Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

「~でさえ」の意味のeven, 接続詞のas, 「~の権利」の表し方(right to+名詞など), not least, 助動詞+完了形, 挿入, 長い文, 完了不定詞(ドイツ、ネオナチによる政治家暗殺)

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今回の実例は、ドイツで政治家が殺害(暗殺)され、極右集団と関わりのある人物が容疑者として特定されているという件についての解説記事から。

その暗殺事件については、下記を参照。

 私のツイートが19日、AFPの報道が10日付となっているが、事件が起きたのは2日である。ドイツのような国で県知事という職にある政治家が暗殺されたとあらば、本来なら世界中で大騒ぎになっていてもおかしくないと思うのだが、不思議と静かで、日々BBCやガーディアンを見ている私も、10日のAFP BBの日本語記事を見るまでこんな事件があったとは知らなかった。

なお、10日のAFP BBの記事をTwitterにフィードしたのが19日と遅くなったのは、単にフィードし忘れていた(&19日に容疑者が極右であると英語圏で報じられたときに、フィードし忘れていたことに気づいた)ためなのだが、その間にBBCやガーディアンのサイトでこの件について何か大きな報道などを見た覚えはない。仮に所謂「イスラム過激派」の関与が疑われる政治家暗殺事件が起きていたら、AfDやペギーダのようなところが騒ぎ、英語圏にも広く「移民脅威論」がばらまかれ、それを否定する発言もたくさん出て、それこそ「上を下への大騒ぎ」の状態になっていただろう。

 

前置きはこのくらいにして、記事(6月23日付)はこちら: 

www.bbc.com

f:id:nofrills:20190628103003j:plain

2019年6月23日、BBC News

キャプチャ画像の一番上のパラグラフ: 

Even as mourners gathered for the funeral of a man who had passionately defended the right of refugees to a home in Germany, extremists openly celebrated his murder online.

文頭の "even" は「~でさえ」の意味の副詞で、このように接続詞につけるという用法がある。これがあると訳しづらいという人もいるが、慣れの問題だし、そもそも読んで内容を取るだけならきれいに訳さなくてもよい。

  Even when it's raining, my dog demands to go for a walk. 

  (雨が降っているときでさえ、うちの犬はお散歩に行くと言って聞かない)

  Even after eating dinner, my dog pretends to be hungry.

  (ごはんを食べた後でさえ、うちの犬はおなかがすいたふりをする)

 

その直後にある "as" は《接続詞のas》 で、ここでは《時》を表している。接続詞のasについては、以前まとまった説明を書いてあるので、そちらをご参照のほど。

hoarding-examples.hatenablog.jp

 

文の後半部分にある "the right of refugees to a home in Germany" は、前置詞に注目すべき個所だ。

まず、「〈名詞〉の権利」「〈名詞〉を得る権利」は 《right to 〈名詞〉》 と、前置詞はtoを用いて表すことが多い。例えば「プライバシー権」はthe right to privacyと表す。

また、このtoの代わりにofを用いることもある。「プライバシー権」はthe right of privacyとも表される。

一方で、「~の有する権利」を言うときは、前置詞はofしか使えない。「子供たちの権利」はthe right of childrenだ。

これらを統合して、「子供たちのプライバシー権」と言いたいときは、the right of children to privacyという形になる。もちろん文法的には、the right of children of privacyとどちらもofを使っても間違いではないのだが、ofの連続はあまりかっこよくないので、一方をtoにできるときはtoにするという傾向がある。

なお、蛇足だが、「~する権利」と(名詞ではなく)動詞を使って表すときは、《right + to不定詞》の形になる。「投票する権利」はthe right to voteだ。上で述べた《right to 〈名詞〉》のtoはto不定詞のtoではなく普通の前置詞なので、混乱しないように注意されたい。

 

今回実例として見ている文は、「難民たちのドイツに家を持つ権利を熱く擁護していた人の葬儀に弔問客が集まっているときでさえ、ネットでは過激主義者が彼の殺害を公然と祝っていた」という意味。まだ葬儀が終わってもいないのに、過激派はネット上で公然とお祝いムードだったということだ。

 

 

今回のドイツでの事態の何がアレかというと、この「公然と」というところで、これまではドイツの極右はこそこそ隠れ、自分たちの安全な場所にいるときにだけ、自分たちの主義主張を示しているというのが通例だったのだが、今はそうではないということだ。

 

次。キャプチャ画像の中ほど。長い文である: 

His violent death has shattered the peaceful rural village and horrified Germany, not least because detectives believe that this was a politically motivated assassination, planned and perpetrated by a right-wing extremist who, it's feared, may not have acted alone.

まず、太字の1か所目、not leastは、直訳すれば「最も少なくなく」で、これでは意味がわからない。 これは熟語で、「とりわけ、特に」という意味である。

なぜそういう意味になるかというと、leastを「最少」とか「最小」と考えるより、「最もどうでもいいこと」と考えるとわかりやすいだろう。「最もどうでもいいことではない」という二重否定で「重要なことだが」という意味になる。この理屈で「とりわけ」を意味する熟語となっているわけだ。

 

太字の2か所目は《助動詞+完了形》(助動詞+have+過去分詞)。《may have +過去分詞》なら「~したかもしれない」だが、ここではnotがついた否定文なので「~しなかったかもしれない」の意味。

さらにここでは、コンマで挟む形で ", it's feared," が《挿入》されているが、このitは形式主語で、挿入されている関係詞節が真主語という構造になっている。「それが恐れられている」とはつまり、「この内容が恐れられている」ということだ。

 

というわけで、この文のnot leastから後ろの部分は、直訳しようとするととても難しい。「特に、捜査官らは、これはその人物の単独行動だったのではないかもしれないと恐れられている一人の極右過激主義者によって計画され実行された、政治的動機による暗殺であったと考えている」となり、何を言っているのかわからない。これを工夫して、何を言っているのかわかるようにするのは、各人の裁量次第だ。

 

その次のパラグラフ。キャプチャでは途中で切れてしまっているが全文は: 

They have identified Stephan Ernst, 45, as their main suspect. He is known to have had links to neo-Nazi networks and investigators are exploring a possible connection to the notorious NSU (National Socialist Underground) - an extremist group which shot dead 10 people, most of whom had migrant backgrounds, between 2000 and 2007.

太字にした部分で《完了不定詞》が用いられている。時制が1つ前にずれているときに用いられるものだが、内容より、ここでは完了時制と考えられる。つまり、この部分は次のように考えるとわかりやすいだろう。

  He is known to have had links to neo-Nazi networks

  → It is known that he has had links to neo-Nazi networks

文意は、「捜査官らはStephan Ernst(45歳)を主要容疑者として特定している。彼(Ernst)はネオナチのネットワークと関わりを有してきたとわかっており、捜査官らは悪名高いNSUとの関係の可能性についても詳しく調べている。NSUは2000年から2007年の間に10人を射殺した過激派集団で、犠牲者のほとんどは移民というバックグラウンドを持っていた」。

 

このNSUの起こした事件に基づいたドラマが、ファティ・アキン監督の映画『女は二度決断する』だ。映画は正直、全然物足りないものだったが(実際の事件では、犯行がネオナチ集団によるものと特定されるまでの経緯が「そんなものはいない」という現状否認も絡んでいてなかなかすごかったのだが、そこが映画では完全にすっとばされていた)、ドイツのネオナチがヨーロッパの他のところにどういうつながりを持っているかといったことはよくわかるので、興味があれば見てみるとよいかもしれない。

 

女は二度決断する(字幕版)
 

 

 

ジーニアス英和辞典 第5版

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徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

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英文法解説

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