Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

パレスチナ人に対し、イスラエル側からどのような言葉が投げつけられているか - 4(強調構文, 接続詞のonceなど)

↑↑↑ここ↑↑↑に表示されているハッシュタグ状の項目(カテゴリー名)をクリック/タップすると、その文法項目についての過去記事が一覧できます。

今回も、前回に引き続き、イスラエルの実効支配*1のもとに置かれている東エルサレムで、パレスチナ人がどんなことを経験させられているか*2ということについて、PAパレスチナ自治政府)だとかファタハだとかハマスだとかいった視点ではなく、一個人としてそれがどういうものであるかを自分自身で/自分自身の言葉(外国語、というか第二言語または第三言語だが)にして、直接世界に届けているモハメド・エル・カード(クルド)さんの連ツイを読んでいこう。

なお、前回見たビデオはイスラエルの過激派*3のデモの映像だから、普段はあんなふうなことはないんじゃないかと思った方もおられるだろう。もしそうだったのなら、エル・カードさんは、いま私たちが読んでいるような連ツイはしていない。

事態は「過激派のデモ」よりもっとひどい。それはたびたび当ブログで書いている通りで(イスラエル当局は、パレスチナ人がずっと住んできた家をブルドーザーで破壊し、パレスチナ人が手入れをして実りを得てきたオリーヴの畑を破壊している)、というか当ブログで扱えることなど、砂場の砂の一粒くらいなものなのだが、エル・カードさんのこの連ツイがあったすぐあとには、現地からこんな映像が人づてにフィードされてきている。

というわけで、今回の本題。これまでと同じように、精神的にショックを受ける内容だから、受験生など心の平安を保つことが当面最も重要という立場の方は、今はこのブログはここで閉じて、入試などが終わった後にゆっくり読みに来ていただきたい。

文頭の "Funny" の後の "-" (ハイフン)は、正式な出版物などでは "―" (ダッシュ)を使うところ。このような、ハイフンによるダッシュの代用は、ネットではときどき遭遇する。重要なのは、何が正しいとか何が間違っているとかではなく、「あ、これはダッシュの代用だな」と気づけるようにしておくこと。ではそのためにはどうしたらよいかというと、これはごめんなさい、私には「場数を踏め」としか言えない。場数を踏んでいれば、 "Funny-Zionist" というつながりを、ハイフンを使った複合語と解釈するのは変だ、と気づくはずである。まあ、このケースはたぶん、文法的にも説明がつくのだが、そこでこだわっているとまた書き終わらないから先に行く。

このあたりは、エル・カードさん自身の経験を踏まえて、かなり激しい言葉遣いになっているので、意味をとるだけ取って先に行こう。意味は、「可笑しなことがある――市民権運動の組織やニュースを批判的に検証している組織に化けているシオニスト工作員は、私が人種差別をしているといってはくだくだと文章を書いてきているのだが、何を根拠に、と思うだろう。(証拠とされるのは)知ればつらい思いをするが、現実に即した比較であったり、また別のところでは補足であったりもする」(これの最後の文は、正直、意味がはっきりとはわからない。翻訳の仕事だったら、できれば著者に確認するレベル)。

そしてこのツイートの最後の文: 

Though they hold the guns & the gavels, it is us, not them, that are put on trial.

前半は《接続詞》のthoughが導く従属節で、主節はそのあと。それが《it is ~ that ...》の《強調構文(分裂文)》になっている。

「彼らが銃を持ち、裁判官の木槌を持っているというのに、裁判にかけられるのは彼らではなく私たちなのだ」

……書きかけ。すみません

つまり、「裁かれるものも裁判所もあちらの側にあるというのに、なぜかこちらが裁かれる」というめちゃくちゃな状況に置かれている、という訴えである。

次。

このツイートは単語が少々難しいものがあるが、構造はシンプルだ。この "cannot be ~" は「~であるはずがない」ではなく「~であることはできない」。《not ... both A and B》は難しく考えず、そのまま解釈して「AとBの両方であることはできない」。AとBが互いに排除的である場合の構文だ。

単語を見ていこう。 "bow-headed" は私も見たことがない語で、普通の辞書には載っていないようだが(オンライン版のケンブリッジ辞書などで確認)、下記のような2通りの定義が見つかった。

bow-headed

Definitions from The Century Dictionary.

Having a bowed or bent head, as a right whale.

https://www.wordnik.com/words/bow-headed

Right whaleというのもわからないので調べてみるのだが、人体にあてはめると、おでこが丸く出っ張ったことをいうようだ。エル・カードさんは別に頭の形状を言っているわけではないから、この定義ではないだろう。というわけでもう一つのほうを見てみると: 

Bow-headed

When someone has the idea that they are always right and they wont try to understand the other pov in the situation.

He was so focused on his idea that he became bow-headed

https://www.urbandictionary.com/define.php?term=Bow-headed

「自分は常に正しいという考えを持っているので、別の人々の立場を理解しようともしない人のことをいう言葉」という内容だ。使い方が難しいUrban Dictionaryではあるが、これがこの場合の定義だろう。もっと丁寧にやるときはこの語義の裏付けをとるという作業を行うのだが、このブログではそこまでの時間をかけられないのでここまで。

ここで "a bow-headed stenographer" というフレーズを見てみるのだが、stenographerは「速記者」の意味で、速記者が自分の考えを頑として譲らないということはあまり意味をなさないから、ここは単に、「頭を前に傾けた」の意味だろう。

こうやっていろいろ調べた挙句、何でもない結論にたどり着くということもよくある。

次: 

これがこのスレッドの最後の投稿だ。

第1文は《treat A as B》に注目。このasは前置詞で「~として」。「報道機関は、このびっくりするような力の不均衡を、2国間の対等なものとして扱う」。

第2文は、「彼ら(報道機関)は『暴力の連鎖』と言う。あたかも、その暴力には根も理由もないかのように」。as if ~の節は仮定法と習っている人も多いだろうが、現在目にする英語の文では、実際にはこのように直説法が来ることが非常に多い。

第3文は、接続詞のonceの節を含む文、つまり「ひとたび~すれば、…する」が文の骨格で、そのonceの節に《while + -ing》が入っている形。"while omitting the action that led to it" のitはすぐ前の "a reaction" を受けている。この構造においては日本語ではこの関係は逆にした方が自然で、onceの節の内容を日本語で書くとすれば「反応につながった行為を捨象しておいて、それ(その反応)を問題視すれば」といった形が自然になるだろう。

この文の主節は「それはただの偏見(バイアス)や怯懦ではない。それは共犯だ」で、 "cowardice" と "it is complicity" の間のコンマは、Twitterの投稿ではなく正式な場で通用するように書くならセミコロンを用いていたであろうところ。

問題の根を無視しておいて、問題が発生したらぎゃあぎゃあと非難の声をあげるようなことをするのは、問題の解決にはまるでつながらない、ということをモハメドさんは述べているのである。

 

※大幅に文字数超過して約5000字。

 

f:id:nofrills:20220326215329p:plain

https://twitter.com/m7mdkurd/status/1492979161048174596

 

 

 

 

 

 

 

*1:「実効支配」というのは、国ではない勢力が事実上の政府としてふるまっているとか、国が領土でもないところを支配していることをいう。ここでは後者の意味で、東エルサレムイスラエルの領土ではないのにイスラエルが支配している。

*2:「経験している」という言葉で表せるような、能動的なものではない。

*3:パレスチナ過激派」は熟語化していて誰も何もひっかからないだろうが、「イスラエル過激派」はそうではないだろう。事実はいくらでも調べられるから調べていただくとして、そのためここでは「イスラエル」と「過激派」の間に「の」を入れて書くことにする。このことについて、読者が文を見たときに違和感をなるべく引き起こさないようにするための工夫という事実を超えたところで勝手に深読みをして解釈しないよう、くれぐれもお願いしたい。