【「日本国際ボランティアセンター (JVC)」さんの緊急支援要請】
起きたことに、衝撃を受けすぎて、言葉にならない、ということは、日常にあふれている。ネットなどでよく、「語彙力をなくす」というスラングで描写されるあれである。
10月7日の出来事は、その最たるものだった。
Twitterのログを見返したが、そのときのものは何もない。最近はMastodonに切り替えつつあるのでMastodonに書いたかと言えば、そっちにもない。速報としてスマホに配信されてきた短い文面を見て、「え」と声に出したことは覚えている。そのあとは「マジで?」と思い、BBC Newsの速報を一読して「何これ」と思い、もう一度読んで「は?」と思った。
そして「いやいや……」となった。信じがたいことだった。これが阻止されなかったって、どういうことよ?
12年前、2001年9月11日も、こんなふうに「あり得ないことが起きた」日だった。だがあのときは、自室のテレビの画面の中でそれが展開していた。だからその《事実》を受け止めるには時間はかからなかった。仮にあれが「米ニューヨークの『ツインタワー』として知られる超高層ビル2棟に、相次いで旅客機が突っ込んで……」と言葉だけで伝えられていたとしたら、「え? 何それ? マジで? は? いやいや……」となっていただろう。
その日の早朝、私はいつものように画面の中にパレスチナおよびパレスチナ方面から流れてきたツイートを、いつものように読んで、いくつかリツイートした。
ひとつは、ロンドンを拠点とするMENA専門のニュースサイト、Middle East Eyeのフィード。ヨルダン川西岸地区のフワラという場所で、イスラエルの違法入植地の住民(過激派)が、元から住んでいるパレスチナ人の住宅を襲撃し、19歳のラビーブ・モハメド・ドゥマイディさんの心臓を銃で撃って殺した、というニュースだ。残念ながら、これは西岸地区から毎日流れてくる「よくあるニュース」のひとつで(西岸地区で毎日こんなことがイスラエル側によって行われているということを知りもしない人たちが、今回ものすごい勢いで騒いでいるのを見て、心底辟易したが)、「あとで読む」というつもりでぽちっとリツイートしたものだ。つまり「いつもの光景」の一部だ。
An Israeli settler shot 19-year-old Labeeb Mohammed Dmaidi in the heart on Friday after a settler attack on Palestinian property in Huwwara.
— Middle East Eye (@MiddleEastEye) 2023年10月6日
The settlers damaged homes and buildings, and confronted Palestinian locals, who gathered to fend off the attackshttps://t.co/wrM1tumMZi
そしてもうひとつは、ガザ地区に住んでいる(つまり、ガザ地区から基本的に出られない)英語話者のTwitterユーザーのひとり、ムハンマド・スミリィ*1さんの、美しい写真だ。
Good evening from Gaza, Palestine pic.twitter.com/omP6oD7SwB
— Muhammad Smiry 🇵🇸 (@MuhammadSmiry) 2023年10月6日
平和そのもののような、青と黄色、空と太陽と海。ガザ地区の海岸線から考えて、太陽のある方角はたぶん西だから、これは夕方だろう。ヨーロッパの絵本のような黄色い太陽のもと、2つ並んだプラスチックの椅子のひとつに人が腰かけて、スマホを見ているようだ。海は静かで、よく、「ガザは観光地として整備したら人気になる」と言われる通りの光景である。
ネットを介して、パレスチナは私にとって、この程度に近い存在だ。行ったことなどはないが。
この写真から何時間か経過して、スマホに入ってきた速報で「え? マジで? 何これ。は?」となった少しあと、同じムハンマドさんのツイートが流れてきた。
Hell is happening now where I live. Pray for us. Gaza.
— Muhammad Smiry 🇵🇸 (@MuhammadSmiry) 2023年10月7日
ガザ地区は、ニュース用語・論文用語でいう「武装勢力による実効支配」のもとに置かれている。そういう地域では、人には言葉にできないことがいろいろある(そういったことの想像すらできない連中が、「ガザ地区からハマス非難の声が上がらないから」と言って無差別攻撃を正当化したりもする)。
その限界のなかで出されたぎりぎりの言葉だろう、「私が住んでいる場所で、地獄の沙汰になろうとしている(なっている)。私たちのために祈ってください。ガザより」。
ぎりぎりの、非難の言葉だと私は受け取った。この時点では、イスラエルによる空爆はまだ行われていないから(数時間内に作戦開始が宣言され、ネタニヤフが "We are at war, not an operation, not an escalation, a war." とスピーチして、爆撃が始まった)、"Hell" は空爆のことではない。武装勢力――ハマスであれイスラミック・ジハードであれその他の集団であれ、あるいは政治性のない愚連隊やギャングであれ――が地域の人々に暴力的な態度に出たり(婉曲表現)し始めていたのかもしれない。何が起きるかを考えた人々が買い出しなどの行動に出て街が大混乱になっていたのかもしれない。実際に目の前で、イスラエルから連行されてきた人質が手荒く扱われるのを見たといった人もいただろう。彼らが語りえないことについて、我々は推測するよりない。というか、推測はできるのである。これまでに起きたことから考えて。
そういった蓄積のない人々は、一つの方向を向いて口々に「テロを非難する」と叫んでいれば、怒りの発露により正義感が満たされて、ほかの人たちとの連帯感も持てて、よかったかもしれない。だが、蓄積のある人々は必ずしもそうじゃない。
そして、案の定「ハマスが、テロが」の大合唱が湧きおこるなか、何が起こりうるかを考えるほうが先に来て、既に起こったことについては「ひどいことが起きた」以上の、意味のある言葉など何も出てこない。「ひどいことが起きた。これからもっとひどいことが起きる」以上の言葉など、出てくるはずがない(そしたら「70年代テロリストの残党ではないか」という疑いをかけられうるのである)。
この日の自分のログを見返すと、これまで中東(狭義)に関心などまるで示したことのなかったような人までもがそろって「ハマスが、ハマスが」と叫びだし、もう一生分「ハマス」という言葉を目にした(聞いた)ぞと思ったころに、日本語圏の大手新聞社の記者さんがこの組織について「イスラム組織ハマス」とツイートしていて、また、中東紛争を「イスラム教とユダヤ教の紛争」として提示すればいいと思ってるんだろうなとうんざりして、「ハマス」の名前について連ツイし始めたりしている。まあ、こういう基本は大事よ。
Hamas is an acronym of the Arabic phrase حركة المقاومة الإسلامية or Ḥarakah al-Muqāwamah al-ʾIslāmiyyah, meaning "Islamic Resistance Movement".
その少しあと、イスラエルによる爆撃が開始され、ガザ地区内部から英語を使ってツイートしている人々から市街地の建物が爆撃されて倒壊したといった報告が入るようになってもまだふわふわしていたし、真偽不明な惨状を伝える言葉に乗せて「ハマスが、ハマスが」と異口同音に唱える恐ろしい熱狂を見ながら、「イスラエルがパレスチナの民間人に何をしているかについて、普段関心を払ってもいない連中が」という憤りを覚えては、「それもまた『いつものあれ』だ」という感覚で、自分の言葉など出てくるはずもなかった。現地筋のツイートや、中東専門のジャーナリスト(「イスラエルの報道機関のリストはここにあるのですが、どなたかパレスチナ側のリストをお持ちではないですか」とか言わないようなガチの人たち)の分析系のフィードのRTだけしていた。
「ロケット」や「空爆」の前に起きていたことは、さんざんスルーしておいて、いきなり、いまココから話が始まっているような、いつもの報道と、いつもの「世界の目」の向けられ方。
— 高橋美香 (@mikairvmest) 2023年10月7日
普段、入植者による殺害まで含む襲撃(つい昨日まで起きていた)や、なんの罪もなくたまたま運悪くそこに居合わせてしまっただけの病院帰りの一般市民が理由もなく兵士に検問で殺されることなど、どれだけ訴えてもスルーされるのに、「目に見えやすい」ものだけ目を向けられるって、それこそが絶望。
— 高橋美香 (@mikairvmest) 2023年10月7日
https://t.co/9EbXdTwa2l 2021年、ヨルダン川西岸地区。体調を崩した妻を病院に連れていった帰り、イスラエル軍の検問で停止を命じられ、それに従い、「行ってよし」と言われたので車を出した刹那、イ軍兵士の銃撃を浴びせられた男性(非武装民間人)のことについて、ハアレツ記事を扱った拙ブログ。 https://t.co/ZYLOvX1cui
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2023年10月7日
「目に見えやすい」ものにしか目が向けられないから、「ロケット」や「空爆」が終わったら、なんの解決もしていないのに、また忘れ去られる。次の「ロケット」や「空爆」があらわれるまで。その何十年もの繰り返し。普段の封鎖も占領も、まるで「起きていないこと」のように完全にスルーしていながら。
— 高橋美香 (@mikairvmest) 2023年10月7日
自分の中にあったものがようやく言語化できてきたと思えたのは、10日になってからだった。土曜日に発生したことについて、火曜日にようやく、である。
ようやく言語化できてきた。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2023年10月10日
ハマスの攻撃で破壊されたスデロトの写真を見て、その攻撃の規模と程度を説明する文を見たときの気持ち。
All changed, changed utterly.
A terrible beauty is born.
--W. B. Yeates
ずっと前から私の頭の中には暗記されてしまい込まれていた、母語ではない言葉。
※Yeatsの名前がスペルミスになっているのは見逃してほしい(スマホ入力)。
"beauty" などというとまた物を知らない人たちから「賛美するのか」とたたかれそうだが、これは、アイルランドのイースター蜂起(1916年)についての詩の一節である。稀有な才能を持った詩人によって "A terrible beauty" と描写されるそれは、「正視できないが、どうしても目が引き付けられ、心が奪われてしまうもの」であり、それが「生まれた/生まれている」、つまり昨日までなかったのが新たに出現したという詩だ。蜂起を計画し実行した独立活動家が、英国によって処刑されたときに起きた変化のことだ。
イスラエルにとって、攻撃されたスデロトは、「恐ろしい美」の生じた地となっただろう。これまでとはもう違う、完全に。
それがようやく言語化できた。母語の日本語ではなく、外国語でしかない英語の、それも「暗記したフレーズ」でやっと言語化できたのである。
ああ、苦しかった。そして今も苦しい。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2023年10月10日
でも「言語化できること」は癒やしだ。ありがとう、英語。ありがとう、イエイツ。ありがとう、アイルランド。
封鎖されたガザ地区で、英語を外に開かれた窓としてきた人々が守られますように。彼ら彼女らを守るため、自分にできることができますように。
もうずっと前に、Riverbendのブログで読んだ、「バグダードのレコード屋のアラン」のことを思い出した*2。英語話者だったアランは2006年にイラクで誘拐された米国のジャーナリストの通訳者をつとめており、ジャーナリストは解放されたが、アランは殺された。西洋の音楽を愛していた彼はかつてバグダードで海賊盤を扱っていて、店は自然発生的な音楽サロンみたいになり、音楽に関しては博覧強記の彼は、客に「ラジオでこんな曲かかってたんだけど」と聞かれると探し出してくれたという。スマホのアプリなんかなかった時代、鼻歌で曲探しをした時代のことだ。イラクに対する国連の経済制裁が行われていた1990年代、サダム・フセインの独裁政権下で市民生活にも大きな影響が出ていたときにも、彼のところに行けば外の風が入ってきていた、とRiverbendは回想している(バグダードには、そういうお店はいくつかあったそうだ)。イラク戦争で米国が一方的な終結宣言をして、何も知らないくせにめちゃくちゃな「統治」をして宗派間暴力が激化して、状況がますますひどくなったころ、今思えば、のちにイスイス団となった武装勢力の黎明期に、アランはいずれかの武装勢力から脅迫されて店を閉めざるを得なくなった。だから通訳業に転じたのだろう。それゆえに、武装勢力につかまって殺された(イラクでの武装勢力による誘拐では、通訳者は真っ先に殺される存在だった。現地人のくせに敵に協力したとみなされた)。
ブログの中で、Riverbendはこう書いている。
Alan was one of those links with the outside world.
英語一辺倒な世界の状況はときとして批判されるが、そういった批判で往々にして見過ごされているのが、英語という言語の持つこのような機能だ。
閉鎖された地で、英語は、外の世界とつながる手段となる。
閉塞感しかないところで、英語で何かを描写することによって、目の前の世界が開けることがある。
英語を母語とし、日本語で創作活動を行っている作家、グレゴリー・ケズナジャットの作品に、母語以外の言語と世界の広がりについての作品がある(少なくとも私はこの作品をそう読んだ)。主人公ラッセルの周りには、英語と日本語と、継父や親戚の言語であるペルシャ語が重なり合ってうっそうと茂っている。
言語・ことばは、自身の機能を、自身の感覚を、自身の存在を実感させてくれる。そして何も考えずに口にできるようなものや、イエイツの詩にもあるpolite meaningless words(意味のない社交辞令としての発話)のようなものは別として、考えて発話するときの自分の中を言葉が通っていくときの「手応え」みたいなもの、それが他者に届いたときのわずかな空気の揺れ、そしてその他者が反応したときに自分の得るキラキラとした刺激――子供時代、ことばを獲得したときに何度も口の中で言ってみたりしたあの感覚。
外国語を学ぶ/学んだ人はとりわけ、それに加えて、言葉・単語そのものとも格闘している。目にしても意味の取れない語、聞いても聞き取れない語が、自分にも使える語となるまでの過程には、多かれ少なかれ、体験が伴う。自分の発話が通じたとか、誰かの発話の中に教科書に載っていた表現がでてきたといったこと、それからノートの上を走るペンの感覚、先生の声といった当たり前で些末なものも含め、小さな体験が積み重なって、今、ここにある言葉が自分の中から出てくるようになったのだ。
2000年代後半以降実施されている封鎖のため、外に出ることもできないガザ地区という狭い場所の中で、今30歳~40歳くらいの彼ら・彼女らが子供のころから外国語として学んで身に着けて使ってきた英語は、ありていにいえば、とても「レベルが高い」。英語学習者としては、お手本として「復文」の学習法にも使えるようなクオリティだ。どのような理念で、どのような人が、何を使って教えたのだろう、と思うくらいの質の高さ。
ガザの人たちに限らず、世界各地に散らばるパレスチナのディアスポラは、教育熱心・勉強熱心だという。土地を奪われ、家を奪われても、自分の頭の中にある知識は誰にも奪うことができないからと聞かされ、自分でもそう信じているからだ、という。
封鎖され、自由に出入りすることもできない、外の世界と切り離されたガザ地区に生まれ育ち、教育を受けて、母語ではない英語が使えるようになった人々。
Soon, the last sliver of electricity and connection will be exhausted. If I die, remember that I, we, were individuals, humans, we had names, dreams, and achievements, and our only fault was that we were just classified as inferior.
— Belal Aldabbour (@Belalmd12) 2023年10月11日
そろそろ電気と通信のか細い糸が尽きようとしています。もし私が死んだら、どうか忘れないで。私が、私たちが、それぞれの人生を生きる人間であったことを。私たちには名前が、夢が、努力を実らせた瞬間があったことを。そして、私たちの過ちは、私たちに押された劣等民族という烙印のみであったことを https://t.co/Jx69g01v1U
— Atsuko S (@atsyjp) 2023年10月12日
こんなときに何をのんきな思われるかもしれないけど、ベラルさんの英語、きれいでしょ。品格があって、目で見ても音にしてもスムーズ。もちろん、ガザ地区から一歩も出ずに身につけられた英語です。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2023年10月12日
この英語がね、教えられている土地ですよ。
言語はhumanityです。#英語 #実例 https://t.co/PQ5GiDWxpC
どれほどの努力を注いだだろう。どれほど泣いただろう。どれほどの喜びを、外国語から得ただろう。どれほどの安らぎや癒しを。どれほどの希望を。どれほどの夢を。
Language is what makes us human. It is a recourse against the meaningless noise and silence of nature and history.
--Octavio Paz
1990年のノーベル文学賞受賞者であるメキシコの詩人、オクタビオ・パスは、「言語があればこそ、私たちは人間なのである。それは、意味のないノイズや、自然や歴史の沈黙に対抗するよすがとなるものである」と述べた。
というか、この語句自体が有名な「引用」となってあちこちに出現しているので知っているだけで、私は全体の文脈を知らない。出典は1967年に書かれた "The Impact of Alternating Current" という小論だそうだ。電気と人間の文明を扱っているというこの文で、この「知の巨人」的な人物は、言語について、そして言語にならない音(ノイズ)や、それ自体では語らない自然や歴史についても扱っている。すごいね。人間。
量的にはいつもと同じようにひたすらに流れてきていたガザ地区からの英語のツイートは、空爆開始後は本当に叫びのようなものになり、「集合住宅がミサイルで完全に破壊された」「救急車が攻撃対象になった」「病院がいっぱいだ」といった報告があふれかえるようになっている。
もう、のどかな海辺の写真などは流れてこない。
電気と水の供給が停止され(ガザ地区とイスラエルのこの関係を、「ハマスが、ハマスが」と叫んでいる人々の何人が知っていたのだろう。そんな場所で、ハマスのような集団が栄えたのはなぜなのか)、これまでだって細々としか発電できていなかったガザ地区にある唯一の火力発電所は11日に燃料切れに陥って発電を停止した。
そんなときも、いつもなら「前にもあったことだ、ハハ」みたいな空気感を英語の法助動詞に託した発言が出てきたりするのだが(イスラエルからの送電停止&燃料切れでガザの発電所が稼働停止という地獄のようなコンビネーションは、実は珍しいことではない)、今回は違う。All changed, changed utterly. 何しろ、ガザ地区に2つあるという電話会社の本社がどちらも完全に破壊されたのだ。イスラエルはガザ地区を、情報の流れからも孤立させるつもりだ。完全に密室にしようとしている。
現時点では、英語話者(その多くはジャーナリストだったりNGOの職員だったりして、何らかの形で欧米とコネクションがある)は、電力はソーラーパネルでまかなったり蓄電池を使ったりしていて(この点は2009年くらいとはかなり事情が変わってきた)、ネットにはどうにか接続しているようだ。
ほんの数日前には海辺の写真をツイートしていたムハンマドさんは、今、発電事情をツイートしている。
How I charge my phone?
— Muhammad Smiry 🇵🇸 (@MuhammadSmiry) 2023年10月12日
Battery + inverter
How I charge the battery?
Local generator or solar panels.#Gaza pic.twitter.com/iE8tcFVyia
We have no electricity. #Gaza pic.twitter.com/tBqxQFsCNv
— Muhammad Smiry 🇵🇸 (@MuhammadSmiry) 2023年10月12日
ガザ地区完全包囲を宣言する際、イスラエル国防相は「われわれは人間の顔をした動物と戦っている」*3と述べた。
Israeli Defense" Minister - "I have ordered a complete siege on the Gaza Strip. There will be no electricity, no food, no fuel, everything is closed. We are fighting human animals and we act accordingly.”
— Alex Tiffin (@RespectIsVital) 2023年10月9日
Imagine Russia said this of a Ukrainian area of control...
これには即座に、「ジェノサイドの言説である」との反応が多く出た。
Take note @KarimKhanQC
— Sarah Leah Whitson (@sarahleah1) 2023年10月9日
of admission of intent to commit war crimes & genocide: "I have ordered a complete siege on Gaza.
There will be no electricity, no food, no fuel, everything is closed.We are fighting human animals & we act accordingly”
 https://t.co/J5yD8OvSrO
しかし、欧米諸国のほとんどは「われわれはイスラエルとともにある」と断言してこの言説はスルーしているし、同じようなことをロシアからやられているウクライナもしれっとしている。
私は2003年のイラク戦争のときに、国際法に対する英米の態度を見て「西洋の偽善と欺瞞が噴出して最悪、これ以上悪くはならないほどだ」と思ったし、そう信じてきたが、それを撤回しなければならないようだ。残念でならない。
イスラエル政府のこの言葉には、徹底して抵抗していかなければならないと思った。だがどうやって? デモとかは正直、この状況下ではピンとこない。同様のジェノサイド的な殺戮にさらされているウクライナはスンっとしているし、シリア関係の支援者は「いいなあ、パレスチナは、大勢が声をあげてくれて」という感じで、私たちは実にひどく分断されてしまっている。
そんな中でも私にできることといえば、これだ。翻訳ハッシュタグ。
個々の人たちがばらばらに勝手に翻訳していても全然かまわないのがTwitter/Xだが、ハッシュタグにしておけば、ガザ地区の人々に、自分たちの書いているものが読まれていることを確実に伝えられる。今のこの状況で、それは精神的な支えになる。We hear you. ということを視覚化できる。やらないという選択肢はない。どうせ、英文見た瞬間に頭の中で同時通訳されて日本語になるんだから。
(例によって個人で勝手にやってるだけですが、誤訳しない程度の英語力と翻訳力*4・バックグラウンド知識*5のある方の参加を歓迎します。デマ元になってしまうことは避けたいので、他人からの誤訳の指摘を受け入れられる方に限ります。)
ガザの記者、翻訳: この狂気の沙汰が生じて、ひとつだけよかったと思えるのは、皆さんからの温かいお気持ちです。ずっと連絡が途絶えていた世界中の人からメッセージや電話をもらっています。地域がまとまってひとつになっているのもよい。これはいつか過ぎ去ります。私たちは愛によって生き延びます。 https://t.co/gt24U0snuW
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2023年10月12日
Dear Omar. I've just translated your post into Japanese. Also, I'm seeing some professional translators, who seldom does Trans-Tweet thing, beginning to post translations of #Gaza Tweets. We are bridge builders and we are proud. Thank you for your words. Love from Tokyo, Japan
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2023年10月12日
日本語圏で、ガザからのツイートを日本語に翻訳している方がちらほら。ハッシュタグ作りましょうよ。 #ガザ投稿翻訳 とか? ちょっと字数取りすぎ? How do you reckon? CC @atsyjp @fu_sakura
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2023年10月12日
Omarさんに「日本語に翻訳した」って報告したら、パレスチナ情勢を見てる人たちから何件もLikeもらいました https://t.co/96elCGWjGg
で、イスラエルの文学賞をもらったときに「壁と卵」というメタファーを持ち出して、「私は卵の側に立つ」と言っていた超売れっ子作家にして翻訳者の村上春樹先生は、その後、「卵の側」で何かをなさっているのでしょうか。今は何を?
*1:Smiryのカタカナ読みが微妙に違うかもしれないがご容赦のほど。
*2:Riverbendはバグダードの女性ブロガーで、流暢な英語を使う書き手。イラク戦争でサダム・フセイン政権が崩壊した数か月後の2003年8月に、確か当時まだアラビア文字には対応しきれていなかったBloggerを使って英語ブログを開始し、宗派間暴力の激化した2007年に家族でイラク国外に脱出するまで書き続けていた。
*3:このこなれた訳文は高文研さんのツイートからの引用。
*4:報道の英語にみられるbe killed, get killedを「殺害される」と訳すことにまるで抵抗のない方は、ごめんなさい、現状では能力的に翻訳は無理です。