースをチェックしていて遭遇したのは、そういうチーム名だった。セルティックの井手口が、スコティッシュ・カップでの「アウラアスレティック」との試合で、相手プレイヤーの「モハメド・ニアン」に足首を踏まれて負傷退場となった、という報道だ。

 現地時間1月22日に開催されたスコティッシュカップの4回戦で、日本人選手4人が所属するセルティックが、3部のアウラアスレティックと敵地で対戦した。2-1で勝利し、ラウンド・オブ16へ駒を進めた。

 この試合では、FW前田大然とMF井手口陽介が先発。MF旗手怜央はベンチに入ったものの出番はなく、故障中のFW古橋亨梧はメンバー外となった。

 初先発で1点目に絡む活躍を見せた井手口にアクシデントが発生したのは、60分過ぎだった。ボールを競り合った際にモハメド・ニアンにタックルを受け、左の足首を思い切り踏まれたのだ。

 しばらくピッチ上で治療を行なったMFは交代を余儀なくされ、足を引きずりながらピッチを去った。……

soccerdigestweb.com

アウラアスレティック」も「モハメド・ニアン」も聞いたことのない固有名詞だ。

聞いたことがないから調べてみよう、となるのは当然のことだろう。

以下はその記録である。

まず、「アウラアスレティック」はスコットランドのどこにあるどんなチームなのか。多くの場合、チーム名は「地名+『アスレティック』とか『ユナイテッド』とか」という構造になっているのだが、「アウラ」という地名は、私は聞いたことがない。カタカナから思い浮かぶ英語のスペルはauraだが(もちろんこの単語の読み方は、あえてカタカナで書けば「オーラ」であるが、地名の場合の読み方は何でもありだから、「auraと書いて『アウラ』と読むこともないではないだろう」と考えるのが常道である))、その綴りでウェブ検索しても、探しているものは出てこない。ということは、「アウラアスレティック」の「アウラ」はAuraではない。

では何か。

というところから調べものが始まる。

今回、出発点は日本語のページにしてみよう。まずは「スコティッシュ・カップ」を日本語ウィキペディアで参照する。

ここを見る限り、日本語ウィキペディアには「今期のスコティッシュ・カップについての詳細なページ」はなさそうなので、ここで英語圏に移動する。PCで見る場合のサイドバーから、Scottish Cupについての英語版ウィキペディアを参照し、英語版のエントリに飛ぶ。 

Scottish Cup - Wikipedia

その中で今やってるトーナメントについて詳しく記載されているところがないかどうかとざっと目を走らせる……と、あった。

For the 2021–22 edition, preliminary round are contested by 37 clubs.

en.wikipedia.org

場所はここ↓

f:id:nofrills:20220124182256p:plain

 

これのリンク先に飛ぶと、現時点でFifth roundのドロー(組み合わせ)まで決まっていることが確認できるので: 

f:id:nofrills:20220124182137p:plain

ページ内リンクでそこまで飛んで、1つ前のFourth roundを見れば、終わった試合(つまり報道されている試合)のチーム名が確認できよう。

そこを見てみると、「アウラ」に相当しそうな綴りは見当たらないが、「アスレチック」がつく名前は1つしかない。League One(3部)のAlloa Athleticだ。

f:id:nofrills:20220124182610p:plain

en.wikipedia.org

ここまで見て、「Alloaで『アウラ』と読むのかあ、スコットランドだし、現地語(ゲール語)かなあ」と納得してしまうかもしれないが、こういう場合はできればその先まで確認したほうがいい。

というわけでAlloaという町について見てみると: 

en.wikipedia.org

発音記号をそのまま読めば、Received Pronunciationでもeducated Scottish pronunciationでも、「アロウア」(語強勢は最初の「ア」に置かれる)である。「アウラ」ではない。

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さらに確認のため、音声素材も探してみよう。こういうときはYouTubeを使うのだが、スコティッシュ・カップの場合はカップ自体のチャンネルがあって、試合のハイライトの映像がアップされているから、それをチェックするのが早い。YouTubeで検索してもすぐに出てくるけど。

www.youtube.com

この映像で開始3秒のところで、実況の人が「アロウア」と言っているのが確認できる。映像の最後の方で、2-0でリードされていたアロウアが1点返したシーンでも、実況の人が "Alloua back in the match" と言っているが、そこでも「アロウア」だ。だが、このLの音は、ひょっとしたら「ウ」に聞こえるかもしれない(Michaelが「マイケウ」に聞こえるのと同様)。そうすると「アウウア」みたいに聞こえるだろう。

……と、今回はウィキペディアを使った実用的な調べものの実例ということでここまで書いてきたが、元の日本語記事に「スコットランドを拠点とする英国紙『Daily Record』は、マンチェスター・ユナイテッドでもプレーした元スコットランド代表MFマイケル・スチュアートが、このニアンのタックルを非難したと伝えている」とあるので、それを手掛かりにしてデイリー・レコードのサイトで記事を探してみるのが、実用という点では、一番早くて合理的である。負傷させられたIdeguchiの名前で検索してもいいし、コメントしているMichael Stewartの名前で検索してもよい。

www.dailyrecord.co.uk

※3150字

 

 

 

 

*1:それなら今どき、AIでできるでしょっていう性質のものだよね。

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