※この記事は、2019年1月にこのブログを開設したころにまとめて投稿したいくつかの記事のひとつである。開設時の記事はほとんど閲覧されていないが、重要なポイントが入っているので改めて見ておいていただきたく、ここにコピーして再掲する(文面の形式を少し変更したところがあることをお断りしておく)。
今回は「挿入」と「強調」の実例。高校生向けの文法の解説書や問題集では最後の方に「特別な構文」としてまとめられていることが多い。
今回の実例は、英国時間で1月9日(日本時間では10日)、英国会でのBrexit(英国のEU離脱)をめぐる審議の詳細を伝える記事の一部。内容はBrexitをめぐる審議の詳細に通じていないと取りづらいと思われるが、英文の形は、内容とは関係なく、見て取ることができるだろう。
挿入
まず、《挿入》があるのはどこか、わかっただろうか。次の箇所である。
MPs could, for example, attempt to amend it to mandate a second referendum or a Norway-style Brexit deal.
《挿入》とは、文の途中に語句や節を挿入する(ぶちこむ)ことである。挿入される語句は副詞・副詞節であることが多く、節が挿入されるというのは主に "I think" や "they say" に類するものが入れられていることを言うが、もっと長いものが挿入されていることもある。
この《挿入》という書き方は、英語で何かを読んでいれば毎日必ず一度は遭遇するくらい、よくあるものだ。試験問題の長文などにも出てくるので、つっかえずに読めるように慣れておきたい。
多くの場合《挿入》は、挿入する語句・節をコンマで挟んで、文の途中に置く。挿入する場所はどこでもよいというわけではないが、どこに入れるということが厳密に決まっているわけでもない。自分で英作文するときに《挿入》というテクニックを使うことはあまりないだろうから、とりあえず、読んでわかるようにしておけばよいだろう。
Andy has become, surprisingly, an excellent guitar player.
アンディは、驚くべきことに、すばらしいギター奏者になった。
The boys, to our surprise, took the comment very seriously.
少年たちは、驚いたことに、その発言をとても深刻に受け取った。
The store is, I think, closed on Sunday.
その店は、日曜日はお休みだと思う。
文法問題として問われることがあるのは、上記3つの例文の3件目のパターン("I think" などが挿入されるパターン)で、関係代名詞節で用いられる場合。この場合はコンマが使われないことがほとんどなので、ぱっと見、《挿入》であることがわかりづらく、注意が必要だ。
She is a novelist who they believe is the next J. K. Rowling.
彼女は、彼ら(人々)が次のJ. K. ローリングだと信じている小説家だ。
この場合、they believeはあくまでも挿入節で、前後はwho ... is the next J. K. Rowlingという《S+V》の構造になっていることに注意(who they believe で《S+V》の構造になっているのではない)。
強調
上記キャプチャ画像内の《強調》は、次の箇所である。
It is because of this power to shape the future of Brexit that some MPs have protected Bercow after the damning criticism in the Cox report.
《It is ~ that ... の強調構文》の形になっていることがわかるだろうか。
《It is ~ that ... の強調構文》は、it is と that で強調したいものを挟む、という形になる。なお、it isのisは過去形になることもある(it was ~ that ... の形)。
上記の実例を、強調構文ではない形に戻すと、次のようになる。
Because of this power to shape the future of Brexit, some MPs have protected Bercow after the damning criticism in the Cox report.
または
Some MPs have protected Bercow after the damning criticism in the Cox report because of this power to shape the future of Brexit.
《強調構文》の例を少し挙げておこう。
It is[was] John that broke the window.
窓を割ったのはジョンだ。
(= John broke the window.)
It is in Ikebukuro that this company is building a new flagship store.
この会社が新しい旗艦店を建設中なのは、池袋だ。
(= This company is building a new flagship store in Ikebukuro.)
この《強調構文》は、大学受験でも整序英作文などでよく出るので、しっかりと自分のものにしておきたい。
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