今回の実例は、文法というより表現の分野から。
「与えられたグラフや表が示していることを、英語で説明しなさい」という自由英作文問題は、国公立二次、私立ともに大学入試でも頻出だが、このとき、頭に浮かんだ日本語の表現をそのまま直訳してもうまく行かないことが多い。
「…は、全体の~パーセントを占める」の表現はそのひとつで、"... occupies ~ percent of all" など、ぎこちなくて意味が通っていない直訳の解答がありがちだ*1。
今日参照する記事は、英国の大学に籍を置く研究者の中で、黒人で女性であるという二重のマイノリティの立場にある人々に聞き取り調査をした結果をまとめた報告書に関する報道記事である。
キャプチャ画像の一番上の文から:
Black women make up just 0.1% of active professors in the UK compared with the 68% who are white men
「~パーセントを占める」の表し方
Black women make up just 0.1% of active professors in the UK
冒頭で述べた「…は、全体の~パーセントを占める」は、 "... make(s) up ~%" というシンプルな形で表すことができる。make upのほか、account forも使える。
Do Asian people really make up 60 percent of the world's population?*2
(アジア人は本当に、世界の人口の60パーセントを占めているのか)
Renewables Will Make Up 50 Percent of the World's Energy by 2050*3
(2015年までに、再生可能エネルギーが全世界のエネルギーの50パーセントを占めるようになる見込み)
These groups accounted for 47 percent of worker deaths in 2017.*4
(これらの集団が、2017年における職場での死亡事例の47パーセントを占めていた)
発展的に……
なお、上の例文はGoogleでフレーズ検索をして見つけたものである。
上の2文の検索ワード: "make up" percent
3番目の検索ワード: "accounted for" percent
この3番目の英文の出典とした米国政府の報告書に、本稿冒頭で述べたような「グラフが示していることを英語で説明しなさい」という自由英作文問題で使いまわしが利く表現がいろいろ入っている。全体では9ページあるが、重要なのは最初の3ページで、全体をざっと見て英作文で使えそうな表現を拾ってノートに書き出すなどしておくと、あとあと役立つだろう。
例えば1ページ目の下記の文からは:
There were a total of 5,147 fatal work injuries recorded in the United States in 2017, down slightly from the 5,190 fatal injuries reported in 2016
「○○年の総件数は~であった」や、「前年に比べ微減であった」といった表現が拾える。
【参考書】
英作文対策ではZ会の『英作文のトレーニング』が秀逸。ほか、桐原書店などから優れた参考書が出ているので、大学に入ったあと「アカデミック・ライティング」のスタイルで英語で書くことが要求される人は、こういった参考書を使って入試対策しつつ、基礎固めをしておくとよいだろう。
Z会の『英作文のトレーニング』は、「必修編」は基礎の基礎と言えるレベル(教科書の章末にある練習問題のような感じ……といっても教科書ではがっつりした英作文は扱われていないものもあるかもしれない)。国公立2次や私大入試対策として使えるのは、「パラグラフ・ライティング」の基本が学べる「自由英作文編」だが、これは短文の英作文に難がある人がやっても無駄(効果がない)ので、まずは基礎から固めてほしい。
*1:occupyは物理的に「空間を占領する」という意味。
*2:英文出典:
Do Asian people really make up 60 percent of the worlds population? - Quora
*3:英文出典:
Renewables Will Make Up 50 Percent of the World's Energy by 2050
*4:英文出典: