このエントリは、2020年2月にアップしたものの再掲である。
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今回の実例はTwitterから。
起きたことがショックすぎて文脈とか説明できる状態ではないので、今回はサクッと。
何が起きたかというとこういうこと。つまり、英国政府の北アイルランド担当大臣が、2月13日のジョンソン内閣改造でクビになった:
Julian Smith sacked as Johnson reshuffles cabinet https://t.co/GaPKKLSZvs 'There had been reports that No 10 hd bn concerned at the way the some elements of the deal were pushed thru, particularly those relating to retrospective investigations into the actions of British troops.'
— nofrills/共訳書『アメリカ侵略全史』作品社 (@nofrills) February 13, 2020
実例として見るのはこちらのツイート:
U have been such an effective SOS for NI at a time of real challenge & risk. Without your leadership I don’t believe NI would have a Govt today. Thank you @JulianSmithUK for your trust, friendship and courage; UK & #Ireland can look to future with more confidence because of it.
— Simon Coveney (@simoncoveney) 2020年2月13日
ツイート主のサイモン・コヴニー氏はアイルランド共和国の外務大臣、つまり英国との交渉を行う担当者で、今回クビになった英国のジュリアン・スミス北アイルランド担当大臣とともに、3年間も機能停止していた北アイルランド自治議会の再起動に尽力し、それを実現させたのだが、彼自身、先週末の選挙の結果、外務大臣のポストを失うことは確定的だと思われている(ただし、先週末の選挙の結果は非常に複雑なもので、新政権の組閣は、すぐには始まっていないのだが)。つまり、ほんの1か月前に北アイルランド自治議会を再起動させた英国・アイルランド共和国両国政府の代表者が、そろって表舞台を去るわけだ。かもしれないということになった。(←記述修正。わけのわからないことに、アイルランドのFGが政権を去るかどうかがわからなくなってきてるのでここを修正し、少し上のところは「確定的だと思われている」と加筆しました。)
さて、サイモン・コヴニーのこのツイート、文字数が上限ぎりぎりである。だから最初が、"You" でなく、2文字少ない "U" という略式の表記になっているわけだ。
U have been such an effective SOS for NI at a time of real challenge & risk.
"SOS" はSecretary of Stateのことで、英国の「国務大臣」。この略語は英国政治についての文を読む人は、常識として知っておかねばならない略語。間違っても「救難信号」と解釈してはならない。
次の文。NIはNorthern Ireland(北アイルランド)のこと。GovtはGovernmentのこと:
Without your leadership I don’t believe NI*1 would have a Govt today.
太字で示した部分、これは、前回の実例でも出てきたが、《if節のない仮定法》である。今回は説明は省略する。
下線で示した部分は《挿入》になっているが、注意を要するのはこのような《否定》の形である。下記例文を参照。
I don't think he will give up.
(彼が諦めるとは私は思わない=彼は諦めないと私は思う)
△英語では、I think he will not give up. とは言わず、否定語のnotは主節のI thinkのほうにつける。
つまり、文意としては「あなたのリーダーシップがなければ、北アイルランドは今日、行政府を持っていなかっただろうと私は思う」ということだ。
次の文:
Thank you @JulianSmithUK for your trust, friendship and courage; UK & #Ireland can look to future with more confidence because of it.
太字で示した《thank ~ for ...》は、これも 前回の実例でも出てきたので、そちらでご確認いただければと思う。
また、ここで2つの文の区切りに使われているのはセミコロン (;) で、これは等位の2つの文をつなぐという機能がある。Andの代わりと思っておいてよい(Andを使うよりセミコロンのほうがスマートだ)。文意は「ジュリアン・スミス大臣の信頼と友情、勇気に感謝します。英国とアイルランドは、それがあってこそ、いっそうの自信をもって将来を見ることができるのです」。
参考書: