Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【再掲】不定冠詞の少し変わった用法, 繰り返しを避ける代名詞のthat (ドナルド・トランプ大統領最後の日に)

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このエントリは、2021年1月にアップしたものの再掲である。

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今回は英文法の実例の話に戻る。ジョー・バイデン新大統領就任の日だから。

フロリダ州パークランドの高校で、2018年のバレンタインデーに起きた銃撃事件をご記憶だろうか。富裕層の多いエリアにあるマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校というその高校を襲ったのは、19歳の元同校生徒だった。生徒・教職員合わせて17人が殺害され、17人が負傷した。銃撃を行った元生徒は、いろいろと問題があり、事件の前年に放校処分となっていたのだが、犯行に用いたアソルトライフルは合法的に入手していた。事件後に警察が明らかにしたところによると、容疑者はネットで拳銃やショットガン、ナイフなど武器を見せびらかし、黒人やイスラム教徒への反感をあからさまにしており、警察と「アンティファ」への敵意を示し、1960年代に起きた大学での銃撃事件を再現してやると息巻いていた。同じ学校の生徒からは、ナチズムに傾倒していたことを示す証言もなされている。この容疑者は起訴され、2020年1月から裁判が開始される予定だったが、弁護団が延期を申請したため、6月に繰り延べられ、さらにそこに新型コロナウイルス禍が到来したため延期されて、現在に至る。裁判がいつ始まるのかはまだわからない。

この事件で攻撃された高校の生徒たちの中から、銃規制を求める組織的な運動が起こった。その運動のコア・メンバーの1人が、銃撃が行われている最中に自分の携帯電話で周囲の様子を撮影し、生徒たちに話を聞いて記録していたデイヴィッド・ホッグさんだ。私が最初に彼のことを知ったのは、事件直後の英BBC記事によってだった。

www.bbc.com

このように、非常に目立つ存在となり、銃規制を訴えるようになった彼は、銃規制反対の活動家や、銃乱射事件とみれば「銃規制派の陰謀」だの「実は誰も死んでいない。全部役者のお芝居」だのと言いがかりをつけてはわめきたてる極右陰謀論者の標的となった。それでも彼は黙らなかったし、Twitterでの発言も続けている。

ドナルド・トランプ大統領の任期が終わり、ジョー・バイデンが就任する1月20日を前に、彼は次のようにツイートしている。

タイムスタンプは、日本時間では20日の07時52分だが、これを米東海岸の時間に変換すると(via 時差計算)19日の17時52分である。多くの人にとって、「明日の今頃は、トランプはもう大統領ではなくなるんだ」という感慨が押し寄せてきているであろう時間帯だ。

そういうときに、この若き活動家は "What a long 4 years." という5語をツイートした。「なんと長い4年間だったことか」。

……と、ここで、なぜこんなにシンプルで短い文を取り上げているのか、お気づきになっただろうか。

"4 years" という複数形に、本来は単数にしかつかないはずの不定冠詞の "a" がついている。

これは、「4年」をひとつの区切り、ひとつの単位として、ひとまとまりに扱っているために生じる現象である。

米国の大統領の任期は4年なので、大統領の任期1回分の「4年」がひとつの単位と扱われているわけだ。

ホッグさんのこの発言についているリプライでも、「4年」をひとつの単位と扱っている例がある。

 "a VERY long 4 years" と、veryを強調するために全部大文字にして書いている。「そうですね……とてもとても長い4年間でした」。

このツイートの第2文: 

But your help, and that of those like you, has contributed to saving our democracy.

太字にした "that" は同じ名詞の繰り返しを避けるための《代名詞》。よくある形では、下記のように "~ of ..." が2度繰り返されるのだが: 

  The polulation of Tokyo is larger than that of Osaka

この例では、最初に出てくるほうが《所有格》を使った形になっている。つまり、下記のような形だ。

  Tokyo's population is larger than that of Osaka

少し変則的なように思えるかもしれないが、ときどき見る形なので、押さえておいてほしい。

 

f:id:nofrills:20210120094545p:plain

https://twitter.com/davidhogg111/status/1351663403362873347

※2030字

 

参考書:  

英文法解説

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