Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

《程度》を表すby, 分数の表現(「~の3分の1」), as a result, 最上級+ever, 関係代名詞, 接続詞while, 形式主語など(民主主義の後退についての学術的な文)【再掲】

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このエントリは、2020年2月にアップしたものの再掲である。

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今回もまた、前々回および前回の続きで、学術的な報告書の記述から、大学入試で課される自由英作文に使えそうな表現を拾っていこう。

出典は前回までと同じ(下記のPDF): https://www.bennettinstitute.cam.ac.uk/media/uploads/files/DemocracyReport2020.pdf

見るページも前回と同じ。

 

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https://www.bennettinstitute.cam.ac.uk/media/uploads/files/DemocracyReport2020.pdf

第4パラグラフの2番目の文:  

In the United States, levels of dissatisfaction with democracy have risen by over a third of the population in one generation.

太字にした "by" は、前々回も出てきた《程度》のbyだ。説明は前々回のエントリをご参照いただきたい。

下線で示した "a third of ~" は分数の表現で、「~の3分の1」の意味。a thirdで「3分の1」だ。「3分の2」ならtwo thirdsとなる(複数形のsに注意)。

分数表現は、当ブログでは前も説明しているが、「下記のグラフから読み取れることを英語で説明せよ」系の自由英作文で使うことになる可能性がかなり高い表現で、知らないと書けないし、知っててもすっと出てこなければ使うことはできないので、見たときにさくっと練習してみて、すっと出てくるかどうかを確認し、出てこないようだったら定着をはかるために少し繰り返して練習してみるとよい。「練習」というのは、数字を置き換えて何通りか表現してみることだ。例えば「5分の2」はtwo fifth, 「8分の5」はfive eighths, 「10分の1」はone[a] tenthといったように。

 

次、第5パラグラフ。一気に読んでみよう: 

As a result, many large democracies are at their highest-ever recorded level for democratic dissatisfaction. These include the United States, Brazil, Mexico, the United Kingdom, South Africa, Colombia, and Australia. Other countries that remain close to their all-time highs include Japan, Spain, and Greece.

"As a result" は大学入試頻出熟語の筆頭格。「(上述のことの)結果として」という意味である。「結果として」という日本語の意味を正確に知らなければうまく使うことができないので、まずは日本語の勉強が必要かもしれない。「結果として」はそれを最初から目的にしていないということを含意する。例えば、「台所でお湯を沸かした。結果として部屋の湿度が上昇して、空気の乾燥が緩和された」というのは、「空気の乾燥を緩和させる(部屋の湿度を上昇させる)ために、台所でお湯を沸かした」というのとは違う。前者は、「Aをしたらその結果、Bになった」ということで、Bは必ずしも意図されていなかった(想定内ではあるかもしれないが、それが目的ではなかった)。後者は「Bをするために、Aをした」ということで、Bが意図されていた(Bが目的だった)。このロジックの違いを理解しておかないと、まともな英文は書けないので、注意してほしい。

最も単純な例文を下に書いておこう。

  I overslept. As a result, I was late for school. 

  (寝過ごした。その結果として、学校に遅刻した)

  ※「学校に遅刻するために寝過ごした」わけではない。

 

下線で示した "(be) at their highest-ever recorded level" は、「記録を取り始めてから最高水準(にある)」という意味。自由英作文で使いまわしがきく表現だ。前置詞でatを使うことに注意しよう。

最上級のあとにハイフンを置いてeverをつけるのは、最上級の強調の表現で、the biggest-ever donutといえば「これまでで最大のドーナツ」、the hottest-ever summerなら「史上最も高温の夏」といった意味になる。

 

2番目の文は単に国を列挙してあるだけなので解説はいらないだろう。

3番目の文、"Other countries that remain close to their all-time highs include Japan, Spain, and Greece." は、文の構造(何が主語で何が述語動詞か)を取ること、そのために《関係代名詞》のthatに気をつけることがポイント。これも難しくはない。主語は "other countries" で、述語動詞は "include" だ。

"all-time high" は「過去最高」「観測史上最高」の定型表現として覚えておくと便利。

  The toy department's sales this month is an all-time high. 

  (今月の玩具部の売り上げは、過去最高である)

文意は「過去最高に近い状態にある他の国々としては、日本、スペイン、ギリシャなどがある」ということ。

 

次、第6パラグラフ。これも一気に読めるだろう。

Citizens of developed democracies have also experienced a large increase in democratic dissatisfaction. While in the 1990s, around two-thirds of the citizens of Europe, North America, Northeast Asia and Australasia felt satisfied with democracy in their countries, today a majority feel dissatisfied.

まず、"an increase in ~" という表現に注意。「~の増加」の意味だが、前置詞はofではなくinを使うのが通例だ。これは前々回のエントリで扱った "a rise in ~" と関連づけて覚えておくとよい。

太字にした "while" は《接続詞》で、ここでは《While A, B》の形で「Aだが(Aである一方で)、Bだ」という意味の構文を作っている。Aの方が従属節、Bが主節になる。

このwhileの節中にある "two-thirds" は上で見た分数表現で、ハイフンが入っているが(入っていても間違いではないが、なくてもよい)、特に語と語をつないで形容詞化しているわけではなく、普通に「3分の2」という意味の名詞だ。文意は「1990年代には、欧州、北米、北東アジア、オーストラレーシア*1の市民の3分の2ほどが、それぞれの国の民主主義に満足していたが、こんにちでは、過半数が不満を感じている」。

 

次の第7パラグラフも同じwhileで始まっている。

While it goes beyond the scope of this report to explain the cause of this shift, we observe that citizens’ levels of dissatisfaction with democracy are largely responsive to objective circumstances and events – economic shocks, corruption scandals, and policy crises. These have an immediately observable effect upon average levels of civic dissatisfaction.

下線で示した "goes beyond the scope of this report" は、大学受験では使わないと思うが、大学に進んだあとで英語でレポートなり論文なりを作成するときには必ず使える表現になる。「本稿で取り上げる範囲を超えている」という意味だ。

このwhileの節の主語 "it" は《形式主語》で、《真主語》は "to explain". 「この変化の原因を説明することは、本稿で取り上げる範囲を超えているが」という意味になる。

読むだけなら読み飛ばしてしまって構わないところだ。

主節の "we observe that ..." は、少々息の長い文ではあるが、特に難しいところはないだろう。このwe observe that... という表現も研究論文やレポートではよく出てくる定型表現である。

最後の文で太字で示した "have an effect upon ~" は熟語で、「~への効果・影響を有する、~に影響している」の意味。uponはonと同意。「これらは、市民の間での不満の平均値に、すぐに観測できる(見てわかる)効果を及ぼしている」という文意になる。

 

以上、350語足らずの短い文を3回に分けて見てきた。解説したポイントのほかにも、自分で使えそうだと思った表現があったらどんどんメモして、自分で使えるように練習して知識を頭のなかに定着させ、使いたいときに積極的に使っていくようにしてほしい。

 

参考書: 

 

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*1:オーストラリア・ニュージーランドとその付近の諸島のこと。

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