Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【再掲】東エルサレム、シェイク・ジャラー地区で起きていること: Part 2 (進行形の受動態, やや長い文, so that S can do ~, など)

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このエントリは、2021年6月にアップしたものの再掲である。

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今回は、前回の続きで、東エルサレムのシェイク・ジャラー地区で行われていることについてのIMEU (the Institute for Middle East Understanding) による解説を読んでみよう。IMEUについての説明や、シェイク・ジャラー地区についての基本的な解説は前回してあるので、そちらをご参照いただきたい。

 

前回は、Twitterでの連続投稿(スレッド)の最初の2つを読んだので、今回は3つ目から。

これは高校2年生なら(単語の問題をクリアしてさえいれば)つっかえずに読めるはずだ。文法的には《because of ~》と、《仮定法》由来の助動詞のcouldがポイントとなるが、特に解説が必要な項目でもなかろう。「司法長官の行動の欠落が原因で、東エルサレムのシェイク・ジャラ地区のパレスチナ人3家族が、早期に、強制退去に直面する可能性がある」と直訳できる。

次。

これまた、ツイートまるごと1つで1文というやや長い文だが、端正な英文である。英文法解説ポイントは矢継ぎ早だが、読みにくさというか構造が取りづらいところはない。

In total, at least 65 Sheikh Jarrah families are being targeted by settlers, who want to take over their homes as a way to fragment Palestinian neighborhoods and consolidate Israeli apartheid in Jerusalem.

 青字で示したのは、必須といえるレベルの成句・熟語。"in total" は「合わせると」「合計(累計)で」。"at least ~" は解説するまでもないが、数を表す表現を伴って「少なくとも~」。そして "as a way to do ~" は「~するための方法として」。この部分は、朱字で示した《等位接続詞》のandによる接続の構造が重要だが、これも見て取るのに難しいところはない。"as a way to fragment ... and consolidate ..." という構造である。

太字で示した部分は《進行形の受動態》で「~されつつある」。下線で示したコンマとwhoは《関係代名詞の非制限用法》。

というわけで文意は「全部で、シェイクジャラ地区に暮らす少なくとも65家族が、入植者によって標的にされているが、その入植者は、エルサレムにおけるパレスチナ人の街区を断片化し、イスラエルアパルトヘイトを確立するための方法として、彼ら(パレスチナ人)の家を乗っ取りたいと考えているのである」といったところになる。

 

その次。

これは解説するところも特にないシンプルな英文。この前のツイートを受けて、より具体的なことを説明していくという英語のスタイルで書かれていることは注目に値するだろう。「この数十年の間に、シェイクジャラ地区では入植者はパレスチナ人10家族の家を奪うことに成功している」。

これは「立ち退き」という言葉で語れるものではない。「追い出し」である。

 

さらにその次のツイート。

最初の文。述語動詞がどれか、一読しただけでわかっただろうか。

Palestinians protesting settler-instigated ethnic cleansing are now facing severe repression.

述語動詞は上で太字で示した "are facing". その前の部分は全部主語で、その中に含まれている "protesting" (下線部)は《現在分詞》で、"Palestinians" を後ろから修飾している(後置修飾)。「入植者によって煽動された民族浄化に対して抗議するパレスチナ人たちは、現在、厳しい抑圧に直面している」と直訳される。

 

その "severe repression" の中で起きたことをひとつ挙げているのがこの次のツイート。

 "Muna and Mohammed el-Kurd" と "Palestinian twins in Sheikh Jarrah facing forced displacement" は、コンマでつながれていて《同格》の関係。次のと同じ構造だ。

  Soseki Natsume, a famous novelist in Meiji Era

  (明治時代の著名な小説家である夏目漱石

この後半部分に含まれている "facing" は、これもまた《現在分詞》で《後置修飾》の句を導いている。「強制的な家屋からの追い出しに直面しているシェイクジャラ地区在住のパレスチナ人の双子であるムナとモハメド・エル=クルド」の意味。

ここで英文法から少しそれるが、「クルド」というこのきょうだいの名からわかるように、「パレスチナ人」は「アラブ人」とは限らない。クルド人もいれば、アフリカ系(黒人)のパレスチナ人もいる。それを一律に「アラブ人」と位置付けて一様に扱うイスラエルの政策は、ユダヤ人を「民族」と言えるかどうかという問題はあるにせよ、「自民族中心主義」であるという指摘はできるだろう。

 

次。これがこのスレッドの最後のツイートだが: 

文中の "Budeiri" は、先日当ブログでも軽く触れたが、シェイクジャラ地区を取材中にイスラエル当局によって強引に連行され、今後15日間は同地区での取材活動を行わないことを条件に釈放されたアルジャジーラ所属のジャーナリスト、ジェバラ(ゲバラ)・ブデイリさんのこと。

この人たちの拘束が報道され、SNSでも伝えられたので、彼女とエル=クルドさんきょうだいによって、シェイクジャラにおけるイスラエル民族浄化の推進が、世界的な注目を集めることになった、とIMEUは書く。その「注目」の程度がどのくらいかは、ここでは保留しているが(英語圏でも、メインストリーム・メディアは特に注目などしていない)、そのように、世界に対して「声」を持った人々を、イスラエルは黙らせようとするのが常であり、今回もまた同じことが行われている。ツイートの後半の文。

Now Israel is trying to shut them up so [that] settlers can take over Sheikh Jarrah homes without encountering resistance.

ブラケット ([ ]) で囲んだ "that" (省略されているもの)を補うと構造が明確になるが、これは《so that S can do ~》(「Sが~できるように」)の構文だ。下線で示したのは《前置詞+動名詞》の形。「現在イスラエルは、入植者が抵抗にあうことなく、シェイクジャラの家屋を乗っ取ることができるように、この人たちを黙らせようとしている」というのが文意である。

 

4000字を超えてしまった。

 

※4130字