Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

haveが進行形になる場合(一時的な状態), have trouble -ing, as ~ as possible (インスタグラムが落ちた)

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今回の実例は、不具合の告知をするInstagram公式アカウントのツイートから。

2019年7月3日(から、日本時間では4日にかけて)、英語圏は「InstagramとWhatsAppとFacebookが落ちてる」という話題で盛り上がっていた。TwitterもDMで不具合が出ていたようだが、普通にツイートする限りでは何の不具合もなく、完全にミーム化している例の「浮気性の彼氏」のファイルフォトがまた加工されたものがTwitter上に流れていた。

 

ともあれ、この不具合に際してInstagramの公式アカウントは、次のようにツイートしている: 

 上記ツイートの最初の文: 

We’re aware that some people are having trouble uploading or sending images and videos on Instagram.

書き出しの "We're[We are] aware that ..." はこういう場合のビジネス文書での定型文。日本語なら「ただいま、弊社サービスにおいて閲覧しづらいなどの障害が発生しています」などと書くところだが、英語圏ではこのように書くのがお約束だということは覚えておきたい。

 

続いて、このthat節の中で "some people are having" とhaveが進行形になっている。英語を習い始めてかなり早い段階で、「haveはlikeなどと同様に進行形にはならない」と教えられてそれをがっつり記憶してしまっている人には、こういうのはわかりづらいかもしれないが、最初に「haveは進行形にはならない」と教わるのは、日本語の「~している」が即ち英語の進行形であると短絡的に誤解しないようにするためといってよい(「持っている」を進行形で表そうとする中学生は、かなり多い)。

この場合、「haveが進行形にならない」のは、そのhaveが《状態動詞》だからである。《状態動詞》とは、「~である」という《状態》を表す動詞で、進行形にならない。

この説明だけでは何が何だかわからないかもしれないが、これと対比される《動作動詞》とペアで見ると分かりやすいだろう。《動作動詞》は「~する」という《動作》を表す動詞で、進行形になる。

例えば eat という動詞は《動作動詞》だから、ある人がりんごを食べるという《動作》を目の前で行っている場合、He is eating an apple. というように進行形にする。

一方で、ある人がりんごを持っているという《状態》をいうときは、He has an apple. で、進行形にはしない。

しかし、りんごを拾い上げている場合は、「拾い上げる」というのは動作なので進行形になり、He is picking up an apple. となる。

これが基本的な理屈だ。

そして、haveにはeatの同義語という用法もあり、その場合は進行形になる。だから、He is having an apple. は、「彼はりんごを持っている」ではなく「彼はりんごを食べている」という意味になる。

ここまでは中学校で学習する内容のおさらいである。

 

では今回の実例の場合はどうか。"some people are having trouble" が進行形になっているのは、troubleをhaveしているのが《一時的な状態》であることを言っている。つまり、常に《状態》としてtroubleをhaveしているわけではない、ということだ。

実にサポセン的な言い回しであることがご理解いただけるだろう。

 

そしてそのhaveは、ここでは《have trouble -ing》という熟語の一部だ。《have trouble -ing》は「~するのが困難である」、「~しづらい状態である」の意味の熟語で、troubleと-ingの間に前置詞が入らないことを覚えておきたい。

というわけで、今回の実例の "some people are having trouble uploading or sending images and videos on Instagram" は、「Instagram上で画像・ビデオをアップロードしたり送信したりしづらい状態の人もいる」という意味。

 

続いて2番目の文: 

We're sorry for the trouble and are working to get things back to normal as quickly as possible.

"We're sorry for the trouble" もビジネス文書での定型文で、日本語でいえば「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」に相当する。前置詞でforを使うことを確認しておこう。

そのあと、andで接続された "(we) are working to do ~"  もまた定型表現だ。

"get ~ back to normal" は「~を通常の状態に戻す」、「~を正常な状態に復旧する」の意味。

最後、"as quickly as possible" は、《as ~ as possible》(「できるだけ~に」)を使った表現で、「できるだけ早急に」の意味。これもこういう場合のビジネス的な文でよく使う。

 

というわけで、インスタグラム公式アカウントのこの文面は、こういう場合に企業が出す声明としてはテンプレと言える文面だ。暗記しておけばビジネスで必要な定型文として応用が利くかもしれない。できればこういう声明を出す立場にならずにいたいものだが……

 

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2019年7月3日、Twitter @Instagram

 

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