このエントリは、2020年10月にアップしたものの再掲である。
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今回の実例は、Twitterから。
少し前に、ある話題についてのやり取りを見ているときに、日本語のネットスラングでいう「クソリプ」についての応酬を見かけたのでキャプチャをとっておいた。「リプ」は「リプライ reply」(返信)の略で、「クソリプ」は「くだらない返信」のこと。具体的には面識のない人にいきなりなれなれしく絡んで内容のないことを言ったりとか、本筋とは関係のないところに絡んできたりといったもののことを指す。
今回見る英語の実例は、何の話題についてのやり取りだったのかはここでは書かないが、「クソリプ」をめぐる英語表現という点では元の話題は何であってもかまわないだろう。実例はこちら(キャプチャ画像は、英語表現に関係のないところはマスクしてある)。流れとしては、最初の投稿をしたのはAさんで、Bさんはそれにリプライをつけた。AさんはそのBさんのリプライがいわゆる「クソリプ」だということで不快感・怒りを表明している。
キャプチャ画像内、Aさんの最初の投稿:
Well you would have been funnier if you hadn't pressed reply but here we are
少々くだけた、informalな書き方になっているので、その点を修正して(といってもコンマとピリオドを補うだけだが)読みやすくすると:
Well, you would have been funnier if you hadn't pressed reply, but here we are.
太字にした部分は、お手本のような《仮定法過去完了》である。press replyはここでは「リプライのボタンを押す」。下図のピンク色枠内のボタンのことだ。リプライ(返信)の本文を書いてこれを押すことで投稿する。
というわけで、"you would have been funnier if you hadn't pressed reply" は「あなたがリプライのボタンを押していなかったら、あなたはもっとおもしろかっただろう」という意味(直訳)。つまり「なんでそんな特に面白くもないことをいちいちリプで言ってくるのか、意味わかんないんですけど」という気持ちの表明である。
Aさんのこの返信は、キャプチャ画像の外にあるのだがBさんの "This would have been funnier if ..." という投稿につけられており、AさんはBさんの発言を踏まえて、まぜっかえすかのように反応しているのだが、これは英語では「喧嘩を買う」ときのスタイルである。
Aさんの投稿の最後にある "but here we are" は、堅苦しく言えば「われわれの現状はこうである」だが、要するに「こうなっちゃった」ということで、この場合、気持ちとしては「どうしてこういうことになってるんすかね」という感じだろう。
これに対するBさんの返信は:
Needlessly hostile but k
"Needlessly" は「不必要に」、つまり「そこまでしなくてよいというくらいに」。"hostile" は「敵意のある」。最後の "but k" の "k" は "ok", "okay" の省略表現で、PCを使ったチャットや、スマホ以前の携帯電話でのテキストメッセージでもよく用いられていた。オンラインゲームなどでもよく見られるはずだ。
というわけで、Bさんのリプライは、まとめると「なんでそこまでけんか腰なんですかね、まあ、いいですけど」という内容。
これにさらにAさんが怒って:
Needess reply
と返している。「不要なリプライ」つまり「クソリプ」だ。「クソリプつけんな」ということである。
英語でTwitterを見ていると実にいろいろな「ことばの実例」を見かけるものである。
※今回は短い。1750字くらい。
参考書: