Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

挿入 【再掲】

↑↑↑ここ↑↑↑に表示されているハッシュタグ状の項目(カテゴリー名)をクリック/タップすると、その文法項目についての過去記事が一覧できます。

このエントリは、今年2月にアップしたものの再掲である。ここで見る《挿入》は素直なパターンで、「こんなの説明されなくてもわかるよ、楽勝楽勝」と思われることが多いかもしれないが、これが関係代名詞と合わせ技になるととたんに構造が取れなくなるケースが多くなる。基本はおろそかにせず、完全に把握しておきたい。

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今回の実例は、1月末のアイリッシュ・タイムズ (the Irish Times) の記事から。

アイリッシュ・タイムズはダブリンを拠点とする新聞で、ウェブ版・アプリ版はちゃんと読もうと思ったら基本的に有料購読制ということになっているが、毎週10本までは無料で閲覧できるので、検索経由や誰かのツイート経由といった形で、通りすがりにさくっと記事を読むことが可能(ただし最初から有料購読者でないと読めない記事もある)。アイルランド英語圏ではあるが、アメリカともイギリスとも異なる視点からの報道がなされ、特にアメリカやイギリスが当事者となっているトピックに関しては興味深いものになっていることがよくある。もちろん、アイルランドのニュースについてはとても詳しい(より詳しく見たい人は、この新聞とあわせて、公共放送のRTEをチェック)。

 

さて、今回の実例で参照する記事のトピックは、例によってBrexitなのだが、Brexitに関してはアイルランドは当事者である――日本でどの程度詳しく述べられているかを私はチェックしていないのだが、イギリスのEU離脱に際して最も大きな争点となっているのが、アイルランド島にあるボーダー、つまり北アイルランド(現在は英国の一部)とアイルランド共和国(独立国)の間の境界線である。この境界線は、日本語圏では「国境」と呼び習わされるが、アイルランドの立場では「国」の境目として確定的・固定的なものではない。アイルランドでは「島全体」で1つの国であるという理念が基本的にあり、Brexitをめぐって紛糾している「アイルランドのボーダーの問題」とはつまり、北アイルランドの帰属というconstitutional problemであって、そう簡単に解決するものではないし、「簡単に解説」することすら難しい。

ただしこのブログはそれについて解説を試みる場ではない(そういうことは私の本家のブログで少しはやってる)。ここでは「なぜアイルランドの首相がBrexitという『よその国の問題』についてこういう発言をしているのか」という点についての背景として、このような「アイルランドもまた、当事者である」という点を指摘しておくだけにして、先に行こう。

www.irishtimes.com

記事の見出しについても簡単に説明だけしておくと、アイルランドは畜産業を主要産業のひとつとしており、畜産物の多くがイギリスに輸出されている。この点で、イギリスのEU離脱での影響(関税が設定されれば輸出は鈍る)をもろに受けることになるのだが、その点についてはEUに支援を仰ごうと首相が述べている、というのが報道内容である。
 

f:id:nofrills:20190216175127j:plain

2019年1月30日、the Irish Times

 

キャプチャー画像で3番目のパラグラフ:

Brexit I think is perhaps one of the greatest political challenges of our time and now is the time to hold our nerve.”

見た目で違和感のある形になっているが、 "I think" は《挿入》である。

 

"Brexit is perhaps one of the greatest ..." という文に、"I think" を付け加える場合、文頭に置いて:

  I think Brexit is perhaps one of the greatest ...

とすることもできるのだが、ここではレオ・ヴァラッカー首相は言葉を探しながら(あるいは言いよどみながら)発言しているようで、まず "Brexit" と述べたあとで、"I think" とか "perhaps" といった言葉を発し、それから "one of the greatest political challenges" と述べている。

 

これは日本語の発話の習慣に置き換えると、「ええと」とか「そうですね」とかいった意味のない言葉を挟みながら話をしているという感じで、つまり「ブレグジットは、そうですね、私たちにとっては最大の政治的な課題といいますか、そういうものですが、今は落ち着いて成り行きを見守るしかないのではないかと」というような発言に相当するだろう。

 

ちなみにhold one's nerveは熟語で「いちいち騒がない、一喜一憂しない」みたいな意味。報道では誰かの発言の引用として、ときどき見る表現である。

 

 

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