今回の実例は、インドの大気汚染について説明する記事から。
10年少し前までは、「大気汚染」といえば北京だったが、2008年の北京オリンピックのあとは英語圏で「北京の空気がヤバい!」的な大騒ぎの記事を見かけることはなくなった(実際に北京の空気がきれいになったのかどうかは、別の話だと思うが)。ここ数年、北京に代わって「大気汚染のひどい都市」の代表みたいに言われているのが、インドのデリーである。さくっとウェブ検索してみたところ、日本語記事は2017年秋ごろから増えているようだ。例えば下記は2017年11月の朝日新聞の記事。
こういった報道を通じて、インドに行ったことがない人でも今は「デリーは空気がやばい」ということを知るようになっているのだが、果たしてどの程度やばいのか、ということを、データを示し、専門家の意見を聞きながら客観的に説明しているのが、今日見る記事である。
なお、このタイプの「客観的な説明文」は大学入試でもよく出るし、実務で英語を読むようになったあとでも頻繁に読むことになる。早いうちから読みなれておくのはいろいろとプラスになるだろう。
記事はこちら:
実例として見るのは、記事を少し読み進めたところにある、大気汚染のひどい首都や国をグラフで示すなどした後の部分。
What differentiates China from India is that in the latter, there is still a lot of burning of agricultural stubble when farmers want to clear their fields.
文頭のwhatは《関係代名詞》で、この関係代名詞節が文の主語、述語動詞はisで、その後のthat節が補語となっている。下記の例文と同じ構造だ。
What is important is that we start reducing the use of plastic.
(重要なのは、私たちがプラスチックの使用を減らすことを始めることだ)
What concerns me is that people do listen to the liar.
(私にとって気がかりなのは、人々は実際にあの嘘つきの言っていることに耳を傾けているということだ)
続いて、このthat節の内容:
in the latter, there is still a lot of burning of agricultural stubble when farmers want to clear their fields.
"the latter" は「後者」の意味(必ずtheを伴うことに注意)。文章の前の部分に2つのものが出てきたときに用いる。ちなみに「前者」はthe formerだ。
I lived in Fukushima in the 1990s, and in Fukuoka in the 2000s. The latter is a big city in Kyushu.
(90年代には福島に、00年代には福岡に住んでいた。後者は九州にある大都市だ)
Fahrenheit 451 and Nineteen Eighty-Four are classic dystopian novels. The former was written by an American author, and the latter by a British.
(『華氏451度』と『1984年』はディストピア小説の名作だ。前者はアメリカ人の作家によって書かれ、後者は英国人によって書かれた)
今回の実例の "in the latter" は、「後者においては」の意味で、ここで「後者」は何を指すかというと、直前の "What differentiates China from India" の部分より、"India" である。
この文の意味は、直訳すれば「中国とインドの違いを生じさせているのは、後者(インド)においては、今なお、農民たちが畑をきれいに一掃したいときには、農業で出る狩り株などを燃やすということが盛んにおこなわれているということだ」。
参考書: