Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

倒置、長い文、関係代名詞、分詞構文(スペイン、極右政党が支持される理由)

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今回の実例は、4月28日(日)に投票が行われているスペインの総選挙について、英オブザーヴァー紙(ガーディアンの日曜)が取材・掲載した、投票直前の現地からの記事より。

スペインは1975年に独裁者フランコが死んで民主主義を回復したあと、中道右派中道左派の二大政党を中心に政治が動いてきたが、ここ数年、政治的にはかなりの激動があり、他の欧州諸国の多くと同じく「有権者の既存政党離れ」が進んでいる。少し前は新興勢力の左派政党「ポデモス Podemos」が注目を集めていたが、2019年の今は極右の「ボクス Vox」が関心の的となっている。フランコ独裁政権の経験のあるスペインで、まずは昨年末の地方選挙において、アンダルシアでこの極右政党が躍進を見せたのだ。

「極右の台頭」を伝えるこの記事は、その流れで読む記事である。 

www.theguardian.com

 

f:id:nofrills:20190429051808j:plain

2019年4月28日、The Observer

実例として見るのは上記キャプチャ画像内の上のパラグラフから。

On either side of its winding tracks, on shopfronts, on faces, on clothes and in the conversations overheard on the streets, is written the story of the many and varied communities that have fuelled Parla’s growth over the past 50 years, transforming this small town half an hour from Madrid into a commuter sprawl of 128,000 people.

キャプチャ画像の3分の2程度の面積を占めてしまっているこの長い文の主語を、一読して把握できただろうか。

文の最初はOnで書き出されている。つまり、前置詞で始まる副詞句なので、《文の要素》にならず、《主語》ではない。

その《on + 名詞》の副詞句の連なりをたどっていった先に、コンマがあって、続いて isが出てくる。これがこの文の《動詞》だ。

つまり、ここまで、「副詞句+動詞」の形になっている。この時点で、この文は《倒置》の文だと判断できる。

《倒置》とは、通常「主語+動詞+そのほかもろもろ」の語順のところ、動詞が主語に先行したりすることを言う。

この文の場合、《動詞》はisだけでなくそのあとのwrittenも含めてis writtenと自然に判断できよう(受け身)。

そして、そのあとにあるthe storyこそが、この文の《主語》だ。

つまり《倒置》の形にしないで書くと、"The story is written on either side of its winding tracks, on shopfronts, on faces, on clothes and in the conversations overheard on the streets" となる。

 

ではなぜここで《倒置》が用いられているのかというと、その《主語》のthe storyに "of the many and varied communities that have fuelled Parla’s growth over the past 50 years, transforming this small town half an hour from Madrid into a commuter sprawl of 128,000 people." という修飾語句がついていて、とても長くなっているからだ。

 

この修飾語句は、それ自体なかなか面倒な構造だが、順番に見ていくと、

the story of the many and varied communites

ここは「たくさんの、多様なコミュニティの物語」。

... communites that have fuelled Parla’s growth over the past 50 years

太字にしたthatは《関係代名詞》の主格で、後続の動詞がhaveだから、先行詞は3人称の単数形ではないということがわかるので、the storyではなくcommunitiesだと判断できる。

 

そして最後の: 

..., transforming this small town half an hour from Madrid into a commuter sprawl of 128,000 people

この部分はいつもの《分詞構文》。

ここまで合わせると文意は、「過去50年間のパルラの成長を促進し、マドリードから半時間のところにあるこの小さな町を、人口12万8千人のベッドタウンに変貌させてきた、たくさんの、多様なコミュニティの物語」。その「物語」が、「曲がりくねった車のわだちの両側に、商店の店先に、(人々の)顔に、衣類に、そして街角で耳にする会話の中に」書かれている、ということだ。

 

なかなか大変な文だったが、大変だったと感じた人は、ここまでを踏まえてもう一度読み返してみてほしい。こういう文がサクサク正確に読めるようになると、英語で書かれた資料を読むスピードは格段にアップする。

 

 

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