Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【再掲】時差の計算は具体的にどうすればよいのか、 help + 動詞の原形(ダジャレがライオンを救う #savelions )

↑↑↑ここ↑↑↑に表示されているハッシュタグ状の項目(カテゴリー名)をクリック/タップすると、その文法項目についての過去記事が一覧できます。

【おことわり】当ブログはAmazon.co.jpのアソシエイト・プログラムに参加しています。筆者が参照している参考書・辞書を例示する際、また記事の関連書籍などをご紹介する際、Amazon.co.jpのリンクを利用しています。

このエントリは、2020年8月にアップしたものの再掲である。

-----------------

今回の実例は、Twitterでのハッシュタグ募金の呼びかけの文面から。あるいは「言語の壁を越えたダジャレを言うのはだれじゃ、と思ったら、オックスフォード大学だった件」。

日本に住んでる人ならだれでも知ってると思うが、日本のプロ野球球団に「西武(せいぶ)ライオンズ」という球団がある。45年くらい前 (!) に志村けんが全国のお茶の間に届けた『東村山音頭』で、「庭先にある」と歌われている、あの多摩湖の湖畔にあるスタジアムが本拠地だ。つまり、東京都と埼玉県の県境のすぐ埼玉県側に本拠のある球団である。

この球団のルーツは九州の福岡県にあり*1、もしそのまま「西鉄ライオンズ」として今も存続していたら、今回のオックスフォード大学もノリノリでツイートしているダジャレは存在していない。実に数奇なめぐりあわせではないか。

などというどうでもいい話はさておき、今回の実例はこちら: 

このツイート(とそれに付属している画像のテクスト)を一読して、何が行なわれるか、それに参加するにはどうしたらいいか、といったことが把握できただろうか。

 

一読しただけで読み取れていなければならない重要な情報としては、これは「#savelions(セイヴ・ライオンズ)というハッシュタグをつけてツイートすると、ボツワナジンバブエのライオン保護プロジェクトに、西武ライオンズが1件当たり10円の寄付をしてくれます」という告知である。

その寄付金の行先は @WildCRU_Ox で、ツイートの期限は「明日(8月13日)の午後4時」。

と、そこまで見て、頭の中に響く松崎しげるの歌唱力と声量に圧倒されながら #SaveLions とハッシュタグを打ち込んでツイートして終わり……にしてもよいのだが、もうちょっと先まで確認してみよう。

まず寄付先の @WildCRU_Ox とは何か。

そしてツイート期限の「明日(8月13日)の午後4時」は具体的にいつまでなのか。これは、地球は丸くて時差(異なるタイムゾーン)というものがある以上、同じタイムゾーンに属していない場所からのニュースなどに接するときには常に意識しておく必要があることだ。

 

Twitterのような世界に向けて開かれた場では、「〇日の〇時まで」という期限が設けられていることについては、どのタイムゾーンかを併記するのが通例である。例えば、当ブログでも以前に紹介したBandcamp Fridayの告知では、次のように、"Friday, August 7th, from midnight to midnight Pacific Time." と記されている。

この情報を、異なるタイムゾーンに向けて転送する際は、そのタイムゾーンでは何時になるのかを追記すると親切である。例えば次のように。

このバンド*2は英国のバンドなので、"8am to 8am UK time" と追記しているわけだ。

ちなみに日本時間(JST: Japan Standard Time)では、PT (Pacific Time), つまり今の時期はPDT (Pacific Daylight Time) での0時から0時は、当日の16時から翌日の16時にあたる。ちなみに、上のGBOAのツイートではPDTではなくPST (Pacific Standard Time: 夏時間でないときの時刻) と書いてあるが、PDTの間違いである。

時差の計算はネットで簡単にできるようになっているが、よくある「世界時計」のサイトは「今、何時?」を表示させることに特化されていて、「サンフランシスコでの〇月〇日の〇時は、東京では何日の何時なのか、ロンドンではどうか、イランのテヘランではどうか」といったことを調べるのに便利なサイトはけっこう少ない。私は下記のサイトを使っている。アプリもあるのかな。サイト運営の方々には感謝しかない。

www.jisakeisan.com

話が逸れてしまったが(そしてこれを書くのにやたらと時間がかかってしまった)、#savelions のハッシュタグが期限としている "4pm tomorrow (13th Aug)" はどのタイムゾーンでのことか、日本時間では何日の何時かということを見てみよう。

上記のツイート本文には書かれていないが、添付されている画像に、これがどこのタイムゾーンでの話かが書かれている。 

f:id:nofrills:20200813144121j:plain

https://twitter.com/WildCRU_Ox/status/1293567803908395008/photo/1

Between 4pm on Wednesday, 12th August & 4pm on Thursday 13th August (UK time), use the hashtag #savelions and support WildCRU's lion conservation research and coexistence programmes in Botswana and Zinbabwe

つまり、このツイートで呼びかけられているハッシュタグ寄付運動は、「英国時間で12日の午後4時から13日の午後4時までの間」。英国時間は基本的にはGMTグリニッジ標準時)で日本との時差は9時間だが(英国の0時が日本の9時)、今は夏時間のBSTだから日本との時差が8時間なので(英国の0時が日本の8時)、「12日の午後4時」は「13日の午前0時」である。

つまり、西武ライオンズによるセイヴ・ライオンズのハッシュタグは、日本時間で13日の午前0時から日付が変わるまで行われている、という告知だ。(なお、こういうところで英語圏では意外と厳密性を追求しないのだが、正確には「0時まで」ではなく「23時59分まで」である。)

 

そして寄付先の@WildCRU_Oxだが、これはTwitterのプロフィール欄を見ればわかる通り、イングランドのオックスフォード大学の動物学部の一部である。

f:id:nofrills:20200813145128p:plain

https://twitter.com/WildCRU_Ox

つまり、「西武」=「セイヴ (save)」のダジャレがつながってる先は、オックスフォード大学の現地研究ユニットである。

西武ライオンズのアカウントでこれを告知するツイートを見てみたが、そういうことがぱっと見ただけでわかるようにはなっていなかった。もったいないと思う。

 

というわけで、今日、2020年8月13日の23時59分までの間、Twitterで #SaveLions と「つぶやく」と*3ジンバブエボツワナで活動するオックスフォード大学の研究チームに、1件あたり10円が寄付されます。

 

と、ここでもう当ブログ規定の4000文字超えてるんだけど、英語の実例解説をしていないのでもう少し。当該ツイートの最初の文: 

Help support our lion conservation projects in Botswana & Zimbabwe.

書き出しの《help + 動詞の原形》は、私はいわゆる「学校英語」の範囲では習った記憶がないのだけど、実際に英語で書かれた日常の文書を見るようになってから非常に頻繁に遭遇するようになった表現である。単に "Support our lion conservation projects" と言っても言いたいことは通じるのだが、その前に "Help (and)" を置くことで「お願いを呼び掛けている」感が強くなる。例えば次のような例がある。

 

 

 

 参考書:   

 

*1:1978年に西武鉄道グループに買収されて、埼玉県に引っ越してきた。詳細は https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9F%BC%E7%8E%89%E8%A5%BF%E6%AD%A6%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%82%BA を参照。

*2:GBOA、懐かしいよね。もう活動してないけど、過去の音源をBandcampにアップしているそうです。

*3:私はこの「つぶやく」という日本語表現がしっくり来ていないのでカギカッコを使っておく。ぶっちゃけ、誤訳である。twitterは英語として「鳥がさえずること」で、鳥がさえずるのは他の鳥に情報を伝達するため。「つぶやき」ではない。

当ブログはAmazon.co.jpのアソシエイト・プログラムに参加しています。筆者が参照している参考書・辞書を例示する際、また記事の関連書籍などをご紹介する際、Amazon.co.jpのリンクを利用しています。