Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

《否定》の意味合いの同等比較 (as ~ as ...)(ボリス・ジョンソンとBrexit)

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今回の実例は、ガーディアンの論説記事の見出しから。

見出しなので、文法解説としては本文は読まなくてもOKなのだが、記事はこちら。今の英国政治に興味がある人は、読んで損はしないと思う:

www.theguardian.com

 

今日のトピック、「《否定》の意味合いの同等比較」については、以前に既に書いているので、特にひっかかるところのない人なら、この見出しを見て、以前書いたものを見て確認していただくだけでもよいだろう。

hoarding-examples.hatenablog.jp

 

というわけで、今日の解説。

 

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2019年7月22日、the Guardian

Boris Johnson is as likely to avoid an Irish backstop as fly to the moon

基本を確認しておこう。as ~ as ...は、程度が同じことをいう表現である。

例えば、I'm as tall as Tom. といえば、「私はトムと同じ背の高さ」ということだ。トムが約180センチなら私も約180センチだし、トムが約130センチなら私も約130センチだ。

I can sing as well as Tom. なら、「私はトムと同じくらいうまく歌える」ということだ。トムが氷川きよしなみに歌が上手ければ私も氷川きよしなみだ。トムがジャイアンのように歌えば近所迷惑になるレベルならば、私の歌も近所迷惑だ。

このように、as ~ as ...は必ずしも肯定的なことを述べるのではない。否定語を使わずに否定的なことを言うこともある。A is as ~ as Bは、「AとBは同じくらい~である」こともあれば、「AとBは同じくらい~でない」こともある。要は、Aが~である度合いと、Bが~である度合いが同じ、ということだ。

 

だから、「Aというゲームがつまらなかった」という前提が共有されているところでは、This game is as interesting as Game A. と言えば、「これは、ゲームAと同じくらいつまらない」、「このゲーム、Aなみのクソゲーだな」ということになる。逆に、「Aというゲームはおもしろかった」という前提なら、同じ文でも「これは、ゲームAと同じくらいおもしろい」、「このゲーム、Aなみの傑作だな」ということになる。

どちらになるかは、文だけ単体で見てもわからない。文脈が必要なのだ。

 

しかし、このタイプの文でも、文脈なしで「否定語を使わずに否定している」ということがわかる場合がある。それが、A is as ~ as BのBの部分について、「常識的に考えて~ではない(~とはいえない)」と判断できる場合だ。

例えば、Lions are big, but the lion cub is as big as a domestic cat. (「ライオンは大きいが、そのライオンの子供は、イエネコと同じくらいの大きさだ」)は、イエネコが決して「大きい」と言える大きさではないことはみんなが常識的に知っているので、「ライオンも子供のころは小さいんだね」と反応できるような文となる。文のどこにもnotはないが、文意としてはnot bigということなのだ。

つまり、《A is as ~ as B》の構文を見たときは、後ろの方(Bの方)を見て肯定的なのか否定的なのかを判断して読解することになる。ここをつかみ損ねると、わけがわからなくなってしまうかもしれない。

 

というわけで、今回の例: 

Boris Johnson is as likely to avoid an Irish backstop as fly to the moon

《省略》があってわかりづらいかもしれないので、それを補ってみよう: 

Boris Johnson is as likely to avoid an Irish backstop as (he is likely to) fly to the moon

次の保守党党首となることが確実視されているボリス・ジョンソンだが、彼が「月に飛んでいく」(月世界旅行をする)ことは、まあ、ありえない。

それを前提にして、ジョンソンが「アイリッシュ・バックストップを回避する」ことは「月に飛んでいく」ことと同じくらいlikely(起こりそうだ、実現しそうだ)、という記述を読むと、「ジョンソンがアイリッシュ・バックストップを回避することはまずありえない」と述べていることが、正しく読解できる。

 

ちなみに「アイリッシュ・バックストップ」はBrexitをここまで紛糾させている主要なファクターだが、それについて解説するのは当ブログの役割ではないので割愛する。関心がある方は下記などを参照されたい。

en.wikipedia.org

 

党首選において、ジョンソンは(ジョンソンだけでなくもう1人の候補者であるジェレミー・ハントも)「あんなものはなくたって大丈夫」と勇ましい態度を示していたが、どうも英国には「交渉事には相手がある」ということがよくわかっていない人が大勢いるようで、2人ともそういう人たちの方を向いて話しているらしい。ジョンソンに至っては自分も心底そう信じている(「英国が言うことなら、誰も逆らわない」と思っている)可能性もかなりある。要はナメくさっているわけで、英国の次の首相はほぼ確実にジョンソンだが、国際情勢的にはあまり安心できる感じはしない。

……なんて、ここはそんな話をするためのブログではないのでこの辺で。

 

いつもの参考書:  

徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

 
英文法解説

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