Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

挿入, 等位接続詞による構造, 関係代名詞, など(案内文を読み、必要な情報を確認し、オンライン講演に申し込む)

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今回の実例は、実用文書から。

といっても簡単な、ウェビナーの案内と登録である。

センター試験の後釜になった共通テストでも、このタイプの「実用文書」は出題されているが、あれは、「本物の実用文書」「生きた英語」と扱うのはかなり困難で、ああいう、試験のためだけに作られた文書を受験から放逐することがここ30年くらいの「改革」の目的のひとつだったはずなのに、何やってんの感がものすごく強いのだが、それはそれとして。

中東欧の歴史がご専門の米イエール大学ティモシー・スナイダー教授が、Twitterでオンライン・イベントの告知をしている。

マイアミ大学のメナード・ファミリー・センター・フォー・デモクラシーの主催だが、だれでも参加登録できるので、今回はこのイベントの参加手続きをしてみよう。

1. 開催時刻を調べる

まずは、登録しても参加できなければ意味がないので、開催時刻を確認しよう。案内ツイートにある "Monday, April 11 at 7:00pm ET" は、日本時間だと何日の何時だろうか。

私はこの "ET" が何の意味なのかをもう知っているからそこはいちいち調べないが、知らなければ辞書なり検索なりで調べてみよう。ちなみに手元にある高校生向けの学習英和辞典『ジーニアス英和辞典』(第5版)でも、ちゃんと "ET" で立項されている。

続いて、時差を調べる。時差を調べるには「時差計算」というサイトさんが便利なのだが(お世話になってます)、このサイトだと下記のように、単なる「ET」ではなく「EST」なのか「EDT」なのかを考えて(調べて)選ばないといけない。

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https://www.jisakeisan.com/

これは、夏時間というものを使っていない日本の人にとっては不慣れなことで、単にわかりづらいし面倒なのだが、そういうときは「世界時計」さんというサイトが便利かもしれない。ここは、今度は多少の地理の知識が必要になるのだが、ここで「北アメリカ」から「ET」の地域、つまりEasternのタイムゾーンにある都市名を選べばよい。

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https://www.time-j.net/

この中では「ニューヨーク」「マイアミ」だ。クリックしてみると、こういう画面になる。

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https://www.time-j.net/WorldTime/Location/America/Miami

ここで、「日本時間との変換」の欄で、「マイアミの現地時間」を「日本時間に変換」すればよい。スナイダー教授の講演が開始される米東部時間(夏時間)の11日午後7時は、日本時間では、12日の午前8時である。

と、ここまで、英語一切関係ないところでめちゃくちゃ手間取ってめんどくさい。コロナ禍以降の世界でZoomがよく使われるようになって、サイトでの表示やメールでの案内の時点でこちらのローカルな時刻で表示してくれる例もどんどん増えているが(特に欧州のオンラインイベントはそうなっている)、そうでない例もあるので、いちいちウェブサイトで調べなくてもいいように、時差計算のアプリをスマホタブレットに入れておくと便利かもしれない。

 

2. イベントの内容・条件を確認し、申し込む

次に、スナイダー教授のツイートにあるリンク先に飛んで、イベントの内容や参加条件を確認する。

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https://events.miamioh.edu/event/timothy_snyder_the_road_to_unfreedom?utm_campaign=widget&utm_medium=widget&utm_source=Miami+University+Calendar&_ga=2.262968204.1658452209.1649528542-1136118515.1649425131#.YlHO4JPMJN0
サイトが真正なものかどうかを確認する

ここで念のために、閲覧しているページが本当にマイアミ大学のものなのかどうかを確認しておこう。変なリンク先をクリックさせるフィッシング詐欺が多く発生しているので、こういう確認は習慣化しておいたほうがよい。

URLの末尾が ".edu" なので、アメリカの大学であることは見ればわかるのだが、その前の "miamioh" は何か……と、ここで気づいたのだが、この「マイアミ大学」はフロリダ州のマイアミ(上で時差計算のサイトで見たところ)ではなく、オハイオ州にある。"oh" はOhioの略だ。

と、スナイダー教授のツイートに入っている大学のTwitterアカウントを見てみると、そこに "MiamiOH.edu" と公式サイトのURLが表示されている。というわけで、今見ているイベント紹介のページは真正なものと確認できた。

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https://twitter.com/miamiuniversity

オハイオ州のオックスフォードという街にあるマイアミ大学……脳がバグりそうだ。多くの人は「オックスフォード」といえば英国のあの大学都市を思い浮かべるわけで)

 

イベントの内容や参加条件を確認する

開いたページをスクロールダウンすると、教授の顔写真の横(スマホだと下)にイベント概要の説明があり、その下に参加条件などが箇条書きされている。

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https://events.miamioh.edu/event/timothy_snyder_the_road_to_unfreedom?utm_campaign=widget&utm_medium=widget&utm_source=Miami+University+Calendar&_ga=2.262968204.1658452209.1649528542-1136118515.1649425131#.YlHO4JPMJN0

概要は、ぱっと読めばわかるだろう。というか、この英文を読んでわからない人が教授の講演を聞いても、たぶん猫に小判だ。

What lessons can we learn from history about the future of liberal democracy?  In this lecture, Snyder, the Richard C. Levin Professor of History at Yale and author of On Tyranny:  Twenty Lessons from the Twentieth Century (2017), will discuss recent developments in politics and governance throughout the Western world and the lessons that modern European and American history may offer for what lies ahead.

ここで挙げられている著作は『暴政』。これは日本でも翻訳が出ていて(池田年穂さんによる)、とても広く読まれている。公共図書館の多くにも入っているし、電子書籍もある。

《挿入》があって長くなっている上に、《等位接続詞》でだらだらしているところを解説しておくと: 

In this lecture, Snyder, the Richard C. Levin Professor of History at Yale and author of On Tyranny:  Twenty Lessons from the Twentieth Century (2017), will discuss recent developments in politics and governance throughout the Western world and the lessons that modern European and American history may offer for what lies ahead.

薄いグレーの文字で示した部分が《挿入》で、ここは飛ばし読みしてしまって構わない。

"and" が3つあるが、最初のものは "politics and governance" という語句を作るandで、軽く読み流せると思う。2つ目の、青字で示したものはそこまで簡単ではない。これは、"discuss recent developments... and the lessons..." という構造を作っている。

その "the lessons" を先行詞とする《関係代名詞》のthatの節の中にあるのが3つめのandで、これは最初のと同じく、 "European and American" というひとまとまりの語句を作るandだから、これも難しくない。この節で難しいのはむしろ、節内の主語が少し長くて ("modern European and American history")、ようやくたどり着いた述語動詞と思われるものが助動詞mayを含んでいてわかりづらく、最後にまた関係代名詞の節 "what lies ahead" があるということで、長たらしい挿入に惑わされて疲れてしまった心のやる気をざくざくとそぎ落としていくタイプの、自転車でダラダラと長く続く坂道を登っていくような文である。だが、いわゆる「文系」のアカデミックな文はだいたいこんな感じなので、スナイダー教授の本を読んだり講演を聞いたりしようという人は、このくらいは何の苦もなく読めるようにしておいたほうがよい。 

と、ここですでに4200字に達しているので、先を急ごう。

下の箇条書きの欄は、大学側のタグ付けのコーナーだという認識でざっと目を通しておけばよいのだが、ひとつだけ、確認必須のところがある。Costのところだ。

Cost

Free and open to the public; advance registration required  

「無料で、一般に開かれている」ということは、だれでも無料で聴講できるということである。《セミコロン》を挟んで、そのあとに書かれているのも重要情報で、こちらはこの手の実用文書の頻出語である過去分詞の "required" が出てきているが、「事前の登録が必要である」という決まり文句である。こなれた日本語にすれば「事前登録必須」となるだろう。

 

聴講を申し込む(登録する)

ここまで確認して、ページ内にある "Register" のボタンをクリック/タップすると、今度はZoomのURLでフォームが開く。自分が申し込みたいイベントの内容が表示されているかどうかを確認し、ここに半角英字でファーストネームとラストネーム、メールアドレスを入力して、Registerというボタンを押せば、登録完了だ。

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こうして登録したメールアドレスに、数分のうちに、下記のようなメールが届くはずである(このメールが届かない場合は、メールアドレスの入力ミスの可能性がある)。さまざまな環境での接続方法の説明があるので長い文面になっているが、基本的には、イベント当日の当該時刻の少し前に、一番上のボタンをクリックすればOKである。

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今回は無料のイベントなので、決済の手続きなどは一切入っていないから、当日の視聴URLなどが届いていることを確認したら、今日のところはメールを閉じてしまってよい。

 

というわけで、明日12日の朝8時に、Zoomを立ち上げて聴講できそうな人はぜひ。

あ、何時に終わるかが書いていないけれど、たぶん1時間ではないかと思います。

 

 

 

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