Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

too ~ to do ... 構文, 「非常に」の意味のmuch (much too ~), 副詞のeven 【再掲】

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このエントリは、2月にアップしたものの再掲である。この実例からは、日本の学校で習う英語がいかに重要な基礎知識を構成しているかがよくわかるのではないかと思う。基礎なので、基本的にそのままで使うのではなく、実際の場面では自分で必要に応じて応用(アレンジ)して使うわけだが。

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今回の実例は、2019年2月上旬、米BuzzFeedやVICEなど複数のオンライン・メディアで大掛かりなリストラが実行され(BuzzFeedではニューヨークにある報道部門がまるごと閉鎖され、優秀なジャーナリストたちが大勢失職した)、ここ数年ネットでのしてきていた「利益追求型の報道」というビジネスモデルについて疑問が呈されたときの記事のひとつ。

正直、日本は最初から蚊帳の外という感じなのだが、このトピックに興味がある人は、全文を読んでみるとよいだろう。

www.theguardian.com

以下で見るのは記事の書き出しから2番目のパラグラフ。文中のPerettiはBuzzFeed創業者のJonah Perettiのこと。 

f:id:nofrills:20190225180630j:plain

2019年2月2日、the Guardian
too ~ to do ... 構文, 「非常に」の意味のmuch (much too ~)

最初に見るのは書き出しのセンテンス: 

“Media companies have been much too slow to shift to digital,” he wrote.

中学校で習う超重要構文のひとつ、《too ~ to do ...》 の構文が使われていて、そのtooに「非常に」の意味のmuchがついている。

 

《too ~ to do ...》は「…するにはあまりにも~だ」、つまり「~すぎて…できない」の意味を表す。

  The tea was too hot to drink. 

  (お茶は飲むためにはあまりにも熱かった。→お茶は熱すぎて飲めなかった)

 

このtooを強めたいときに使う副詞が、muchである。

  The tea was much too hot to drink. 

  (お茶はほんとにものすごく熱すぎて飲めなかった)

 

この《much too ~》という形が、《too much ~》と紛らわしいと混乱してしまう人が少なくないが、上述のような理屈を覚えておけば混乱は避けられるだろう。

文法用語に抵抗がなければ、《much too + 形容詞・副詞》、《too much + 名詞》と区別しておいてもよい。

  He is much too young. Nobody would believe a ten-year-old is our CEO. 

  (彼はいくらなんでもあまりに若すぎる。10歳児がうちのCEOをしてるなんて誰も信じないだろう)

 

  He has too much money. That's why he's buying five cars at a time. 

  (彼には金がありすぎる。だから車を5台一気に買ったりするんだ)

 

なお、too muchだけ(後ろに何もない形)で「耐え難いほどたくさん」「もういっぱいいっぱい」の意味を表すこともある。

  This is too much! I quit! 

  (もうたくさん! もうやめた!)

 

副詞のeven

続いて、その次の文: 

They’ve clung to print and broadcast, even when it was clear audiences are moving elsewhere.

先日《even if ~》の形を見たが、《even when ~》のevenもそれと同じで「~でさえ」の意味を表す副詞。これが《時を表す副詞節》のwhenとくっついて、「~したときでさえ」の意味を表している。「オーディエンスがどこかよそに移動しつつあることが明らかだったときでさえ、彼ら(旧来のメディア)は印刷物と放送にこだわっていた」という意味である。

 

なお、この文はPeretti氏による従業員宛の文書からの抜粋だが、《時制の一致》が起きていないという点で興味深い。通例、it wasという主節に合わせ、audiences were moving... と過去形にするのだが、文全体が現在のこと(They've clungも現在完了)という意識が先に立って、時制の一致をすっとばしたのだろう。

試験で採点される英語ではなく実用英語として英語を書いていると、ときどき、自分でも時制がもやっとした文を書いてしまうことがあるのだが、この点、バリバリのアメリカ人のペレッティ氏の文として時制がもやっとなってる実例を見て、ちょっとすっきりした気分になれた。「時制の一致は惰性の一致」とも言われ、特に過去形にする理由がなくても主節が過去形なら従属節も過去形になることがよくあるが、逆にいきなり現在形になってることも実際にはあるんだ、みたいな。

 

 

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