Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【再掲】関係副詞の非制限用法, 倒置, 分詞構文 (ビンヤミン・ネタニヤフとはどのような人物・政治家か)

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このエントリは、2021年6月にアップしたものの再掲である。(なぜか今、ブログの編集画面が「はてな記法」で固定されているので、表示させてみると細部がおかしなことになっている可能性もあるが、その点はご容赦いただきたい。)
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今回の実例は報道記事から。
イスラエルは、ガザを爆撃・砲撃しなくなったからといって、パレスチナ(あるいはカギカッコ付きで「パレスチナ」と表記した方が問題が明確になるのかもしれないが、ここではカギカッコを使わずにいく)に対する暴力を伴った態度を見直したわけではない。例えば6日の日曜日には、東エルサレムのシェイク・ジャラー地区で何が起きているかを取材していたジャーナリストが、「PRESS」とでかでかと表示されたフラックジャケットを着ていたにもかかわらず、イスラエル側によって、まさに引きずられるようにして連行されていった。連行されていった先で手首をきつく拘束されるなどの陰湿な暴力の加害を受けたうえで、今後15日間はシェイク・ジャラー地区で取材しないという条件(とんでもない条件である)で釈放された。その出来事を伝える一群のツイートに、ざっくりとした日本語を添えてリツイートしたところ、英語で流れてくるものをそのままリツイートするのとは段違いの広まりを見せたようだ。

さて、その一方で、イスラエルの政治が大きく動いている。「政治」ではなく「政局」とすべきかもしれない。ここ15年間ずっと首相をやってきて、ここ何年かは驚くほどストレートな汚職疑惑の当事者となり、ついには現役首相であるにもかかわらず訴追され、人々がうんざりするほど短期間に何度も総選挙を繰り返して、明確に退陣することにはなっていなくても政権をしっかり維持することもできないということになっているベンヤミン・ネタニヤフ(所属政党リクード)に対し、国会に議席を持つネタニヤフとリクードではない政治家たちが、「右」も「左」もなく手をつないで連立政権を組むということになった。イスラエルにおいて「『右』も『左』もなく」と表現するのは実は不正確で、そこには「ジューイッシュ」も「アラブ」も、という、イスラエルならではの構造をも入れ込まねばならない。だが私にはそれができるだけの十分なベースがない。ともあれ、下記のように、常套句を使えば「呉越同舟」になっている写真が、先週、ネット上にいろんな方向性で広がりを見せる感情の波を引き起こしていた。


これに対しては「起きるとは思いもしなかったことが現実になった」という声が多く起こり、大人は一体何をやっているのかという疑問の中でここ数年もやもやしてきたイスラエルの子供たちの間では「大人だってやればできる」という評価を生じさせてもいるようだが、もちろん、そういった肯定的な評価ばかりではない。こういう写真に「希望」を見出せるほど楽観的な環境には、パレスチナ人は置かれていない。そもそも、この新連立政権が首相とするのは、ネタニヤフの極右政策の中の人だった人物である
それでもしかし、これは「同じことの繰り返し」に終止符を打つ「始まり」ではある。下記のBIWさんが言うように、「希望も懐疑も維持されねばならない。必要なのは始まりである」。
私は自分にわかるようにしか咀嚼できないから、当然のように、この光景で、そしてBIWさんの言葉、「希望も懐疑もどちらも」からおのずと連想されるあの光景を思い浮かべている。本当は、こんなふうに置き換えるべきではないのだろう、と考えながらも。

閑話休題。こうして新たに連立政権が発足するという前提で話が進むかに見えていたところで、予想通り、ネタニヤフが激しく抵抗しだしたというのが週末の状況だった。

イスラエルの国会での新政権発足の手続きは今日月曜日に予定されているが、何がどうなるのかはまだわからない。

というのが前置きで、今回の実例は、いよいよネタニヤフ政権が終わりそうだという流れになってきた先週前半の段階で英BBCがまとめたネタニヤフという人物についての「プロフィール」的な記事から。こちら:
www.bbc.co.uk

以前、アリエル・シャロンの息子が日本の広島についてとんでもない発言をしたときに、そのことについて書いたら、それについてわあわあ騒いでいた人から突然、「アリエル・シャロンって誰ですか」と尋ねるツイートが飛んできて面食らったことがあるが(こちらとしては、そんなことは当然わかっているから騒いでいるんだと思っていた)、パレスチナについての関心は一応持っているが、イスラエルの政治家たちについてそういう具合に五里霧中であるという方々に好適な、コンパクトなプロフィール記事である。ただし、ネタニヤフがパレスチナに対して何をしてきたかは十分に書かれているような印象は受けない記事で、そこのところは今のBBCに何をどのくらい期待できるのかという話でもあろう。

実例として見るのは、記事のかなり下の方から。

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-18008697

キャプチャ画像の下の方、小見出しの次のパラグラフから:

Only in 1988, when he returned to Israel, did he become involved in domestic politics

太字で示した ", when" は《非制限用法の関係副詞》で、直前の "1988" に補足説明を加えるはたらき。「1988年に、彼はイスラエルに戻ったが」ということになる。
下線で示した "did he become" の部分は、唐突に疑問文の語順になっているのだが、これは "Only in 1988" を《強調》するために文頭に持ってきたことで生じた《倒置》である。倒置なしなら、"He became involved in domestic politics only in 1988, when he returned to Israel" という文になる。
文意は、「1988年に、彼はイスラエルに戻ったが、そのときになってようやく国内政治にかかわるようになった」。

そのあとに続く部分:

..., winning a seat for the Likud party in the Knesset (parliament) and becoming deputy foreign minister.

太字で示した部分は《現在分詞》で《分詞構文》。「クネセト(国会)でリクードのための議席を獲得し*1、外務副大臣になった」。

※3790字

※しばらく休載していましたが、ぼちぼち戻していきます。

*1:意訳すれば「リクードの候補者として出馬し、当選した」となる。

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