Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【再掲】前置詞のasと接続詞のas, 感情の原因・理由を表すthat節/to不定詞, 接触節, 現在完了進行形など(ワクチン接種初日のロンドンの病院から)

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このエントリは、2020年12月にアップしたものの再掲である。

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今回もまた、前々回前回に引き続き、イングランドでの新型コロナウイルスのワクチン接種開始についてのNHS (National Health Service) のツイートを読んでいこう。

ワクチン接種最初の1人は、12月8日の朝6時台にイングランド中部の都市コヴェントリーの病院で注射を打ってもらったマーガレット・キーナンさんで、その後さらに2人が同じ病院で接種を受けたが、同じ日のうちにイングランドの各都市で次々と対象者に接種が行われ、各地のNHSから報告が上げられた。

こちらは首都ロンドン南部のクロイドンから: 

この "as" は接続詞か前置詞か、すぐに判断できただろうか。

ここでは、asに続く部分に動詞がない、つまり《as + S + V》の構造になっていない(節を従えていない)ので、これは前置詞である。そして前置詞のasの意味は「~として」。だからここは「ジョージ・ダイアーさんが、ロンドンで最初に接種を受けた人々のひとりとして、歴史を作った」という意味になる。

 

同じくクロイドンからダイアーさんの発言: 

 "I feel very lucky that ~" は《感情の原因・理由を表すthat節》で「~できて私はとても幸運だと感じている」の意味。"to keep virus away" は《目的》を表すto不定詞の副詞的用法で「ウイルスを遠ざけておくために」。この《keep ~ away》もぜひ覚えておきたい表現だ。
  An apple a day keeps doctors away. 

  (1日に1つのリンゴが、医者を遠ざけておく=毎日1つリンゴを食べれば、医者にかかる必要がないくらい健康でいられる)

"the first in the world to be vaccinated" の部分のto不定詞(形容詞的用法)は、前々回前回にも出てきていると思うが、このトピックに関する英語表現で何度も出てきているので、そろそろ確認が必要ないくらいにしっかり定着しているだろう。

さらにクロイドンからもう1件: 

このツイートには "as" が2つあるが、それぞれ接続詞か前置詞か、判別できただろうか。

ここでは2つとも、本稿最初に見たものとは異なり、直後に《S + V》の構造 (staff applaud, vaccinations take place) が続いているので接続詞である。接続詞のasは《時》、《比例》、《容態》、《理由》などを表すが、ここでは2つとも《時》を表し、何かが同時進行していることを言っている。直訳すれば、最初のasは「クロイドン病院のスタッフが、90歳のジョージ・ダイアーさんに拍手をしている、感極まった瞬間」、2番目は「今日、ロンドン各所でワクチン接種が行われていますが、私たちは感謝したい」という意味になる。

第二文の後半: 

we want to thank #OurNHSPeople for the incredible work they have done to get this far.

"want to do ~" は確認するまでもないかもしれないが、そのあとの《thank ~ for ...》(「…について~に感謝する」)は確認しておこう。"work" と "they have done" の間には関係代名詞のthatが省略されていて(《接触節》の構造)、最後の "to get this far" の部分のto不定詞は副詞的用法だ。"this" は副詞で「こんなにも」の意味。というわけで意味をまとめると、「こんなに遠くまでたどり着くために、彼らが為してきた、信じがたい(ほどすばらしい)仕事について、私たちのNHSの人々に感謝したいと思います」。

 

新型コロナウイルスワクチン接種初日、このクロイドンの病院には、 NHSイングランドのプライマリ・ケア責任者であるニキータ・カナニ医師も来ていた(このツイートに埋め込まれている映像は、雑音が多くマイクの性能もよくないために聞き取りがかなり難しいので、無理しなくてよい): 

文頭に "I am" が省略された《手紙文・日記文》の形式で、書き出しは "(I am) genuinely overwhelmed to see ~" と解釈する。ここで使われているのは《感情の原因・理由を表すto不定詞》で、「~を見て、純粋に圧倒されています」の意味。

そのあと、"- a step towards the light -" は《挿入》で《同格》。正式な印刷物などなら "-" (ハイフン)を使わず、もっと長いダッシュを使っているはずだが、簡易的にハイフンで代用することは特に個人がスマホなどで入力する場合にはよくある。ここまで意味は「この瞬間、光へ向かっての一歩を目にして、純粋に圧倒されています」。

NHSでは、前回見たように、ワクチン接種を徐々に進めていくことにしており、順番が来た対象者には個別に連絡が行くことになっている。カナニ医師のツイート文の後半はそのことを言っており、「時間はかかるでしょうが、ワクチン接種の連絡を受けたときには、ぜひ進み出てください」と、人々にワクチン接種を呼び掛けている。

最後の "In the meantime? #HandsFaceSpace " は、「それまでの間は、手を洗い、顔を覆い(マスクを着け)、人との間隔をとりましょう」。#HandsFaceSpaceは、日本でいう「三密」みたいなとにかく繰り返して人々の目に触れさせるための標語だが、「三密」よりずっと具体的で、個人の取るべき行動を明確に示していて、よい。下記がこの標語の例。

これを呼び掛けるカナニ医師。こちらはBBC Newsの取材の映像だ。

 

さて、クロイドンの病院ではさらに、医療・介護従事者にもワクチン接種が行われた。下記は、対象者となった地域のケアホームで働くピレイさん(写真右の黄色い袋を持った人)がカナニ医師らと話をしているところ。

 "Pillay has been working ... since 2008" は《現在完了進行形》で「2008年以来ずっと、地元のケアホームで働いている」。

 第二文は、《tell + O1 + O2》の構造(SVOOの文型)で、O1が "our Medical Director of Primary Care @NikkiKF and @croydonhealth CEO Matthew Kershaw" と長たらしくなっているが、短くしてしまえば「ニキータとマシュー」だ。O2はthat節で、その中に《look forward to + 名詞》が入っている。この熟語は look forward to doing という形で覚えている人が多いと思うが、この形で覚えるのはなぜかというと、「forward toのtoがto不定詞のtoではなく前置詞なので、toの直後が動詞の原形でなく動名詞になる」ということを強く記憶するためであり、要はtoが前置詞だからそのあとが名詞になることもあるわけだ。

  I'm looking forward to seeing you. (to + 動名詞

  I'm looking forward to the concert.(to + 名詞) 

 

※今回も文字量が多い。ここまでで5100字。

 

サムネ用: 

f:id:nofrills:20201211121519j:plain

https://twitter.com/SolihullCouncil/status/1336615041022504962

 

参考書:  

英文法解説

英文法解説

 

 

 

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