Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

コロン, asの判別(関係代名詞, 接続詞), 進行形を含む表現, 付帯状況のwith, など (コロナ禍五輪は、1964年の東京五輪の夢を見たが……)

↑↑↑ここ↑↑↑に表示されているハッシュタグ状の項目(カテゴリー名)をクリック/タップすると、その文法項目についての過去記事が一覧できます。

【おことわり】当ブログはAmazon.co.jpのアソシエイト・プログラムに参加しています。筆者が参照している参考書・辞書を例示する際、また記事の関連書籍などをご紹介する際、Amazon.co.jpのリンクを利用しています。

今回は、前回(昨日)書きかけで放置してしまったところをそのまま続けます。文脈などは前回のエントリをご参照のほど。

記事はこちら: 

www.washingtonpost.com

 

実例として見るのは、冒頭の1964年の大会について振り返ってまとめている個所のすぐ下。最初の2つの文を前回見たので、今回はその続き。

f:id:nofrills:20210719232613j:plain

https://www.washingtonpost.com/sports/olympics/2021/07/17/olympics-tokyo-legacy/

So far Tokyo 2020, as the postponed Games are still being branded, looks to be falling distinctly flat as it moves toward Friday’s Opening Ceremonies with the pandemic setting the mood: No spectators at venues in the Tokyo area and athletes confined to an Olympic bubble.

ちょっと長いけど、落ち着いて読めば構造は単純である。

青字で大きくして示した《コロン (:)》は、事実上ピリオドのようなものとして扱うことができるので、まずは大きくここで区切ることができる。このコロンの後ろは、コロンの前で述べたことの具体的説明の名詞句による列挙となっていて、文の構造はとっていない。

コロンの前の部分が、やや長い文になっているので、そのSとVを把握するところからいこう。スラッシュを入れてみると: 

So far / Tokyo 2020(, as the postponed Games are still being branded,) looks to be falling distinctly flat as it moves toward Friday’s Opening Ceremonies with the pandemic setting the mood

これで構造が見えただろうか。

文の主語は "Tokyo 2020", 述語は "looks to be..." である。

"Tokyo 2020" の直後に、コンマ2つで挟まれているのは《挿入》で、ここでは文構造をもつ節が挿入されている。この節を導いているのが "as" だが、後ろが節になっているということで、前置詞ではなく接続詞か関係代名詞と判断される。ここではこの節内が "are ... being branded" と、《brand O C》の構文の受け身の形で、これのOの要素だったものが "the postponed Games" で、Cの要素だったものが欠落しているので、asはそのCの要素だったものであり、したがって接続詞ではなく《関係代名詞》と考えられる。

説明速すぎますかね。じっくり説明できる余力がないので堪忍してください。

ともあれ、ここまで、つまり "So far Tokyo 2020, as the postponed Games are still being branded" までの意味は「今のところ、東京2020は――延期された大会は(2021年になった)今もなおそのように銘打たれているのだが――」と直訳できる。(直訳ったって原文にダッシュはないじゃないかと思われた方、おっしゃる通りですが、そういう訳文の読みやすさの処理上の説明ができるほど体力がある状態ではないので、これでゆるしてください。)

そのあとの部分: 

... looks to be falling distinctly flat as it moves toward Friday’s Opening Ceremonies with the pandemic setting the mood

《look to do ~》と《進行形》の合わせ技で《look to be -ing》の形。意味は「~しつつあるように見える」。

fall flatは、「倒れてflatな状態になる」の意味で、つまり「完全に倒れてしまう」。下記の図のイメージを持っておくとよいだろう。

f:id:nofrills:20210721005537p:plain

https://www.irasutoya.com/2016/08/blog-post_919.html

このfall flatは報道記事では頻出の表現で、planなどを主語として「完全に失敗する」「不発に終わる」の意味となる。また、「ジョークが滑る」ときもThe joke fell flat. というように表す。

さて、本題。asの節を見てみよう。

as it moves toward Friday’s Opening Ceremonies with the pandemic setting the mood

先走って「節」と書いてしまったが、このasは後ろにS+Vの構造があるので、前置詞ではなく《接続詞》と判断される。ここでは、上で見たのとは異なり、関係代名詞ではなく普通の《接続詞》で、意味は《時》を表している。「金曜日の開会式典に向かって日本が動いていくときに、Tokyo2020は完全に失敗しつつあるように見える」となる。

青字で示した部分は、おなじみ《付帯状況のwith》で、ここでは現在分詞を伴っている。「パンデミックがムードを決めている状態で」と直訳される。

 

ではその次、コロンの後の部分: 

No spectators at venues in the Tokyo area and athletes confined to an Olympic bubble.

コロンの前で「パンデミックがムードを決める中で」と述べたことについて、具体的な説明が加えられている。「東京地区の競技会場における無観客、および五輪バブルの中に閉じ込められるアスリートたち」と直訳される。

 

 

※2470字

 

 

当ブログはAmazon.co.jpのアソシエイト・プログラムに参加しています。筆者が参照している参考書・辞書を例示する際、また記事の関連書籍などをご紹介する際、Amazon.co.jpのリンクを利用しています。