Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

if節のない仮定法, 挿入, など(広島市への原爆投下とダグラス・マッカーサー)

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今回の実例は、前回の続きで、グレッグ・ミッチェルさんのブログから。前置きなしでいきなり本題に入る。記事はこちら。

gregmitchellwriter.blogspot.com

前回は、原爆投下の2日前の米国政府および米軍内の動きを、端的に箇条書きでまとめたこのブログ記事の3パラグラフ目の前半を見たが、今回はその後半を見ていこう。

 ダグラス・マッカーサーの補佐だったノーマン・カズンズが、原爆についてマッカーサーに尋ねたときのことを回想して書いた文章からの引用の部分: 

f:id:nofrills:20210806220957j:plain

https://gregmitchellwriter.blogspot.com/2013/08/countdown-to-hiroshimanaugust-4-1945.html

前回見た部分にあった《引用符》の初めの部分(下で朱字で示しているもの): 

Norman Cousins ... would later reveal:  "MacArthur's views about the decision to drop the atomic bomb on Hiroshima and Nagasaki were starkly different from what the general public supposed....

この引用符の結びの部分は、今回見るところに入っている。

What, I asked, would his advice have been? He replied that he saw no military justification for the dropping of the bomb. The war might have ended weeks earlier, he said, if the United States had agreed, as it later did anyway, to the retention of the institution of the emperor."  As we noted earlier, both General Eisenhower and Truman's top aide, Admiral Leahy, both protested the use of the bomb against Japan in advance.

つまり、今回見る部分の "of the emperor" までがカズンズの言葉からの引用だ。

では個別に文法項目などを見ていこう。

第1文: 

What, I asked, would his advice have been?

ぬお、《描出話法》すれすれ(伝達節はあるので、会話文が地の文に完全に入り込んでいるわけではないが)……臨場感がすごい。

ともあれ、この文は直接話法と間接話法の中間みたいに見えるが、これは直前の文(前回見たところ)の "When I asked General MacArthur about the decision..." を受けた一種の《繰り返し》で、「マッカーサー大将に原爆投下の決定について尋ねると、……と言われてたいへん驚いた。重ねて~~と尋ねた」というふうな構造というか展開を作っている。

コンマではさまれた ", I asked," は《挿入》なので、文意を取るときはこれを外してしまえばよい。そうすると "What would his advice have been?" という疑問文が浮かび上がる。「彼のアドバイスはどのようなものであっただろうか、と私は尋ねた」という意味の文だ。

ここで注目したいのは、 "What would his advice have been?" と《仮定法過去完了》になっていることだ。if節はない。ではどんなことを仮定しているかというと、この直前の文の "I was surprised to learn he had not even been consulted" の下線部が答えだ。つまり、「マッカーサーは相談を受けてもいなかった」という《事実》があり、それに対する《反実仮想》がここで見えなくされている(省略されている)if節に入っている。すなわち「もし相談を受けていたら」だ。その見えないif節を受けて、「マッカーサーのアドバイスはどのようなものであっただろうか」と、話はつながっているのである。

 

その次の文: 

 

He replied that he saw no military justification for the dropping of the bomb.

ここは解説すべき文法ポイントも特にない。さらっと読めるだろう。文意は「彼は、その爆弾(原子爆弾)の投下には、軍事的に正当であるとすることは、まったく見えないと答えた」と直訳できる。要するに、マッカーサーは原爆投下などしたところで、軍事的にどんな意味があるんだという考えだったわけだ。

 

次。カズンズの記述からの抜粋の最後のところ。ここも話法はすぐ前の文と同じである: 

The war might have ended weeks earlier, he said, if the United States had agreed, as it later did anyway, to the retention of the institution of the emperor." 

そしてここでも《仮定法過去完了》である(太字個所)。

コンマで挟まれた ", as it later did anyway," は、もちろん、《挿入》で、文意を取るときはいったん外して考えるとよい。

この文は、「戦争は何週間も前に終わっていただろう、と彼は言った。もし米国が、後になって結局そうしたように、天皇の機構を維持することに賛成していたら」と直訳される。

 

次。このセクションの最後の文は、特に解説が必要な文法項目はないが、1点だけ:

As we noted earlier, both General Eisenhower and Truman's top aide, Admiral Leahy, both protested the use of the bomb against Japan in advance. 

これは、意外と難しいかもしれない。構造は: 

both ( General Eisenhower and Truman )'s top aid

ということで、「アイゼンハワートルーマン双方の補佐の中でもトップに位置する人物」の意味だ。《同格》で直後に個人名が出てきている。

 

※2750字

 

 

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