Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

make + O  + 動詞の原形(使役動詞), 接続詞while, 同格の接続詞that, など(国際的圧力があって、ようやくのことでジャーナリスト殺害を認めたイスラエル)

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今回の実例は、前回の続きで、この5月にパレスチナでジャーナリストを銃撃したことについて、イスラエルが自軍の責任を認め、その責任を「痛感」しているらしい(が、責任を取る気はない)というトピックから。文脈や背景などについては前回のエントリを参照。

イスラエルの中では非常に数少ない存在である、パレスチナ人の人権のために活動する人権団体B'Tselem(ベッツエレム、またはベツェレム)の連ツイ。前回は最初のツイートだけを見た: 

今回は、まずその続きのツイートを見よう。スレッドの2つ目: 

3つ目: 

まず、2つ目のツイートから。やや長い文だが、ツイート全体で1文になっている。大きな構造としては、《接続詞》のwhileの前に区切りがある。

Enormous public and international pressure was needed to make Israel spurt a faint confession that one of its soldiers had killed journalist Shireen Abu Akleh, / while at the same time shaking off any responsibility for her death. 

このwhileについては前回のエントリで、米NBCのアイマン・モハルディーン記者のツイートで用いられている例で扱ったので、今回はそこは省略する。

whileに先行する部分、つまりwhileの導く副詞節に対する主節の部分だが、これの主語と述語がどれだか、一読して把握できただろうか。

これは次のような構造になっている。

Enormous public and international pressure was needed to make Israel spurt a faint confession that one of its soldiers had killed journalist Shireen Abu Akleh

述語は太字で示した "was needed" で、それに先行する "Enormous public and international pressure" が主語である。「広く一般から国際的な広がりをもつ、多大なるプレッシャーが必要とされた」という過去形の文だ。

そして、それに後続する "to make" (下線部)は《to不定詞》で、《目的》を表す《副詞的用法》だ。

このmakeが、朱字で示したように、《make + O  + 動詞の原形》の構造、つまり《使役動詞》の構造になっている。このmakeは強制性をともなうときに使う表現で、「Oに(強制的に)~させる」の意味。ほっといたらイスラエルは何もしなかっただろう、ということが含意されている。

青字で示した "that" は《同格》の接続詞で、それに先行する "confession" の内容を説明して「~という告白」の意味。"confession" についている形容詞の "faint" は「わずかな」がコアイメージで、文脈により「ほのかな(明かり)」「弱々しい(掛け声)」のように訳しわけることになるが、この場合はその意味を確定させることは翻訳の作業になり、当ブログの扱う範囲を超えるので、確定せずfaintという英単語のままで扱うことにする。意味は「その(イスラエルの)兵士たちのひとりがジャーナリストのシリーン・アブ・アクレさんを殺したのだというfaintな告白」。

つまり、ようやくイスラエルがやる気なさそうな感じで「はいはい、うちがやりましたよ」と認めたが、それを引き出すには、ものすごい量のプレッシャーが必要とされた、とベッツェレムは事実を過去形を使って述べている。

実際、そういうプレッシャーが起きないような人が、パレスチナには非常に多くいる。シリーン・アブ・アクレさんはキリスト教徒で米国籍を持っていたので、キリスト教の葬儀で送られ、その光景をニュースなどで見た西洋人たちが声を上げたのだが、パレスチナで本当に虫けらのように殺傷されている多くの人々はキリスト教徒ではないし米国籍も持っていないから、そういうふうに声が上がることはほとんどない。声を上げているのは、人権団体などのいつものメンバーだけである。その現実を、ベッツェレムのこのツイートの背後に読み取って暗澹たる気持ちになるのは、私だけではあるまい。

 

3番目のツイート: 

The killing of Abu Akleh is the predictable result of Israel’s outrageous open fire policy in the Occupied Territories. This policy claims more and more victims while the whitewash continues undisturbed.

単語がやや難し目なことを除けば、非常にすっきりとした読みやすい英文で、特に解説が必要そうなところはない。あえていえば "more and more" (形容詞)くらいか。ここでも接続詞のwhileが使われているから、この一連のスレッドを丁寧に読めば、この接続詞の性質というか意味合いがよくわかるだろう。

文意は「アブ・アクレさんの殺害は、非占領地域*1におけるイスラエルの、常軌を逸した発砲方針の、予期可能な結果である。ホワイトウォッシュが妨げられることなく続いている一方で、この方針は、ますます多くの犠牲者を出している」と直訳できる。

 

※3170字

 

https://twitter.com/btselem/status/1566794338666946562

 

 

*1:ざっくり言って「パレスチナ」のこと。See https://en.wikipedia.org/wiki/Israeli-occupied_territories for more info. 

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