Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

挿入, each, every, 《同格》のthat, 名詞節のif節, 副詞節のif節, ask ~ to do ..., 前置詞+動名詞, 時制【再掲】

↑↑↑ここ↑↑↑に表示されているハッシュタグ状の項目(カテゴリー名)をクリック/タップすると、その文法項目についての過去記事が一覧できます。

このエントリは、3月にアップしたものの再掲である。かなり笑える話が淡々と書かれている記事だが、文法項目としては絶対におろそかにできないような重要項目がてんこ盛りになっている。またeveryoneを受ける所有代名詞はhis/herなのかtheirなのかでいつも悩んでしまって言葉が出てこなくなってしまうような真面目な人も必読である。

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今回の実例は、英国発の珍ニュースから。英国(イングランド)のロンドンからドイツのデュッセルドルフに向かうブリティッシュ・エアウェイズ(BA)飛行機に乗ったはずが、着陸したのは英国内(スコットランド)のエディンバラだった、ということが起きた。

ロンドンでは、「乗っていたバスがいきなり行き先を変更する」みたいなことは日常茶飯事だが(こちらの記事には、その理由も書かれている)、飛行機が行き先を変更するというのは、何らかの異常事態に見舞われたとかハイジャックされたとかそういうことでもなければ、聞いたことがない。

実際、単なるミスで、フライトプランを間違えたことが原因だったという。普通間違えますかね、そこ……と思うのだが、起きたことは起きたことである。

というわけで、記事はこちら: 

www.bbc.com

 

見るのは記事の真ん中あたりにある、乗客による説明のセクションから: 

f:id:nofrills:20190327081901j:plain

2019年3月26日、BBC News

項目の一覧は下記の通り。たくさんあるように見えるが、どれも難しい項目ではない。この実例のように自分の見聞きしたこと、体験したことを人に説明するためには、このくらい文法項目が駆使される、という例として、ざーっと読み流してみよう: 

 

挿入

まず、最初の文に《挿入》が入っている。《挿入》については当ブログでは何度か書いてきているので、詳細は過去記事を参照されたい。下で太字で示している部分が挿入されている。文の主語はSophie Cookeで、動詞はtravelsである。

Sophie Cooke, a 24-year-old management consultant, travels from London to Düsseldorf each week for work.

 

each, every

eachやeveryは「すべての」、「それぞれの」の意味を表す語として、日本の学校で英語を習い始めてすぐに教わる語である。特に難しいものではないので、用例を見て確認しておこう。重要なのは、eachもeveryも、形容詞として用いられる場合は、直後に複数形は来ない(単数形が来る)ということである。

Sophie Cooke travels from London to Düsseldorf each week for work.

上の文は「ソフィー・クックさんは、毎週、仕事のために、ロンドンからデュッセルドルフに移動している」という意味。

 

eachやeveryのある語句が主語になるときは単数扱いとなる(現在形の場合、3単現のsがつく)、ということも、英文法の初歩で誰もが習うことだ。

  As each week passes he's grown more depressed. *1

  (一週また一週と過ぎるうちに、彼はますます落ち込んでしまった)

  Every day is a new day. *2

  (毎日が新たな一日である)

 

ではここで、everyoneを受ける代名詞は何を使ったらよいのかを考えてみよう。everyoneは三人称で、every-がついているから単数、ということはheかsheだと考えるだろう。実際、古め(といっても数十年前くらい)の英語では、形式的にheを使うのが一般的だった("Man" という語が「男」だけではなく「人間一般」の意味を表していたのが英語という言語である)。

  Everyone has his own opinion. 

  (誰もがみな、自分自身の意見を持っている)

 

だがこれでは、このeveryoneの中には女性がいないかのように読めてしまう。だから厳密に言う場合は、次のようにする。

  Everyone has his or her own opinion. 

 

しかしこの書き方は、形式張りすぎている。学術論文や法律の条文のような感じになってしまうのだ。このため、日常の英語ではthey, them, theirが用いられることが多い。今回の実例に見られるのもその一例である。

Everyone raised their hands.

 

《同格》のthat

She said when the pilot first made the announcement that the plane was about to land in Edinburgh everyone assumed it was a joke.

"the announcement that ~" は「~というアナウンス」の意味。このthatは接続詞で、《同格》の名詞節を導いている。

《同格》についてもすでに何度か取り上げているので、詳しくは過去記事をご参照いただきたい

 

名詞節のif節、副詞節のif節

この記事には「~かどうか」という意味の名詞節のif節と、《条件》を表す副詞節のif節が、立て続けに出てきている。

She asked the cabin crew if they were serious.

The pilot then asked passengers to raise their hands if they wanted to go to Düsseldorf.

上の文は「彼女は彼ら(乗務員たち)は本気なのかどうか、乗務員に訪ねた」で名詞節、下の文は「それから機長は、乗客たちに対し、デュッセルドルフに行きたいのなら手を挙げてくださいと頼んだ」で副詞節である。

 

ask ~ to do ...

"ask ~ to do ..." は「~に…するように頼む」の意味。日本の一般的な学校教育では《不定詞の名詞的用法》という項目で習うし、高校に上がったあとは《間接疑問文》としても学習する。

The pilot then asked passengers to raise their hands if they wanted to go to Düsseldorf.

 

前置詞+動名詞

Sophie said the plane sat on the tarmac at Edinburgh for two-and-a-half hours, before flying onto Düsseldorf.

ここで太字にした部分は《前置詞+動名詞》 の形。beforeを接続詞として使い、"before it (= the plane) flew onto Düsseldorf" としてもよいが、従属節を使う構造にしなければ正確に伝えられないほど複雑な内容ではない(つまり、従属節の主語も主節の主語と一致してるし、時制もごたついているわけではない)から、スッキリした《前置詞+動名詞》 の形が好まれる。

 

時制

最後に、この実例の文を《時制》に注目して、スピードをつけてざーっと流し読みしてみよう。

Sophie Cooke, a 24-year-old management consultant, travels from London to Düsseldorf each week for work.

She said when the pilot first made the announcement that the plane was about to land in Edinburgh everyone assumed it was a joke. She asked the cabin crew if they were serious.

The pilot then asked passengers to raise their hands if they wanted to go to Düsseldorf.

Everyone raised their hands.

"The pilot said he had no idea how it had happened. He said it had never happened before and that the crew was trying to work out what we could do."

Sophie said the plane sat on the tarmac at Edinburgh for two-and-a-half hours, before flying onto Düsseldorf.

最初の travels は、ソフィーさんの《現在の習慣》なので現在形。そのあとの部分は、彼女が過去において体験したことなので過去形となっている。

2~4番目のパラグラフの従属節(that the plane was about to land...; it was a joke; if they were serious; if they wanted to ...) はそれぞれ、主節 (the pilot first made...; everyone assumed; she asked the cabin crew; the pilot then asked...) と《時制の一致》をしている。 

そして5番目のパラグラフは機長の発言をソフィーさんが伝えている部分で、「機長が述べた」時点より前に「そのようなことが起きた」(how it had happened) とか「そのようなことは一度も起きたことがなかった」 (it had never happened before) というところで《過去完了(大過去)》が用いられている。"the crew was trying to work out what we could do" の部分は主節 (He said) との《時制の一致》だ。

最後の部分は、"Sophie said the plane had sat on the tarmac" と過去完了で表してもよいのだが(「ソフィーさんが述べた」時点より前に、「飛行機が停まっていた」ので)、あえて《過去完了》を用いなくても文脈より自明なので、スッキリと過去形で表されていると考えられる。

 

というわけで単なる「珍ニュース」の記事ではあるが、文法的には注目点が多く、自分で自分の体験を英語で説明するときに参考になる部分も多いので(「乗った飛行機が行き先を間違える」などということはそうそうあるものではないにせよ!)、しっかり読んでみたい記事である。

なお、米CNNがこれを報じた記事が、CNNの日本語サイトに掲載されているので(下記参照)、何が起きたのかということに関心がある方は、そちらも見てみるとよいかもしれない。

www.cnn.co.j

 

 

 

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