このエントリは、2月にアップしたものの再掲である。英語があまり得意でない高校生にありがちなのだが、evenは単語帳で「~さえ」という語義を覚えても実際に英文の中に出てくるとどう解釈していいかわからないので、覚えても結局使い物にならないということが多い。単語帳の語義だけでなく、例文・実例を見て意味を把握し、自分で使えるようにしておく必要がある単語だ。
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今日も昨日と同じ記事から、「意味が取りづらい」「訳しづらい」というイメージを抱いている人もいるeven if ~が用いられた文の例。この例を見れば、even if ~がどのような場合に用いられるか、一発でよくわかるのではないかと思う。
evenは「~でさえ」、「~ですら」といった意味を表す副詞である。
Even a five-year-old can do it.
(5歳児でもこれくらいできる)
This is enough even for me!
(私でさえ、こんなのもう耐えられないと思う)
このevenが、《条件を表す副詞節》のif節と一緒に用いられると「たとえ~だとしても」という意味になる。
これを念頭に、今回の実例を見てみよう。
Even if carbon emissions are dramatically and rapidly cut and succeed in limiting global warming to 1.5C, 36% of the glaciers along in the Hindu Kush and Himalaya range will have gone by 2100.
carbon emissionsはcarbon dioxide emissionsのことで、「二酸化炭素排出量」。これが「劇的に、かつ急速に削減され、地球温暖化を1.5度に制限することに成功したとしても」というのが、この文の《条件を表すif節》の内容。Evenがあることでこれをさらに強められ、「たとえ……成功したとしても」という意味になっている。
そしてこのif節のあとに続く主節は、「ヒンズークシ(ヒンドゥークシュ)山脈・ヒマラヤ山脈に沿って存在する氷河の36%が、2100年までに消え去っているであろう」。ここで用いられているのが《will have + 過去分詞》の《未来完了》だ。ここでは見てわかる通り、「未来の特定の時点までに、~してしまっているだろう」という《完了》の意味。
その次の文:
If emissions are not cut, the loss soars to two-thirds, the report found.
これはシンプルな《条件を表すif節》の文で、昨日見た《分数》の表現がまた出てきている(ハイフンの使い方に注意。分数を名詞として扱うときはハイフンを用いる)。「もし排出量が削減されなかったら、(ヒンズークシ山脈の地域で)失われる(氷の)量は、3分の2にまで跳ね上がる、とその報告書は発見した」というのが直訳になる。
今回最初に見たeven if ~の節も、この文のif節も、《条件を表す副詞節》なので、未来のこと(これから起きること)を述べる場合に現在形が使われていることにも注目しておこう。
Even if carbon emissions are dramatically and rapidly cut and succeed in limiting global warming to 1.5C, 36% of the glaciers along in the Hindu Kush and Himalaya range will have gone by 2100. If emissions are not cut, the loss soars to two-thirds, the report found.
なお、昨日・今日と見てきた記事が紹介している報告書は、the International Centre for Integrated Mountain Development (Icimod) が中心となってまとめられたもので、下記で誰でも無料でPDFまたはEPUBでダウンロードして読むことができる。全16章の構成で、全部DLしようとすると本文だけで600ページ近くあるので、興味のある章だけをDLするのがよいだろう。
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