今回の実例は、11日未明(日本時間)のびっくりニュースから。
つまり、この件。ジョン・ボルトンがトランプ政権を追われた:
米大統領、ボルトン補佐官を更迭 9/11(水) 1:14配信 https://t.co/RxhlryXzlE "トランプ米大統領は10日、ツイッターで、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)を更迭したと明らかにした。「ボルトン氏の多くの提案について意見が異なった」と指摘。「彼の任務はホワイトハウスで不要になった」と" pic.twitter.com/3oLHxEgWKk
— nofrills/共訳書『アメリカ侵略全史』作品社 (@nofrills) September 10, 2019
BREAKING: JOHN BOLTON FIRED
— Joe Weisenthal (@TheStalwart) September 10, 2019
Price of oil immediately dives.
https://t.co/rVwPULfZmw pic.twitter.com/JMR0GkLdQr
トランプ政権側は「クビにした」ということを言っているが、ボルトン自身は「自分が申し出た」と言っており:
John Bolton: I wasn't fired, I quit! https://t.co/2QD6hcRjRM
— Joe Weisenthal (@TheStalwart) September 10, 2019
実際どうなのかは微妙なところで、私がほぼずっと見ている英語媒体の2つも、BBCは「ボルトン自身が申し出て辞任した」説をとり、ガーディアンは「トランプがクビにした」説を取っている。
https://t.co/Lttx9zG3Ae ガーディアンはlive blogで "John Bolton fired as Trump's national security adviser" という見出しにしてて、リンク先エントリでは "White House spokesperson echoes Trump's claim Bolton was fired" と伝えている。 pic.twitter.com/PT4dv0NoTr
— nofrills/共訳書『アメリカ侵略全史』作品社 (@nofrills) September 10, 2019
というわけで、今回の実例はそのガーディアンlive blogから、英国時間で18:47のエントリより(日本との時差は8時間):
※Live blogは刻々と見出し(ヘッドライン)が変わってしまい、いつもの形式で「ヘッドラインとサムネ画像」が表示されるようにしてここに埋め込むと、ぱっと見、わけがわからなくなってしまうため、URLだけ貼り付けておきます。上記URLをクリックして記事、というかエントリをご確認ください。
キャプチャ画像の一番下のセクション:
That being said, Trump has had three national security advisers since taking office, and Barack Obama had the same number over two terms. George W. Bush only had two over his eight years in office.
書き出しの "that being said" は、with that being saidやthat saidという形になることもあるが、教科書には出てこないかもしれないが実際の日常の英語では非常によく使う表現のひとつ。日本語にすれば、場面によって「~というわけで」とか「~とはいうものの」とか「以上のことを踏まえて」などとなるが、要は話の流れを作るための「間つなぎ」の一言である。Wiktionaryでは、howeverとかneverthelessと同義という主旨の説明がある。
この表現、「熟語」として認識し記憶しておけば何かと役立つのだが、文法的に解説すれば《独立分詞構文》である。
I don't always agree with Tom. That being said, he is a brilliant analyst.
(個人的にはトムとは意見が違うこともあるのだが、それはそれとして、彼はすばらしいアナリストだよ)
これは、実際の英語としては「書き換え」などすることはないのだが、次のように考えられる。
I don't always agree with Tom. After that is said, he is a brilliant analyst.
この after の節を分詞構文にすると、主節の主語 (he) とは異なる主語 (that) なのでそれを残して、isを現在分詞にする、ということになり、つまり That being said という形になるわけだ。
この表現は非常によく用いられる。Twitterで検索すると次のようなものが見つかる(たまたま目にしたわかりやすい例として参照するだけで、議論をしたいわけではありません。念のため)。
2/2. Also the Rising Sun Flag wasn't even used in the occupation. In occupied territories, the flag they used is the modern day Japanese Flag. The one on the left is Korean, the one on the right is Chinese. That being said, the Rising Sun flag being controversial is a RECENT. pic.twitter.com/R1AYtWAb4s
— Michael (@Michael_F_F) September 10, 2019
「旭日旗は占領で用いられてさえいませんでした。被占領地で日本が使っていたのは、現在の日本国旗でした。下記の写真は左は朝鮮(半島)、右は中国のものです。以上を踏まえて言えることは、旭日旗が物議をかもすということは、最近の現象だということです」といった意味。
With that being saidの形は、その独立分詞構文で《付帯状況のwith》がついた形。何時も参照している江川の英文法では下記の例文が出ている(348ページ)。
With darkness closing in, the rescue party decided to break off the search.
(暗闇が迫ってきたので、救助隊は捜索を一時中止にした)
これも非常によく使われる形で、 "with that being said" でTwitter検索すると、例えば次のような例が見つかる。
The new iPhone is ugly as hell with all of those camera lenses... with that being said I will still be getting it.
— J.Skinns (@TheDopestNword) September 10, 2019
「新しいiPhoneはあのカメラのレンズやら何やらががっちゃがちゃで見た目がすさまじいことになっているのだが、なんだかんだ言って、買うことになるんだな、これが」といった意味。
一方、"that said" という形は、that being saidのbeingが省略されたもので、理屈としては、過去分詞で始まる分詞構文と同じである。
これの実例は、なかなか検索しづらいのだが*1、下記のような例が見つかった。
That said, there also haven't been that many high-profile strikes—unless I am really missing something. https://t.co/XZWWAYNUyN
— Quinta Jurecic (@qjurecic) September 10, 2019
これはChris Hayes氏の発言を受けて、Quinta Jurecic氏が「そうではあるが、注目を集めるような(ドローンによる)攻撃は、私が見落としでもしていない限りは、(最近)そんなに多くなされていないということも事実だ」と述べている文例。
実例として見た文のこのあとの部分:
Trump has had three national security advisers since taking office, and Barack Obama had the same number over two terms. George W. Bush only had two over his eight years in office.
これは素直にそのまま読めばよいが、《数》の表現に注意が必要かもしれない。実際に仕事などで英語を使うには、この文をいちいち読み返さずに、というかこの文章が音読されるのを一度聞いただけで、「2期続いたバラク・オバマ政権下で国家安全保障担当大統領補佐官は何人いたか」が答えられるようにしておきたいところである。
わかるだろうか。
答えは:
Trump has had three national security advisers since taking office, and Barack Obama had the same number over two terms.
ちなみに、この記述が正しいかどうか、ファクトチェックすることも簡単にできる。「国家安全保障担当補佐官」をウィキペディアで確認すればよい。
基本の参考書:
*1:"with that said" も検索結果としてヒットしてしまうし、「関係代名詞のthatとsaid」のような全然別の文法項目の例も多いので、目視で選別して拾う必要がある。