Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

if節の省略された仮定法, should, 《近未来》を表す現在進行形(米国とカナダによる自国民の引き上げ)

今回の実例は複数のソースから。

新型コロナウイルスと、豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」のことは、改めてここで説明を書くまでもないだろうが、文脈を示すために初期報道(2020年2月4日付、共同通信)を貼っておく。

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客だった香港の男性(80)が、下船後の香港で新型コロナウイルスに感染したと確認された問題で、厚生労働省は4日、横浜・大黒ふ頭沖に3日夜に停泊した船内で、乗客乗員約3700人を対象とした大規模な検疫作業を続けた。検査結果が判明し、全員の検疫が終わるのは4日午後以降の見込み。それまで全員が船内待機する。

……

厚労省は船が途中寄港した那覇で検疫を終えていたが、那覇の検疫を取り消し、改めて実施する異例の対応を取った。船は着岸していない。

……

クルーズ船は4日夕に横浜を出港する予定だったが、5日以降に延期した。運営会社「カーニバル・ジャパン」(東京)によると、1月20日に横浜を出発後、同22日に鹿児島に寄港し、同25日に香港に到着。その後、ベトナムや台湾を巡り、2月1日に那覇に寄り、横浜に着いた。感染が確認された男性は横浜から乗船し香港で下りていた。

横浜のクルーズ船、検疫続く 乗客ら3700人船内待機 (写真=共同) :日本経済新聞

 

その後、どうなったかというと……これはいくつかツイートを貼っておく。

 

 

 

 

こういうことが起きている中で、15日には米国政府が乗船している自国民を引き上げることをアナウンス、要するに日本に任せておいたら、この船では今感染していない人も感染してしまうと懸念しているわけだ。

 

 というわけで、今回、最初の実例はこの米国大使館のメールから: 

https://japan2.usembassy.gov/pdfs/alert-20200215-diamond-princess.pdf

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接続詞のas, 動詞のend, 同格とコンマ, 仮定法過去, 時制の一致の例外(ウェールズで初の独立要求デモ)【再掲】

このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲である。重要事項がてんこ盛りになっているので、ひとつひとつ確認していくつもりで読んでいただければと思う。

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今回の実例も、前回と同じ、ウェールズで初めて行われた独立要求デモについての報道記事から。

 

背景的な話は前回のを見ていただくとして、記事はこちら: 

www.theguardian.com

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some ~, others ...の構文(ウェールズで初の独立要求デモ)【再掲】

このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲である。英語の構造を作るうえでの基本形のひとつの具体例として見ておくとよいだろう。

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今回の実例は、ウェールズで初めて行われた独立要求デモについての報道記事から。

ウェールズブリテン島の南西部にあり、13世紀以降隣国イングランドの支配を受け、16世紀には(客観的に見ればかなり曖昧という印象を受けるようなやり方で)イングランドと合同した。

元々の言語であるウェールズ語イングランド支配下で弾圧され、使用や教育を禁止され、強制されたイングランドの言語、すなわち英語がウェールズの日常の言語になっているが、20世紀以降の言語保存運動によって、近年はウェールズ語話者もウェールズ語が用いられる機会も増えている。ウェールズでは公用語ウェールズ語と英語と定められているため、道路標識などはこの2言語が併記されている。

その標識をめぐって、10年ほど前にとんでもないことが生じたことが世界的に話題になったことがある。今でもBBCのサイトで普通に記事が読めるので、よければ読んでみていただきたい。めちゃくちゃ笑えるので。

news.bbc.co.uk

 

さて、そのような歴史的背景を持つウェールズでは、常に「イングランドからの独立」を目指すナショナリズム(こういうnationalismを「国家主義」とか「国粋主義」と訳すのは間違いである)の流れがあったが、それは「大きなうねり」と呼べるようなものでは必ずしもなかった。かつて、アイルランドナショナリスト武装集団IRA(その当時は、のちの北アイルランド紛争の時代に比べるとIRAはメンバーも支持者も少ない弱小集団だった)が武装活動をやめようかという話になったときに、持っていた武器弾薬をウェールズのナショナリスト武装集団に譲り渡した、などという説がもっともらしく囁かれていたが(私も英語で書かれた本でそう読んだ)、仮にその武器の譲渡が事実であり、それなりに強力な闘争になる可能性があったのだとしても、最終的には、ウェールズの武力闘争はさほどの規模にはならなかったようだ。

武装集団とは別に、政党としては、ナショナリスト政党Plaid Cymru(ウェールズ語の名称で、「プライド・カムリ」と読む)が1925年に結党されている。ただし、この党が初めて英国会に議席を獲得したのはずっと後、1966年のことだった……などという背景解説を書いていると、いつまでたっても書き終わりそうにないので、そろそろ先に行こう。

というところで今回の記事はこちら: 

www.theguardian.com

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if節のない仮定法 (without ~), 挿入, 否定, thank ~ for ..., パンクチュエーション(セミコロン)(ジュリアン・スミスNI大臣の解任)

今回の実例はTwitterから。

起きたことがショックすぎて文脈とか説明できる状態ではないので、今回はサクッと。

何が起きたかというとこういうこと。つまり、英国政府の北アイルランド担当大臣が、2月13日のジョンソン内閣改造でクビになった: 

 

実例として見るのはこちらのツイート: 

 ツイート主のサイモン・コヴニー氏はアイルランド共和国外務大臣、つまり英国との交渉を行う担当者で、今回クビになった英国のジュリアン・スミス北アイルランド担当大臣とともに、3年間も機能停止していた北アイルランド自治議会の再起動に尽力し、それを実現させたのだが、彼自身、先週末の選挙の結果、外務大臣のポストを失うことは確定的だと思われている(ただし、先週末の選挙の結果は非常に複雑なもので、新政権の組閣は、すぐには始まっていないのだが)。つまり、ほんの1か月前に北アイルランド自治議会を再起動させた英国・アイルランド共和国両国政府の代表者が、そろって表舞台を去るわけだ。かもしれないということになった。(←記述修正。わけのわからないことに、アイルランドのFGが政権を去るかどうかがわからなくなってきてるのでここを修正し、少し上のところは「確定的だと思われている」と加筆しました。)

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リスニング(聞き取り)の練習素材, 定型表現, would like to do ~, thank ~ for ..., 省略, make + O + C, 仮定法, without ~(カズ・ヒロさんのアカデミー賞受賞スピーチ)

今回も、先日のエントリに引き続き、音声を素材に聞き取りをして文法を見てみよう。というか、「聞き取るためには文法と語彙力が必要」ということの意味を確認してみよう。

すごく簡単に説明すると、誰かが口頭で発する「もにゃもにゃもにゃもにゃ」という音の連なりを、「〇〇ポイントカードはお持ちですか?」と認識するためには、「ポイントカード」、「お持ち」、「ですか?」が《ことば》であるということを、聞き手の側があらかじめ知っておく必要がある。

特に「お持ち」、「ですか?」は重要だ。この例では、「お持ちですか?」が聞き取れないとコミュニケーションが全然取れない。別の言い方をすれば、「お持ち」は「持つ」という動詞の別の形であることを知っていないと「お餅」だと思ってしまうかもしれないし、「お持ちですか?」を「おも」+「ち」+「で」+「すか?」と認識して「主地でスカ?」とか「重血で須加?」と解釈してしまうかもしれない*1

「ポイントカード」がどういうものかを知っていれば、「〇〇ポイントカード」という固有名詞は知らなくてもコミュニケーションは成立するが(「〇〇ポイントカード」という固有名詞を知らない人は、おそらくそのポイントカードは持っていないだろうから、「何ポイントカードだかは知らないけど」と言語化されるまでもないことを頭の中に思い浮かべて「持ってません」と答えるはずである)、「ポイントカード」を知らない場合や「ポイントカード」という単語を認識できない場合は、「何を持っているかですって?」ということになってしまう。

また、「〇〇ポイントカードは」の「は」は助詞で、これは実際には聞き取れないくらい小さく、弱く発音されていることが多いが、私たちは頭の中でそれを補って聞き取っている。聞き取っているわけではなく、推測して解釈しているのだ。

この推測の根拠となっているのが文法とか構文の知識で、これが補えるということは、この言語(日本語)が使える、この言語に慣れているということだが、そうでない人がここは何なのか、「に」なのか「が」なのか「の」なのかといったことで頭を悩ませてしまうかもしれない。

あるいは「〇〇ポイントカード、お持ちですか」と、助詞を一切発音しないことすらあるが、それを私たちは "Do you have 〇〇 pointcard?" という意味であると解釈するのであって、"〇〇 pointcard has?" などとは解釈しない。

というわけで、単に音だけ聞かされても、人はそれを《ことば》として聞き取ることはできない。《ことば》として聞き取るためには、単語を知っていなければならないし、文法・構文の知識が必要だ。

 

それを前提として、下記の音声を聞いてみよう。話者は日本生まれの日本育ちでネイティヴ日本語話者のカズ・ヒロさん(2019年に米国籍を取得。日本の法制度では二重国籍が認められておらず、よその国の国籍を取得すると日本国籍を放棄しなければならないので、国籍としては「元日本人」)。2月10日の米アカデミー賞でメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞したときのスピーチだ。

全部で1分28秒あるが、最後の数秒はクレジット表示で本体は1分20秒くらい。最初の24秒は受賞者発表と登壇シーンなので、耳は休ませてぼけーっと見ていてよい。そのあと、カズ・ヒロさんがスピーチを始めるので、まずはこの人の発音に耳を慣らすつもりで聞いてみよう。「ネイティヴ日本語話者による、世界の舞台での通じる英語」のお手本としてはこれ以上望みようのない音声素材である。つまり、重要な部分さえ押さえていれば、「ネイティブみたいな発音*2」である必要はない。

受賞スピーチだから「だれそれに感謝します」と述べる部分が多く、人名がやたらとたくさん出てくるが、そこは聞き飛ばしてしまってよい(聞き飛ばしてよい箇所を判断できるかどうかも聞き取りの力のカギになる)。その上で、このスピーチを聞き取れるかどうかは、まずはこういうときの定型表現を知っているかどうか、あるいはその定型表現そのものを知らなくてもその表現に使われる単語を知っているかどうかになる。

そして終盤、カズ・ヒロさんのスピーチが定型表現を離れて受賞作で主演とプロデューサーをつとめたシャーリーズ・セロンに感謝と賞賛の気持ちを伝えるところでは、より一般的な表現が使われており、「定型文の聞き取り」ではなく一般的な文の聞き取りとなる。

スピーチの全文文字起こしは見つけられていないが、終盤の文字起こしが下記記事に含まれているので、 正しく聞き取れているかどうか確認したい場合などはそちらをご参照のほど。

edition.cnn.com

www.dailymail.co.uk

*1:実際、パソコンやワードプロセッサーでの日本語入力の漢字変換の仕組みは、こういうのをいかに克服するかという課題と常に向き合ってきた。

*2:日本における「ネイティブみたいな発音」は多くの場合、アメリカの巻き舌の強いベタベタしたアクセント(しゃべり方)を大げさに表現したものである。ああいう英語を使っている「ネイティブ(・スピーカー)」は全体の一部に過ぎない。あの発音が性に合っている学習者はあの発音をお手本にすればよいが、無理と感じたら無理に追求する必要はない。アクセントのお手本はほかにもあるので。

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floorが「床」ではなく「地面」を意味することがある(チームの勝利に感涙を禁じ得ない監督)【再掲】

このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲である。「文字通りの訳」が必ずしもいつも正確に文意を表せるわけではないという事例のひとつだ。

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今回の実例は、文法というより単語の話。

日本語圏では英語に関する解説は「学校で習わない」と打ち出すとウケがよくなるので本稿もそういうウケ狙いと思われるかもしれないが、実際にこれは学校では習わないのではないかと思う。だが卑語や下ネタではないし、俗語ですらない。

出典はTwitterから: 

 

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倒置, not only A but B, keep + O + -ing, 【ボキャビル】tangible(米アカデミー賞で韓国映画が最優秀作品賞他4冠)

今回の実例は、Twitterから。

2月10日の第92回米アカデミー賞は、韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が、最優秀オリジナル脚本賞、最優秀国際長編映画*1、最優秀監督賞、そして最優秀作品賞まで獲得するという、驚きの展開となった。この映画、アメリカのスタッフも資本も入っていない、アメリカから見れば完全な「外国」映画である。

これまでも「外国語映画賞」部門はあり、そこでイタリアのフェデリコ・フェリーニとか、スウェーデンイングマール・ベルイマンとか、日本の黒澤明とか、スペインのペドロ・アルモドバルとか、イランのアスガル・ファルハーディーといった映画作家たちを高く評価してはきたが、基本的に米アカデミー賞アメリカの、アメリカ国内向けの映画賞である。「外国語とか何とかという条件をつけず、単に、映画として素晴らしいもの」に与えられる「作品賞」はアメリカの映画がとるのがお約束だ。ときどきイギリスの映画がとることがあるが、いずれにせよ英語の作品である。

昨年(第91回)、メキシコが舞台でスペイン語の映画であるアルフォンソ・キュアロン監督『ROMA/ローマ』が「外国語映画賞」(今年からは「国際長編映画」)と「作品賞」に同時にノミネートされ、この作品が劇場公開という形よりむしろNetflix配信で一般の人々に届けられたこともあいまって、「異例の作品が、最優秀作品賞獲得なるかどうか」という話題になったが、最終的には最優秀作品賞をとったのは、普通にアメリカ映画の『グリーンブック』だった。(『ROMA』は最優秀外国語映画賞はとった。)

むしろ昨年は、『グリーンブック』が最優秀作品と位置付けられ、スパイク・リー監督の『ブラック・クランズマン』が受賞しなかったことで「アメリカにおける黒人の歴史をいかに語ったものがいかに評価されるのか」という問題を前景化させたことが、少なくとも英語圏では大きな話題となり、「スペイン語の映画が作品賞にノミネートはされたが受賞はしなかった」ということは、「Netflix配信の映画が作品賞にノミネートはされたが受賞はしなかった」ということほどにも注目されなかった。

そういうのがあって、「米アカデミー賞ってのはそういうものでしょう」とみなが思っていたところに、韓国を舞台にした韓国語の映画『パラサイト』が、「外国語のすばらしい映画」としても、「単に映画としてすばらしい映画」としても評価されたのだから、人々の驚きはひとしおではない。しかも、この韓国語の作品、脚本賞もとっている。オスカー像4体お持ち帰り!

というわけでTwitterで実況を追っていたが私もびっくりしたし、私の視界に入ってくる反応もみな「これは驚いた!」「すごい!」というものばかりだった。

やや時間をおいて、アカデミーの公式アカウントから受賞スピーチのクリップが配信されてきたが、会場も「すごい!」のムードに包まれている様子だ。 

 2分40秒あたりで舞台の照明が落とされてしまうという一幕があるが、最前列に座ったトム・ハンクスシャーリーズ・セロンといった映画スターたちが「照明つけてつけてつけて」と騒いでいる様子は、早くもGIF化されている。

 

というような状態で、要するにみんな「うわー、すごい」と口々に言っているような状態だが、そういったツイートのひとつが今回の実例。こちら: 

ツイート主のザック・シャーフさんは、アメリカの映画・TV評論&ニュースメディアのIndiewireのニュース・エディター*2

*1:前回まで「外国語映画 Foreign Language Film」と位置付けられていたものが、2020年2月の第92回から、「国際長編映画 International Feature Film」となった。

*2:「映画専門誌の編集者」のような仕事。

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リスニング(聞き取り)の練習素材, thatの判別(ホアキン・フェニックスの英アカデミー賞でのスピーチ)

今回の実例は、スピーチから。

今日2月10日は米国の西海岸、ロサンジェルス「アカデミー賞」の授賞式が行われていて世界的な注目を集めているが、あれは実は米国の「映画芸術科学アカデミー」が選ぶ米国のローカルな賞で、国際的な賞ではなく、正確を期すならば「米国のアカデミー賞」と呼ぶべきだろう。実際、「アカデミー賞」は世界各国にある。「日本アカデミー賞」もあるし「英国アカデミー賞」もある。今回の実例はその「英国アカデミー賞」でなされたスピーチから。

「英国アカデミー賞」は、「英国映画テレビ芸術アカデミー (British Academy of Film and Television Arts, BAFTA)」が選ぶ英国のローカルな映画賞で、「BAFTA賞 (BAFTA Awards)」と呼ばれている。毎年、米アカデミー賞の少し前に授賞式が行われるが、今年は2月3日にロンドンで授賞式が行われた。ノミネートされた作品や監督・俳優、および受賞した作品や監督・俳優については、下記ウィキペディアにまとまっているので、そちらをご覧いただきたい。

en.wikipedia.org

 

ここで大きな注目を集めたのが、最優秀主演男優賞を獲得したホアキン・フェニックス(『ジョーカー』)のスピーチだった。その内容は、ネット上の日本語圏でも広く伝えられた。

 

今回はこのスピーチを見てみよう。まずはBAFTAのアカウントがアップしている映像から。

英語として特に聞き取りづらさはないスピーチだが、ネイティヴ英語話者がスピーチとしてナチュラルに話す程度のスピードはあるので、センター試験のリスニング程度のスピードのものしか聞き取れないとちょっと厳しいかもしれない(聞き取れなくてもあまりヘコまないでほしいと思う)。また、言葉(テクスト)としてはあまりきれいに整理されきっていない、生々しい発話のスタイルなので、聞いただけで意味を把握するのはちょっと難しいと感じる人もいるかもしれない。

聞き取りができてもできなくても、このスピーチは下記記事で文字に起こしてあるので、それを見ながら答え合わせをするなり聞き取りの練習をするなりするとよい。

www.bbc.com

記事の途中に "Joaquin Phoenix's Bafta speech in full" というコーナーがあるので、そこを参照。

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前置詞+関係代名詞、現在分詞の後置修飾、助動詞のcan、those who ~(反ワクチン運動の広まり)【再掲】

このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲である。《前置詞+関係代名詞》は2020年1月に実施されたセンター試験・英語の第2問で出題されていた。他の項目もほとんど、設問にこそなってはいなかったかもしれないが、本文に出てきているような項目である。

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今回の実例、前々回および前回と同じ記事から。記事の内容に関する解説など前置き的なものは前々回のエントリをご参照のほど。

参照する記事はこちら: 

www.theguardian.com

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look to ~ for …(群動詞2つの合わせ技), A as well as B, no longer ~(反ワクチン運動の広まり)【再掲】

このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲である。これもまた、「受験英語」として習うことが実際の英語の読解においてどのくらい重要であるかを示す好例である。

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今回の実例は、前回と同じ記事から。記事の内容に関する解説など前置き的なものは前回のエントリをご参照のほど。

参照する記事はこちら: 

www.theguardian.com

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分詞構文, 同格, prompt + O + to do ~, 助動詞+受動態, be able to do ~, of + 抽象名詞(首相官邸とメディアと報道の自由)

今回の実例も、前々回および前回見たのと同じ、英国の首相官邸がおこなう記者会見に「出席できる記者」を選別しようとし、排除された記者たちとともに全記者が会見をボイコットした、ということを報じる記事から。

記事はこちら: 

www.theguardian.com

こういう「記者選別」(首相官邸の側が、報道が自分たちに都合のよいことを書くように環境を作っている)は、正直日本のうちらには特に新しいこととは見えないのだが、民主主義の前提を破壊するものとみなされている。そういう「民主主義の前提」は、正直、もはや顧みられることもなくなりかけているのだが(もしそれが重要視されていたら、最初から嘘と不正と不法行為にまみれていたBrexitはどこかでストップされていただろう)、報道に携わる人々の間ではまだ完全に「こんなもんじゃね」みたいなムードにはなっていない。だからこういう記事が出ているのだが、こういうことを伝えるときに引き合いに出されているのが「ドナルド・トランプ流」みたいな概念である。

報道機関を敵視し、自分に都合の悪いことを報じられるとfalseやunfoundedといった言葉ではなくfakeという小学生じみた言葉を使って「フェイクニュースだ」と連呼するトランプは、CNNやニューヨークタイムズを敵視し、Fox Newsや右派新興メディアを優遇してきた。この「トランプ流」のやり口については、例えば2018年11月のForbes Japanのコラム(水本達也さんによる)に詳しい。

forbesjapan.com

2016年大統領選の民主党の指名争いでヒラリー・クリントン国務長官に敗れたサンダース上院議員は、アコスタ氏のような大手メディアの記者を「メディア・エスタブリッシュメント(支配階級)」と呼んで、批判の対象とした。

そして、彼らの立場を一変させたのが、トランプ政権の発足だった。スパイサー大統領報道官(当時)は、これまで記者会見を事実上独占してきた大手メディアの記者たちを一切無視し、あまり知られていない新聞や雑誌の記者を指すようになった。また、ネットを通じて、ホワイトハウスには縁のない地方紙の記者から質問を受けることもあった。

筆者も当初、トランプ政権の前代未聞のやり方に、ある種の小気味よさを感じたことは否定しない。なぜなら、花形記者とその他大勢の記者たちの「格差」が、今後は縮まるかもしれないという錯覚を覚えたからだ。

しかし、しばらくして、新たに「参入」してきた記者たちが、大手メディアの記者がこれまで繰り広げてきたような政権や大統領の説明責任を追及するやり取りに消極的なことが分かってきた。権力から嫌われれば、再び質問ができなくなるからだ。

トランプ氏が執拗にCNNなどを「国民の敵」として仕立て上げるのは、自らに批判的なメディアをたたくだけではなく、大手メディアとそれ以外のメディアの間にくさびを打ち込む狙いもあった。

 

英国でもボリス・ジョンソン首相と側近のドミニク・カミングスらのもとで同様の「くさびを打ち込む」という分断が行われようとしているというのが、今回の「記者選別」という行為に対する評価で、それに対してその場にいた記者たちは「分断を拒む」という意思表示として全員が会見をボイコットしたのである。

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there is/are ~の現在完了形, 関係代名詞の非制限用法, 動名詞の意味上の主語, 分詞構文(首相官邸とメディア)

今回の実例は、前回見たのと同じ記事から。背景解説等は前回のエントリをご参照いただきたい。

記事はこちら: 

www.theguardian.com

 

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接続詞, 代名詞, tell + O + to do ~, allow + O + to do ~(首相官邸とメディア)

今回の実例はメディアに対する首相官邸の扱いをめぐる報道記事から。

2019年夏に英国の首相となったボリス・ジョンソンという人は、一言で言えば「そこそこいい家の子」で、イートン校からオクスフォード大学に進んだという経歴の持ち主だ。1970年代のことで、「そこそこいい家の子」くらいではイートン校ではあまりよい立場にはいられないものだったが、処世術には長けていたようで、学業はダメでも同窓生からの人気は高いという学生だったようだ。

大学でも「愉快な奴」として目立ってはいたようだが学業は全然振るわなかった。1987年に不満足な成績で卒業して、その後はコンサル会社に就職したが1週間で辞め、その後は家族(知識人階級)のコネで一流新聞のザ・タイムズに研修生として入社したが、最初に書いた記事で捏造をやらかしてクビになった。続いて、大学時代の自身の人脈で、同じく一流新聞のデイリー・テレグラフに入った。これにより、ジョンソンは「元々はジャーナリスト」と描写されるが、「ジャーナリスト」といっても現場で取材することが必須ではない、論説記事執筆担当の記者で、いかに読者を引きつける文章が書けるかどうかが勝負の仕事だ。

それはそれで貴重なスキルだし(実際、ジョンソンの書いた文章はおもしろい)、ジョンソンがその道を極めていってくれていたら今頃英国はこんなことになっていないかもしれないのだが、どういうわけか、ジョンソンは大学時代に政治に足を突っ込んでいた。新聞で仕事をし、テレビにも出て顔も名前も売れに売れていたジョンソンは、2000年代に政治家としてぐんぐん目立つようになって、ついには首相にまでなったわけだ。彼の経歴について詳細はウィキペディア参照

https://en.wikipedia.org/wiki/Boris_Johnson

 

さて、そういう経歴の人物だから、メディアの中がどうなっているかはよく知っている。2019年12月の総選挙前に、厳しい質問を次々と浴びせかけることで有名なBBCの「各党党首インタビュー」を拒否したのも、ただの気まぐれではなかっただろう。

日本でもしばしば話題になるが、メディアにとって「取材させてもらえないこと」は何としても避けねばならないことという前提がある。ドミニク・カミングスというかなりとんでもない人物を側近としているジョンソンは、英国の大手メディアに対してそのカードをちらつかせ、時にはそれを切っている。

1月31日にEUからの離脱が正式なものとなって、ジョンソンのその態度がさらに1段階強められた。2月3日、首相官邸での記者会見(ブリーフィング)で、官邸側は、デイリー・ミラー、アイ、ハフィントン・ポスト、ポリティクス・ホーム、インディペンデントの記者を締め出そうとした。これに応じて、政権寄りの報道で批判されている超大物を含む他のメディアの記者たちもこの会見への出席を拒否し、「官邸側が取材する記者を選ぶ」という異常事態は英国では大きく報じられた。

 

というわけで、今回はこの件を報じたガーディアンの記事から。記事は下記: 

www.theguardian.com

 

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《程度》を表すby, 分数の表現(「~の3分の1」), as a result, 最上級+ever, 関係代名詞, 接続詞while, 形式主語など(民主主義の後退についての学術的な文)

今回もまた、前々回および前回の続きで、学術的な報告書の記述から、大学入試で課される自由英作文に使えそうな表現を拾っていこう。

出典は前回までと同じ(下記のPDF): https://www.bennettinstitute.cam.ac.uk/media/uploads/files/DemocracyReport2020.pdf

見るページも前回と同じ。

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やや長い文, 関係代名詞, 付帯状況のwith, 【ボキャビル】動詞のmark, so-called, satisfaction with ~(民主主義の後退についての学術的な文)

今回の実例は、前回(先週末)見たのと同じ学術的な報告書から。

出典は同じで下記のPDF: 

https://www.bennettinstitute.cam.ac.uk/media/uploads/files/DemocracyReport2020.pdf

見るページも前回と同じ。

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