Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

時制の一致、間接話法、〈婉曲〉のwould、前置詞+-ing【再掲】

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以下は以前アップした記事の再掲である。間接話法と時制の一致について、基本を確認できるよい実例を扱っているので、そこでミスすることが多いという方にはぜひ読んでいただきたいと思う。

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今回の実例も、イギリスのEU離脱に関する報道記事より。1月15日にメイ首相の協定案が英国会で歴史的大差で否決されたあと、「これからどうなる」ということが関心事となっていたときのロイターの記事である。

uk.reuters.com

 

f:id:nofrills:20190202210646j:plain

2019年1月18日、Reuters

キャプチャ画像内、一番上のパラグラフ: 

She has also repeatedly said another referendum would corrode faith in democracy among the 17.4 million people who voted to leave the EU in 2016. Her spokesman said Britain had not raised the idea of delaying exit with the EU.

この2文とも、《時制の一致》 《間接話法》の実例だ。

 

目次: 

 

時制の一致、間接話法 (1)

まずは第1文。こちらは読み流しておけばよい: 

She has also repeatedly said another referendum would corrode faith in democracy among the 17.4 million people who voted to leave the EU in 2016.

これは主節が現在完了 (has said) で、 that節内ではwouldが用いられているという形。現在完了はあくまでも現在に含まれるので、that節内のwouldはwillが時制の一致で過去形になったというより、元々wouldだったと考えるのが妥当だろう。

また、文の後半、"the 17.4 million people who voted to leave the EU in 2016" の部分は、過去の出来事を言っているので、votedと過去形が用いられている。これは参考書などでは「時制の一致の例外」として列挙されている「歴史的事実」のひとつの例と言えるだろう*1

 

〈婉曲〉のwould

wouldは、現在形の中で〈婉曲〉に何かを述べるときに用いられる。日本語では多くの場合「~だろう」としか表しようがないが、要するに、ばしっと断定的にものを言うのを避けて、やわらかめに表現したいときにwouldを使う、ということだ。話をしている相手に対する「丁寧さ」を明示する言葉遣いでもあり、その意味では、一種の「敬語」と思っておいてもよいかもしれない。日本語でも何かが敬語になったからといって意味そのものが変わるわけではないように(「スミス氏が言った」と「スミス氏がおっしゃった」は、〈意味〉は変わらない)、英語でもwouldが入ったところで意味そのものは変わらない。

このwouldは、学問の英語(アカデミック・イングリッシュ)よりも、ビジネス文書や各種問い合わせなど、社会生活で使われる英語の文面でよく用いられる。(むしろ、論文など明晰に書かなければならないときにこのwouldを多用するのは、よくない。)

  It would be appreciated if you could deliver the package to my office. 

  (その小包を私のオフィスに配達していただけると、ありがたいです)

 

ところでこの〈婉曲〉のwould(丁寧な表現にするwould)は、元をたどれば仮定法である。ただしここではそれについて詳述しているゆとりはないので、またの機会に。

 

時制の一致、間接話法 (2)

続いて第2文: 

Her spokesman said Britain had not raised the idea of delaying exit with the EU.

 こちらは主節が過去、that節が過去完了の《間接話法》の、教科書通りの形だ。時間軸で見ると、Her spokesman saidの時点より前に、Britain had not raised... という関係になっている。

前置詞+-ing

またこの文の "the idea of delaying exit" の部分は《前置詞+動名詞》の形になっている。the idea of -ingは「~するという考え」で、非常によく見かける表現だ。

 

 

英文法解説

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*1:「歴史的事実」は常に過去形で記述する。主節の動詞が過去形になったからといって、過去完了にする必要はない。例: She said that the first atomic bomb was dropped on the city of Hiroshima in 1945. (× 主節がsaidと過去形だからといって、the first atomic bomb had been dropped ...とはしない)

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