Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【再掲】近未来・確定した予定を表す現在進行形(Bandcampが、新型コロナウイルスの影響を受けているアーティストへの支援活動)

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このエントリは、2020年6月にアップしたものの再掲である。

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今日の実例は、新型コロナウイルス禍による行動制限(日本語圏では「自粛」で済まされているが)の直撃を受けているミュージシャン、アーティストへの支援の取り組みから。

米西海岸のカリフォルニア州オークランドに拠点を構えるBandcampというサイトがある。音楽を作るアーティストが、自分たちの音源を聞き手に直接販売できるというサイトだ。音楽産業大手とは別のところでやっている(インディペンデントな)レコードレーベルも多数参加している。

サイトのシステム利用料はかかるし、個別のアーティストとレーベルとの間の契約にもよるだろうが、基本的に、アーティストとファンの間の直接売買で、いわゆる「中抜き」がほとんどないという形のサイトである。アーティストは楽曲をアルバムの形でアップロードし、楽曲を購入したファンはそれを自分の好むファイル形式(mp3だったりflacだったりwavだったりetc)でダウンロードできる。アルバムをまとめて買うこともできるし、1曲だけ購入することもできる。曲の試聴は、音質は悪いが、Bandcampのサイトでできるようになっている。それもよくある一部抜粋ではなく、フルでの試聴だ。

アーティストは個別にページを持っていて、そのページではアーティスト自身が販売できるアルバムが最新作から過去作まで並んでいることが多い(メジャーレーベルからリリースされている作品は、このサイトでは見ないと思う)。例として、スコットランドインストゥルメンタル・バンド、Mogwaiのサイトを見てみてほしい。各アルバムのジャケ写をクリックすると試聴画面になり、そのアルバムに入っている楽曲がリストで並んでいる。一番下にリリース年月が書かれているが、それが2020年だったり2013年だったり2011年だったりしているのが確認できるだろう。でもEMIから出ていたようなアルバムはここには入っていない。

mogwai.bandcamp.com

 

そのBandcampが米西海岸夏時間で今日、2020年6月5日(金)に、サイトの手数料を撤廃し、売れた分はすべてアーティストに行くようにする。参加レーベルの多くも、自分たちの取り分をゼロにするなどして協力し、新型コロナウイルスの影響を受けてライヴができなくなっているアーティストを最大限に支援するための取り組みだ。

今回の実例は、BandcampのTwitterアカウントからのその取り組みの告知の文。

 ツイートの最初の文:

We're waiving our share of sales this Friday, June 5th, from midnight to midnight PDT. 

太字にした部分は《現在進行形》だが、これは「今~している」という現在進行形の基本的な意味ではなく、《近未来》《確定した予定》を表す用法だ。

日本と米西海岸とでは時差があって、このブログでは上記のツイートは6月4日付ということで表示されていると思うが、Bandcampがこのツイートを投稿したのは米西海岸で6月3日である。

その3日の時点から、5日に行うことを言う場合に、《現在進行形》を使っているわけだ。これは《近い未来の確定している予定》を表す用法で、日常の英語では非常によく目にするものだ。

  I'm leaving for Toronto next Monday. 

  (次の月曜日にトロントに向かうことになっている)

これが過去形で用いられることもある。

  I was leaving for Toronto the following Monday. 

  (私はその次の月曜日にトロントに向かうことになっていた)

というわけで、"We're waiving our share of sales this Friday, June 5th, from midnight to midnight PDT." は、「私たちは今週金曜日、6月5日、午前0時から深夜0時まで、売り上げからの私たちの取り分を放棄します」と直訳される。

 

次の文: 

Here’s a list of artists and labels with special releases, including many donating to organizations in support of racial justice and change. https://daily.bandcamp.com/features/artists-and-labels-offering-donations-special-merch-and-more-on-friday-june-5

特に解説するところもないが、URLを示して「ここに特別リリースをするアーティストとレーベルを一覧にしてあります」と述べ、その内容の具体例を "including ..." として示している。

この "including ..." は《分詞構文》と考えられなくもないかもしれないが、単に《including ~》という前置詞句と考えるのがすっきりする。英和辞典でもそのように扱われているはずだ(例えば、今私の手元にある『ジーニアス英和』ではそうなっている)。

そのあと、太字にした "donating" は《現在分詞》で、先行の名詞 (many) を後置修飾している。"in support of ~" は「~を支援して」で、この部分の意味は、「人種による偏りのない司法と変革を支援している組織に寄付するアーティストやレーベルもたくさんあります」ということになる。

ここで "racial justice and change" が出てきたのは、この10日ほど、まさに全米を揺るがしているジョージ・フロイドさん殺害後の #BlackLivesMatter のうねりの中に、Bandcampのこの新型コロナウイルスの影響を受けたアーティストへの支援という取り組みもまた、置かれているということを示している。

殺されたフロイドさん自身、ヒューストンに暮らしていたころに地元の音楽シーン(ヒップホップ)と関わりがある人だった。多くのアーティストが黙っていられるはずがない。

 

というわけで、時差が16時間あるので、日本では今日6月5日(金)16時から、明日6日(土)の15時59分までということになるが、その期間は、Bandcampで音楽を買うという形で、ツアーやライヴができなくなっているアーティストたちを支援したい。

と、今見てみたら、サイトの上部にカウントダウンのバナーが出ていた。

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2020年6月5日、https://boris.bandcamp.com/album/love-evol

 

日本からも多くのアーティストがこのプラットフォームに参加している。下記がタグの一覧ページ。特にお目当てのバンドやアルバムなどがなくても、曲はフル試聴できるのだから、「ジャケ買い」ならぬ「ジャケ試聴」してみて、気に入ったら購入するという形で、いろんな音楽に接するとよいと思う。

bandcamp.com

 

boris.bandcamp.com

Borisの作品は、今アップされているアルバムのうち7枚については私が歌詞の英語化を担当している(US盤や欧州盤なら確実にライナーに掲載されている)。(彼らはどこにいっても日本語詞で歌っているが、歌詞の意味を伝えるために英訳はつけている。)

 

以下、投稿時間まで許す限りアーティストページを貼ってみる。

monoofjapan.bandcamp.com

liteband.bandcamp.com

guitarwolf.bandcamp.com

あかん、もう29分だ。こんなところで。

あと、私はこれを買う。EARTHDOMは東京・新大久保のライヴハウス

 

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