Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

-ing形の判別, 前置詞+動名詞, 分詞構文, 時制, 大過去など(イスラエルによるガザ地区攻撃、問題は武力行使だけではない)

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今回の実例は、報道記事から。

先週後半から日曜日にかけて、また、パレスチナガザ地区イスラエルによって攻撃された。今回は「ガザ地区からロケット弾が発射されたので応酬した」といういつものパターンですらなく、イスラエルいわく「先制攻撃 preemptive attack」だった。

この「先制攻撃 preemptive attack」という攻撃のありかたは、2003年のイラク戦争のときは国際的に喧々諤々の議論を引き起こしたものだが、もはやほとんど誰も何も言わない。英語でいう「normaliseされた」状態になっている。

ともあれ、こうしてまた、イスラエルによって完全に囲まれ、出入りもできない状態に置かれているガザ地区は、そこが世界有数の人口密集地であるにもかかわらず、容赦なく爆撃の対象となる。そして住宅密集地の1軒だけを破壊するイスラエルの兵器の「性能」に人々は感嘆し(もはやそれすら、当たり前のものになっているかもしれないが)、大手の報道では「パレスチナ武装勢力の戦闘員が死亡」という見出しの記事が出てイスラエル側の主張がくどいほど説明され、「民間人にも被害」的に書き添えられた短い文の中で、殺されるべきではなかった人々(武装勢力のメンバーだって、戦闘中でなければ、軍事攻撃で殺されるべきではないのだが)の死者数だけが書かれ、それで報道のお役目はおしまい、というのが、英語メディアでもありがちな、2010年代半ば以降の「中東報道」である。

これがまたダブルスタンダードの最たるもので、ロシアがウクライナに対し、イスラエルパレスチナに加えているような暴力を加えるとロシアを声高に非難するメディアが、イスラエルに対しては何も言わずに正当であると認めている状態である。

最近はそれが本当にひどくなってきていて、私はもとからBBCなどは見出ししか見ないことにしているのだが、この週末は具合が悪かったので見出しすらろくに見ていない。

代わりに見ていたのがTwitterで活動しているパレスチナ系の英語メディアや、英米に拠点を置く中東情勢専門の独立系メディアのフィード、そしてもちろん、ガザ地区で暮らしているパレスチナ人の英語話者のフィードである。

さて、今回の攻撃――それはイスラエルによって「軍事作戦 military operation」と呼ばれる。ロシアが同じようなことをすると西側世界のメディアは嘲笑するのに、イスラエルがやると無表情のままである――は、軍事的に開始される数日前から、実は始まっていたと思われる。イスラエルから(つまりガザ地区の外の世界から)ガザ地区へ入るための検問所が、8月1日から閉鎖されていたのだ。これにより、日々消費されていく物資は入らなくなる。そういうことをしておいて「イランが背後にいる武装組織がー」と叫んでいるのが現状で、そういうわめき声をしかつめらしく聞いて差し上げるのがおメディアさまのお仕事といわんばかりの記事を見かけるが、そういうのはスルーすることにして、検問所の閉鎖と物流の停止が、ミサイルがあろうとなかろうと、ガザ地区の一般市民にどんな影響を与えているかという記事を見てみよう。掲載は当ブログで前にも参照した独立系メディアMondoWeissである。

mondoweiss.net

見出しにある通り、ガザ地区には発電所が1か所しかない。燃料を燃やして発電する火力発電所で、ガザ地区全体の電気をここ1つでまかなっている(ほか、個別に稼働させている発電機もあるが)。

検問所が閉鎖されると燃料が入らなくなる。つまり発電ができなくなる。

 

説明しなくてもわかると思うが、中東は暑い。たぶん、今の東京や名古屋などよりも暑い。そういう中で、発電がストップするということを、少しでいいから想像してみてほしい。

「イランとつながりのある武装勢力がロケットを撃ち込んでくるから」といってイスラエル武力行使をするわけだが、こうやって検問所が一方的に閉鎖されて発電所が止まってしまい、まともに暮らすことも、満足に眠ることすらもできなくなってしまう一般の人々は、「イランが背後にいる」のだろうか。

日本では今、閣僚を含む自民党の政治家らが統一教会というカルトとつながってきたことが明るみに出ているが、だからといって日本国民が総体として統一教会とつながっているなどと言ってくる人がいたら、とんでもない言いがかりだと誰もが怒るだろう。ガザ地区の人々だって同じではないか? 

こういうのを「集団懲罰 collective punishment」と言い、国際人道法で禁止されている。

ともあれ、記事の書き出しの部分。この記事は、今回の攻撃(軍事作戦)が始まってから2日目に、現地にいる記者によって書かれたものである。とても読みやすい英文だから、特に解説はなくても大丈夫だろう。 

https://mondoweiss.net/2022/08/gazas-only-power-plant-just-shut-down-as-israeli-airstrikes-continue/

キャプチャ部分の最後にあるパラグラフの前半: 

Before launching the latest military operation, the Israeli government had closed off its border with Gaza on August 1, 2022

下線部は《前置詞+動名詞》で「開始することの前に」、つまり「開始前に」。

太字にした部分は《過去完了》で、ここは《大過去》を表す。文全体の基準となる時が《過去》(イスラエルが攻撃を開始した)で、その一つ前の時を表している。

ここまで、文意は、直訳すれば「最新の軍事作戦を開始する前に、イスラエル政府は、2022年8月1日に、ガザとの境界線を封鎖していた」。

その後: 

..., crippling major sectors in Gaza’s economy, chief among them the power sector.

太字にした部分は、今度は動名詞ではなく《現在分詞》で、この部分は《分詞構文》だ。crippleは「~が機能できない状態にする」。

コンマの前までは、意味は「(イスラエル政府は境界線を閉鎖して)ガザ地区の経済の主要なセクターを機能できない状態にした」。

最後の部分、コンマから後ろは補足された(言い足された)部分で、「その中で最も主要なのは、発電セクターである」の意味。

majorとchiefを真面目に訳しわけようとすると時間がかかるので、ここでは雑に「主要な」と「最も主要な」としているが、意味はお分かりいただけると思う。

すでに当ブログ規定の4000字を超えているので、このあとはまた次回に。

 

※4200字