今回の実例は、「英語は同じ単語を繰り返すことを嫌う」という原則に関連しての、数字表現。
特に名詞についてだが*1、日本語では同じ名詞を繰り返しても不自然になりづらいのだが、英語では繰り返さずに済む方法を考えることが必要となる。一番シンプルなのは代名詞を使うという方法だが、それだけでは足りないときはいろいろな言い換えがなされる。
例えば往年のサッカーの名選手ならば、日本語だったら一本の記事の中で一貫して、例えば「ロナウジーニョ氏」とか「同氏」と表されるであろうところで、「その引退したフットボーラー (the retired footballer)」とか「そのフットボール・レジェンド (the football legend)」とか、あるいは国籍を使った「ブラジル人 (the Brazilian)」などというように、何通りにも呼ばれる。こういう言い換えをいかに自然に、創意工夫に富んだ形でできるかが英語の文章書きの腕の見せ所のひとつで、そういった文章術は日本語の文章術とはかなり違う。
話がずれてしまったが、このような「同じ語の繰り返しを避ける」という鉄則は、数字にまで及ぶ。今回はその実例だ。
Southern California was hit by its second significant earthquake in as many days, and topped the powerful quake that hit the region just a day earlier. https://t.co/kKzgeBZX3M
— Twitter Moments (@TwitterMoments) July 6, 2019
このツイートの前半部分(andの前まで)を、さっと読んでぱっと意味が取れた人は、今回は飛ばして構わない。
Southern California was hit by its second significant earthquake in as many days
太字にした "as many" は、なんか中途半端なように見えるかもしれない。通常、この後には "as ..." が続くはずだが、それがないからだ。
実は、as ...が続いていない《as many ~》は、先行する数字を受けて、「それと同数の~」という意味を表す表現である。一種の熟語と思っていても間違いない。
There were five traffic accidents in as many weeks. [= ... in five weeks]
(5週間の間に5件の交通事故が発生した)
I spotted ten mistakes in as many pages. [= ... in ten pages]
(10ページで10か所のミスを見つけた)
At the library Meg returned twelve books, and borrowed as many. [= ... twelve]
(図書館でメグは12冊の本を返却し、12冊を借りた)
実例として見ているTwitter Momentsのツイートは、「南カリフォルニアは、2日間で2度目の、かなりの規模の地震に見舞われた」という意味。
この言い換え表現は、大学受験では書けるようにする必要はまずないが、読解などで出てくる可能性もあるので、読んで理解はできるようにしておいたほうがよいだろう。ビジネス英語など実用の場面では、「2日の間に2度も」などという場面では、できればこういうふうに書けるようにしておきたいところだが、"twice in two days" などと書いたとしても、話が通じなくなるわけではない。ただ、こなれていないという印象を与えることはたぶんあると思うので、よりよく見せるためには "as many" を使った表現をしたほうがよいだろう。
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