Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

数量表現, 「~の…パーセントがーだ」の表現, andによる接続(科学と女性)

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今回の実例は、国連のプレスリリースから。

2月11日は、日本では神話の登場人物がなんちゃらという日かもしれないが、国連ではInternational Day of Women and Girls in Scienceとされている。日本語では「科学における女性と女児の国際デー」と直訳されているようだが、英語の "women and girls" は「老いも若きも、年齢に関係なく、女性たち」の意味である。そもそもgirlは必ずしも「女児」(この日本語が表せるのは、せいぜい小学生までだろう)とは限らず、10代後半までは確実にgirlだし、文脈によっては20代でもgirlでありうる。さすがに30代でgirlということはほとんどないと思うが……。

で、Twitterでも日本語圏では盛り上がっていないこの「科学における女性と女児の国際デー」だが、英語圏では理系、つまり自然科学分野 (Science, Technology, Engineering and Mathematicsの頭文字をとって、STEM fieldsという) で働いている女性たちの個人としての発言はもとより、中学・高校・大学などやCERNのような研究機関のアカウントの発言も、政府省庁のアカウントの発言もある。例えば米国務省CERNのツイートは下記。

これと全く同じタイミングで日本で話題になっていたこと(そしてそれは今回ばかりはほぼリアルタイムで英語で報道記事になって国際的に流れていたのだが)といえば、何もなくても東京五輪が世界的な関心を集めている最中に、「女が会議にいると、男ならしないような質問をしたりするから、会議が長くなる」などということを公的な場でぺらぺらとしゃべって世界的に非難を浴びることになった森氏の進退の問題で、私はSTEM分野の女性たちの笑顔の写真と、森氏の顔色の悪い写真が交互に流れてくるような画面を見ながらギャップにくらくらしてしまった。

ともあれ、この「科学における女性と女児の国際デー」は、2011年に現在の形で発足した国連女性機関(UNウィメン)が制定しているもので、国連のサイト (un.org) に趣旨説明のようなプレスリリースが出ている。今回の実例はその文面から。

www.un.org

※2022年になるころには、同じURLで文面が書き換えられているのではないかと思われるが、その場合は今年の文面が取得されアーカイヴされているものをご参照のほど。

このページの本文は、今ワードカウンターで数えたら486語だ。つまり大学入試の共通テストの第4問とだいたい同じ分量である。分量感をつかむために素材として使ってみるとよいかもしれない。共通テストの問題文よりは内容らしい内容があるので、読み甲斐もそれなりにあると思うが、淡々とした説明文で物語性があるわけでもなければ読ませる文体でもないので、読んでて楽しい文ではない。ともあれ。

 実例としてみるのは、最後から3パラグラフ目のところから。

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https://www.un.org/en/observances/women-and-girls-in-science-day

キャプチャ画像の最初のパラグラフは、文全体の最後から3番目のパラグラフだが、ここにはグラフを見てその内容を英語で説明しなさいという形の自由英作文で使いまわせる数量表現が入っている。

At present, less than 30 per cent of researchers worldwide are women.

"less than ~ per cent of ... are __" というのを、文の基本形として覚えてしまおう。覚えるには、何か自分でわかりやすい文例を考えてみるのがよい。例えば: 

  Less than 20 per cent of their products are made in Japan. 

  (彼らの製品のうち、日本で製造されているものは20パーセントに満たない)

このlessはmoreの反対で、「~より少ない」の意味だから、moreに置き換えた文例も作ってみるといい。ついでに、be動詞でなく一般動詞でも文を作ってみよう。

  More than 60 per cent of the voters supported the candidate. 

  (投票した人々のうち6割以上が、その候補者を支持していた)

この次の文もまた、この基本形とだいたい同じだ。文の骨格に直接関係のないところを薄いグレーにすると: 

According to UNESCO data (2014 - 2016), only around 30 per cent of all female students select STEM-related fields in higher education.

主語は "only around 30 per cent of all female students" で、onlyもaroundも修飾語だから本体は "30 per cent of all female students" で、この部分の意味は「すべての女子学生のうち30パーセント」 。

述語動詞は "select" で、文意は、ほぼ直訳すれば、「全女子学生のうちわずか30パーセントほどしか、高等教育においてSTEM関連分野を選択しない」となる。

次の文は、等位接続詞andの接続がカギとなる。andが3度出てくるが、役割が2通りあるのだ。

Globally, female students’ enrolment is particularly low in ICT (3 per cent), natural science, mathematics and statistics (5 per cent) and in engineering, manufacturing and construction (8 per cent).

下線で示した "and" は語と語を結び付けており、太字で示したものは句と句を結んでいる。つまり、"natural science, mathematics and statistics" という句と、"engineering, manufacturing and construction" という句を、and が接続している。

さらに少しややこしいのは、その前に "ICT" があるからだが(ちなみにICTは、information and communication technologyの頭文字をつないだ略語で、ICTよりITという用語のほうが一般的かもしれない*1)、 この部分の構造をそのまま読むと、私なら "in ICT (3 per cent), in natural science, mathematics and statistics (5 per cent) and in engineering, manufacturing and construction (8 per cent)" と、inを1つ多く書くかもしれない。

文意は「世界的に、女性の学生の履修が特に少ないのはICT分野(3パーセント)、自然科学・数学・統計(5パーセント)と、工学・製造・建設(8パーセント)である」ということになる。

この次のパラグラフも丁寧に読んでみるとよいのだが、ここで当ブログ既定の4000字を超えているので、続きはまた次回に。

 

※4080字

 

参考書:  

実戦編 英作文のトレーニング 改訂版

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自由英作文編 英作文のトレーニング 改訂版

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  • 作者:成田あゆみ
  • 発売日: 2018/03/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

 

*1:英語圏でも日本語圏でも、ICTという用語は学術的な文章や専門的な文脈での記事などで見かけることが多い。ただ、英語では新聞・雑誌の記事などでは、ITという用語より単にtechという用語を使うほうが多いかもしれない。

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